兵庫のAI・HALLによる企画「現代演劇レトロスペクティヴ」が12月18日から20日まで、1月14日から17日まで、開催される。
「現代演劇レトロスペクティヴ」は1960年代以降に発表された現代演劇作品を、関西を拠点に活動する演劇人が立ち上げ再検討する企画。第11回目となる今回は、1992年にMODE×青春五月党で初演され、第37回岸田國士戯曲賞を受賞した
「魚の祭」は
一方、
公演はそれぞれ「魚の祭」が12月18日から20日まで、「丈夫な教室」が1月14日から17日まで。なお、12月19日の「魚の祭」18:00開演回では柳、1月16日の「丈夫な教室」18:00開演回ではシアターBRAVA!の元支配人・武田浩治を迎えたシアタートークを開催する。松本、小原のコメントは下記の通り。
松本修コメント
1992年の初演だから28年前。柳美里とは、その1年ほど前から、お互いの舞台を観て話をしたりしていた。彼女は23歳! 私は30代の半ば。どんな芝居を書いてほしいとか言ったのだろうか。たぶん、書きたいものを書いて、と言ったのだと思う。ある意味強烈な、ある意味時代錯誤的な戯曲が送られてきた。
私は戸惑っただろうか? MODEのメンバーはどう読んだのだろうか? 記憶は定かではない。ただ、直前に上野は不忍池の特設テントで観た新宿梁山泊「向日葵の棺」(作:柳美里、演出:金盾進)とは、ずいぶん違った舞台になるだろうと思った。「在日」の家族の物語を、トリュフォーだのルイ・マルだの、チェーホフだのベケットだのと言っている「日本人」の新進演出家?がどのように舞台化するのか、そんな話題の作られ方をされた記憶がある。今の私は、今の役者たちは、いったいどのようにこの戯曲を読むのだろうか? 楽しみである。
小原延之コメント
「丈夫な教室」は、当時、所属していた劇団で上演するようなレパートリーではありませんでした。ひとつ前が、ドラァグ・クイーンのドタバタ、その前が猿飛佐助。そして、この後は、かぶり物でした(これを最高傑作という人もいる)。確か、所属メンバーと、そろそろ地に足のついた作品をと気負った記憶があります。承諾を得たものの、まあ、馴れないことをするから、作品のテーマは重くのしかかり、希望の道筋を見つけることがとても難しい状況になりました。でも、その産みの苦しみが、思わぬ反響につながったのではないかと思っています。ただ、主題である、人を殺す仕組みに対する嫌悪と、子供を思いやることに関しては、昔読んだカミュの「ペスト」が心の底のどこかにあって、その考えだけは身になっていたのではないかと、すっかり記憶の奥底にあった手掛かりを、コロナ禍の中、読み返して気づきました。この状況の中、「丈夫な教室」がどんな印象を表すのかわかりませんが、私たちの思いの中で、何かが一巡するのかもしれません。
AI・HALL 令和2年度「現代演劇レトロスペクティヴ」
兵庫県 AI・HALL
MODE「魚の祭」
2020年12月18日(金)~20日(日)
作:
演出:
出演:孫高宏、木下菜穂子、保、松下美波、佐藤海斗、沢柳優大、田之上弥央、島田藍斗、合田聖、岡崎叶大、金子順子、和田友紀
小原延之+T-works 共同プロデュース「丈夫な教室-彼女はいかにしてハサミ男からランドセルを奪い返すことができるか-」
2021年1月14日(木)~17日(日)
作・演出:小原延之
出演:
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リンク
薙野信喜 @nonchan_hg
AI・HALLの現代演劇レトロスペクティヴ、第11回は「魚の祭」「丈夫な教室」(コメントあり) https://t.co/FrfgvEMe1s