本作は上田岳弘が作劇、
舞台上には、白い正方形のブロックが積み木のように重ねられている。そこに、“Genius lul-lul”と名乗る人物(高橋)が登場。ミステリアスな雰囲気のその人物は、710年もの間ずっと沈黙を貫いてきたこと、そして自身が何度も生まれ直していることを観客に打ち明ける。やがて彼は、自身のこれまでの“人生”を話し始め……。
白いシャツに黒いスラックス姿の高橋は、飄々とした演技で、物語の語り手である“Genius lul-lul”の底知れなさを表現。クロマニヨン人や、日本軍人、赤ちゃん工場の工場主など、“Genius lul-lul”が過去に生きた人物を演じる際は、コミカルな被り物と奇抜な衣裳で現れ、会場を笑いで包む。高橋は、柔和な笑顔を浮かべながら観客を物語の中にいざなうが、時折客席を挑発的な視線でじろじろと見つめ、“演者と観客”、そして“フィクションと現実”の境界線を曖昧にした。
本作には高橋のほか、ステージング・振付を担う
初日前会見には、高橋、上田、白井が登壇。高橋は「稽古の半分を上田さんと白井さんとの会議に費やしました」と明かし、「稽古で構築してきたものを信じておりますので、楽しくできるんじゃないかと」と言葉に力を込める。上田は「僕の小説は、ただでさえ難解と言われるのですが、お芝居だと小説と違って読み返すことができない。そんな中で、言い方や動きで意味を補足するなど、非常に細かな部分に気を配って立ち上げられていて。昨日通し稽古を拝見して、作品が成り立っていることにびっくりしましたし、感動しました。僕も開幕するのを楽しみにしています」とコメントした。白井は「上田さんの壮大な概念の世界を演劇にすることは、非常に難しい行為だったのですが、打ち合わせや議論を重ね、またクリエーションチームの力もあり、なかなか刺激的で興味深い作品になりました」と自信を見せる。
白井は高橋について「難度の高い舞台ですし、1人で約80分間ぶっ通しで演じるのは大変なこと。ただ、舞台稽古の中でどんどん成果を上げていく姿を見ていると、羨望に近い感情で『なんだこいつは』となってきて……(笑)」と話すと、高橋は「昨日、初めて劇場で通し稽古をやらせていただいたんですけど、演出席からずっと『あいつ……』とか『一生……』って声が聞こえるんですよ(笑)。気が散ってしょうがないですし、これは通し稽古が終わったあと、(白井と)ひと悶着あるなって思って。そうしたら、終わったあとに白井さんから『一生ムカつくな。できてんじゃん』って、にらみながら言われて(笑)。素直に褒めてくれればいいのに!」と通し稽古でのエピソードを述べる。これに対し、白井は「最大の褒め言葉ですよ(笑)。彼とはこれまでも何作か作ってきているので、実力はよくわかっているんですけど、一人芝居として、自分で全部背負って立っている彼を見て、『本当に腹が立つほどすごいな、こいつ』と素直に思いました」と笑顔で語った。
上演時間は約1時間20分。東京公演は7月31日まで。そのあと8月6・7日に福岡・キャナルシティ劇場公演、11日に京都・京都劇場公演、18日から21日まで大阪・森ノ宮ピロティホール公演が行われる。
パルコ・プロデュース2022「2020」
2022年7月7日(木)~31日(日)
東京都 PARCO劇場
2022年8月6日(土)・7日(日)
福岡県 キャナルシティ劇場
2022年8月11日(木・祝)
京都府 京都劇場
2022年8月18日(木)~21日(日)
大阪府 森ノ宮ピロティホール
作:上田岳弘
構成・演出:
ステージング・振付・ダンサー:
出演:
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プラ子 @purako_blog
配信ないのかな…
【公演 / 会見レポート】高橋一生が“1人で80分間ぶっ通し”で演じる「2020」開幕、白井晃「腹が立つほどすごい」(舞台写真あり) https://t.co/dM74ofL0S8