勘九郎&七之助が祖父・父の思い出語る「父のために連獅子を踊っていたのだと」

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東京・歌舞伎座で上演される「二月大歌舞伎」出演者のオンライン取材会が、昨日1月21日に行われた。

左から中村長三郎、中村七之助、中村勘九郎、中村勘太郎。(c)松竹

左から中村長三郎、中村七之助、中村勘九郎、中村勘太郎。(c)松竹

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取材会には、出演者の中村勘九郎中村七之助、そして勘九郎の長男・中村勘太郎、次男・中村長三郎が出席した。このたびの「二月大歌舞伎」第3部では、十七世中村勘三郎の“三十三回忌追善狂言”として「奥州安達原 袖萩祭文」「連獅子」が披露される。「奥州安達原 袖萩祭文」では七之助が袖萩、長三郎が娘お君、そして「連獅子」では勘九郎が狂言師右近後に親獅子の精、勘太郎が狂言師左近後に仔獅子の精を勤める。

上段左から中村勘九郎、中村七之助。下段左から中村勘太郎、中村長三郎。長三郎は冒頭のあいさつで「何を言えばいいの? 待って」と慌てた様子を見せ、勘九郎に「このやりとり、記者さんたちに見えてるからね!」と笑われていた。

上段左から中村勘九郎、中村七之助。下段左から中村勘太郎、中村長三郎。長三郎は冒頭のあいさつで「何を言えばいいの? 待って」と慌てた様子を見せ、勘九郎に「このやりとり、記者さんたちに見えてるからね!」と笑われていた。[拡大]

十七世中村勘三郎

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祖父である十七世勘三郎について、勘九郎は「僕が初お目見えで(舞台上の)座った位置が悪く、優しい祖父が鬼のように怒って……楽屋の押し入れに逃げ込みました」、七之助も「僕はとてもおしゃべりな子供で、祖父は僕が楽屋に来るとすぐ『うるさいから帰しなさい』と言ったそうです(笑)」とそれぞれエピソードを披露。また勘九郎が「父(十八世中村勘三郎)にはよく『おじいちゃまは“魔法の粉”をかけるようにお芝居していた。お前たちもそんな俳優になるんだよ』と言われていました。素晴らしい俳優だった祖父が誇らしい」と思いを語ると、七之助も「歌舞伎座で追善口上をしたとき、先輩方が語る祖父の思い出で、みんな大笑いだった。人間性も芸も素晴らしい人だったのだと感じて、うれしかったです」と感慨深げに述べた。

「連獅子」ビジュアル(撮影:篠山紀信)

「連獅子」ビジュアル(撮影:篠山紀信)[拡大]

「奥州安達原 袖萩祭文」ビジュアル(撮影:篠山紀信)

「奥州安達原 袖萩祭文」ビジュアル(撮影:篠山紀信)[拡大]

「連獅子」では重い衣装で踊るため、腹筋や壁倒立などをして体力作りをしていると、9歳の勘太郎。勘太郎は篠山紀信撮影のビジュアルを「カッコいい」と笑顔で見つつ、「衣装が本当に重くて。撮り終わったあとに踊ったら、死にそうでした……」と衣装を着けた実感を明かした。また勘九郎から「(写真の自分は)どうですか、かわいいですか?」と水を向けられた7歳の長三郎は「はい!」と笑顔で即答。勘九郎が「そうですね、とってもかわいいですよ」とうなずいてみせると、親子の仲むつまじい様子に七之助が「ヤバい家族だ……(笑)」と漏らして笑いを誘った。

オンラインで取材に応じる中村屋の面々。

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七之助と長三郎は「奥州安達原 袖萩祭文」で親子を演じる。七之助は「本番は集中力を保たなければいけないので大変です。私も初役なのでフォローしきれない部分もあると思いますが、長三郎と一緒に壁を乗り越えたい」と意気込み、長三郎と初の親子役となることには「普段から愛情はたっぷりとありますので、公演の1カ月は試練だと思いますが、2人で乗り切りましょうね」と長三郎に呼びかけた。

十八世中村勘三郎

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勘九郎と七之助はいずれも、「連獅子」を父・十八世勘三郎と踊った経験を持つ。七之助は「兄も勘太郎と長三郎に対して、厳しいと思うんです。しかし父はその100倍は厳しかった。出来がよくない日は目も見てくれませんでしたし、“地獄”でしたね」と苦笑交じりに振り返る。勘九郎も「子供の頃の記憶では、歌舞伎座から帰る車での景色はいつも涙でにじんでいる」と言い、父との稽古を「父には“仔獅子のプライド”があるので、とても怒られました。ただ、よかったときはすごくいい顔をしてくれた」と回顧した。

後列左から中村七之助、中村勘九郎。前列左から中村長三郎、中村勘太郎。(c)松竹

後列左から中村七之助、中村勘九郎。前列左から中村長三郎、中村勘太郎。(c)松竹[拡大]

さらに七之助は「大人になってから兄と話したのは、お客様のために踊るのはもちろんだが、私たちは父を喜ばせるためにも『連獅子』を踊っていたのだということ。その絆が、知らぬ間に連獅子という演目に表れたのではないかと思います」と述べる。勘九郎も「中村屋の『連獅子』をつなぐことができてうれしいです」と喜びをかみ締め、今回、仔獅子として最年少となる勘太郎に「がんばんなさいよ、あなた!」とエールを送った。

「二月大歌舞伎」の公演は2月2日から27日まで、東京・歌舞伎座にて。

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「二月大歌舞伎」

2021年2月2日(火)~27日(土)
東京都 歌舞伎座

第1部

一、本朝廿四孝 十種香

八重垣姫:中村魁春
武田勝頼:市川門之助
白須賀六郎:中村松江
原小文治:市川男女蔵
腰元濡衣:片岡孝太郎
長尾謙信:中村錦之助

二、泥棒と若殿

作:山本周五郎
脚色:矢田弥八
演出:大場正昭

伝九郎:尾上松緑
松平成信:坂東巳之助
迎えの侍:市川男寅
迎えの侍:尾上左近
宝久左衛門:市川弘太郎
梶田重右衛門:中村亀鶴
鮫島平馬:坂東亀蔵

第2部

一、於染久松色読販 土手のお六 鬼門の喜兵衛

作:四世鶴屋南北
改訂:渥美清太郎

土手のお六:坂東玉三郎
山家屋清兵衛:河原崎権十郎
髪結亀吉:中村福之助
丁稚長太:寺嶋眞秀
庵崎久作:中村吉之丞
油屋太郎七:坂東彦三郎
鬼門の喜兵衛:片岡仁左衛門

二、神田祭

鳶頭:片岡仁左衛門
芸者:坂東玉三郎

第3部

一、奥州安達原 袖萩祭文

袖萩:中村七之助
安倍貞任:中村勘九郎
娘お君:中村長三郎
義家の郎党:中村種之助
義家の郎党:中村玉太郎
義家の郎党:中村歌之助
義家の郎党:中村莟玉
安倍宗任:中村芝翫
平ケン仗直方:中村歌六
浜夕:中村東蔵
八幡太郎義家:中村梅玉

二、連獅子

作:河竹黙阿弥

狂言師右近後に親獅子の精:中村勘九郎
狂言師左近後に仔獅子の精:中村勘太郎
法華の僧蓮念:中村鶴松
浄土の僧遍念:中村萬太郎

※平ケン仗直方の「ケン」は異体字。

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