水樹奈々・平原綾香が“音楽のハグ”届ける、「ビューティフル」再演が開幕

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ミュージカル「ビューティフル」が11月5日に東京・帝国劇場で開幕した。ステージナタリーでは、初日に先駆けて4日に行われた、平原綾香出演版のゲネプロをレポートする。

ミュージカル「ビューティフル」より、平原綾香扮するキャロル・キング。(写真提供:東宝演劇部)

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ミュージカル「ビューティフル」より、水樹奈々扮するキャロル・キング。(写真提供:東宝演劇部)

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「ビューティフル」はアメリカのシンガーソングライター、キャロル・キングの半生を彼女の代表曲と共に紡ぐミュージカル。日本では2017年に帝国劇場で初演され、今回の再演版にはWキャストでキャロル・キングを演じる水樹奈々と平原のほか、中川晃教伊礼彼方ソニン武田真治剣幸と、初演版の顔ぶれが再集結した。演出リステージを務めるのは、上田一豪だ。

ミュージカル「ビューティフル」より。(写真提供:東宝演劇部)

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ニューヨークに住む16歳のキャロルは、教師になるようにという母の勧めを振り切って、作曲家への1歩を踏み出す。やがて同じカレッジに通うジェリー・ゴフィンと出会ったキャロルは、彼と恋に落ちる。2人はパートナーを組み、キャロルが作曲、ジェリーが作詞を担当することに。やがてキャロルは妊娠し、結婚した2人は仕事と子育てに取り組むが……。

開演すると、グランドピアノの前に青い花柄のワンピースを着たキャロルが姿を現す。物語は、シンガーソングライターとして成功したキャロルによる、ニューヨークのカーネギーホールでのコンサートの場面からスタート。平原扮するキャロルは「So Far Away」を歌って聴衆を一気に物語に引き込むと、それまでの人生を振り返り始める。

ミュージカル「ビューティフル」より。(写真提供:東宝演劇部)

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ミュージカル「ビューティフル」より、平原綾香扮するキャロル・キング。(写真提供:東宝演劇部)

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劇中では1960年代から70年代頃にヒットした数々の楽曲に乗せ、キャロルを中心に曲作りの“裏方”たちの人生がつづられた。引っ越しを控えたキャロルが、長年働いたオフィスを退去する際、ライバルの作曲家・作詞家コンビのバリー・マンとシンシア・ワイル、そしてプロデューサーのドニー・カーシュナーと共に「You've Got a Friend」を歌唱するシーンからは、彼らが育んできた熱い友情が垣間見える。またキャロルが歌うソロ曲「(You Make Me Feel Like)A Natural Woman」では、平原をはじめとしたキャストたちがパワフルなパフォーマンスで、会場を大いに盛り上げた。

ミュージカル「ビューティフル」より。(写真提供:東宝演劇部)

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平原はキャロルの生真面目さや素朴さを、穏やかな口調で演じる。人前で歌った経験が少ないキャロルがクラブのステージで自己紹介するシーンでは、「私が歌うと……赤ちゃんが吐くの!」と、どこかとぼけた言い回しで告白し、会場を笑いで包む。その一方でひとたびピアノに向かうと目を輝かせ、伸びやかな歌声から音楽への愛をあふれさせるキャロルを体現した。

ミュージカル「ビューティフル」より。(写真提供:東宝演劇部)

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ジェリー役の伊礼は物語序盤、自信に満ちたたたずまいとチャーミングな笑顔を見せる。しかしその後伊礼は、時代の変化と共に情緒不安定になり、自暴自棄になって周囲を傷付けてしまうジェリーの苦悩を、苦しげな表情やキャロルを突き放す態度で示した。

ミュージカル「ビューティフル」より。(写真提供:東宝演劇部)

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キャロル、ジェリーとしのぎを削る作曲家・作詞家コンビ、バリーとシンシアに扮するのは中川とソニンだ。中川は1日にいくつもの病院をはしごする“病気ノイローゼ”のバリーをコミカルに演じながら、バリーからシンシアへの一途な思いをまっすぐに表現。しゃれたドレスに身を包んだソニンは、ちゃきちゃきとした語り口でさっぱりした性格のシンシア像を立ち上げる。ライバルとして対抗心を燃やしながらも、親友としてキャロルに寄り添うシンシアの温かさを、キャロルに向ける優しいまなざしににじませた。

ミュージカル「ビューティフル」より。(写真提供:東宝演劇部)

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ミュージカル「ビューティフル」より。(写真提供:東宝演劇部)

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ミュージカル「ビューティフル」より。(写真提供:東宝演劇部)

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さらに武田はキャロルを見出したプロデューサー・ドニーとしてスマートに振る舞い、剣は調子がいいが憎めないキャロルの母ジニー・クラインを愛嬌たっぷりの演技を見せる。またザ・ドリフターズやジャネール・ウッズ、シュレルズといった往年のスターたちに扮し、力強い歌声を響かせるアンサンブルたちにもぜひ注目を。

ミュージカル「ビューティフル」より。(写真提供:東宝演劇部)

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ミュージカル「ビューティフル」より、水樹奈々扮するキャロル・キング。(写真提供:東宝演劇部)

ミュージカル「ビューティフル」より、水樹奈々扮するキャロル・キング。(写真提供:東宝演劇部)[拡大]

初日を終えた平原は「大変な時代になってしまいましたが、キャロルが『思い通りにならない人生だったとしても必ず人は美しいものを見つける』と言ったように、心の豊かさを失ってはいけないなと思います」と語り、「私たちは休演日以外はいつも劇場にいるので、寂しくなったら会いに来てください。“音楽のハグ”を皆さんに届けます」と観客にメッセージを送る。また昨日11月6日に初日を迎えた水樹も、「3年ぶりの再演です。さらに情熱的に、さらに“ビューティフル”に、さらに笑顔があふれる作品をお届けできるよう、千秋楽まで突き進んでいきたいと思います」とコメントした。

上演時間は休憩30分を含む、2時間55分を予定。公演は11月28日まで。

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ミュージカル「ビューティフル」

2020年11月5日(木)~28日(土)
東京都 帝国劇場

脚本:ダグラス・マクグラス
音楽・詞:ジェリー・ゴフィン&キャロル・キング、バリー・マン&シンシア・ワイル
オリジナル演出:マーク・ブルーニ
翻訳:目黒条
訳詞:湯川れい子
演出リステージ:上田一豪

キャスト

キャロル・キング:水樹奈々(Wキャスト)、平原綾香(Wキャスト)
バリー・マン:中川晃教
ジェリー・ゴフィン:伊礼彼方
シンシア・ワイル:ソニン
ドニー・カーシュナー:武田真治
ジニー・クライン:剣幸

伊藤広祥、神田恭兵、長谷川開、東山光明山田元、山野靖博、清水彩花、菅谷真理恵、高城奈月子、塚本直、MARIA-Eラリソン彩華

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