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「マリアビートル」開幕、元殺し屋役の谷口賢志「1時間半いじめられる」

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舞台「マリアビートル」公開リハーサルより。

舞台「マリアビートル」公開リハーサルより。

舞台「マリアビートル」が本日2月14日に東京の全労済ホール / スペース・ゼロで開幕する。これに先駆け、昨日13日に同劇場で公開リハーサルと囲み取材が行われた。

伊坂幸太郎の小説「マリアビートル」を舞台化する本作では、脚本を太田守信、演出を元吉庸泰が担当。七尾役を平野良、王子役を坂口湧久、蜜柑役を小沼将太、檸檬役を碕理人が演じ、真莉亜役を福圓美里、木村役を谷口賢志が務める。さらに若宮亮、山本侑平、中村裕香里、深澤恒太が出演する。

元殺し屋の木村は、幼い息子に重傷を負わせた中学生・王子に復讐するために東京発盛岡行きの東北新幹線に乗り込んだ。一方、取り返した人質と身代金を盛岡まで護送する役目を負った2人組の殺し屋・蜜柑と檸檬は、何者かに人質を殺害されてしまう。そして、その身代金強奪を指示された殺し屋・七尾は、上野駅で新幹線を降りるはずだったが……。

リハーサルでは冒頭の約30分が公開された。傾斜のある舞台上には緑色のシートが敷かれ、新幹線の座席やトイレの位置などが間取り図のように白線で示されている。舞台上方には電光掲示板が設置され、物語に関連するニュースや新幹線の停車駅が表示されるので、観客は客席にいながらにして、緊迫感に満ちた作品世界を感じることができるのだった。それぞれの思惑が交錯する物語の行く末は、劇場で見届けよう。

リハーサル後の囲み取材には、平野、坂口、小沼、碕、若宮、山本、中村、深澤、福圓、谷口が出席した。原作小説が好きだと言う平野は「『マリアビートル』はぜひ舞台でやりたかったので、実現できることがうれしい」と喜びを語り、「小説を読んだときの躍動感やコミカルさを考慮して演じられたら」と意気込んだ。自身の演じる七尾役については「実力はあるけど“ツイていない”人。ピリッとした“殺し屋”の印象と違い、ほんわかしていて抜けている役どころなので、いいクッションになれれば」と抱負を述べた。坂口は、中学生でありながら犯罪に手を染める王子を「頭がよくて、言葉1つひとつをしっかり使い分けている」と紹介。「『大事な言葉が流れないよう、言葉を選んでいるのを意識して』と演出の元吉さんに言われていますが、難しい」と役作りの苦労を明かし、「楽しみながら大人をコントロールしていきたい。悪役なので、最後はお客さんに嫌われて終わりたいなと」と笑顔を見せた。

元殺し屋の木村を演じる谷口は「常日頃、年がら年中、毎日のように人や怪物などを殺している」と自身のほかの出演作に触れ、記者たちを笑いで包む。続けて、「殺していない1年がないぐらい、殺しまくって俳優をやっているんですけど……今回は自分のふた回り下の坂口湧久くんに1時間半ずっといじめられるという役でして。新しい谷口賢志を見せられたらと思います。一生懸命いじめられたいと思います」と意気込みを述べた。七尾に仕事を斡旋する真莉亜役の福圓は「七尾くんとは恋人などではなく、あくまでもビジネスパートナー。微妙なラインを稽古で突き詰めたので、関係性も楽しんでください」とアピールした。

切れ者で冷静沈着な蜜柑役の小沼は、自身の役どころを「僕とはかけ離れている」と言い、「蜜柑は綺麗好きで、僕はハンカチを持ったりしないんですけど、ハンカチを持ってみたりとか……ジャケット(のボタン)は閉める、とか」と役作りを語った。また“天然ボケ”の檸檬役の碕は、腕利きの殺し屋コンビ・蜜柑と檸檬を小沼と自身が演じることについて「本当は蜜柑と檸檬の配役が逆じゃないかと思っています。おぬの天然なところが檸檬っぽいなと」と小沼に視線を送り、笑顔を交わした。谷口は蜜柑と檸檬、王子を物語を牽引する役柄として紹介し、小沼や碕、坂口が稽古後に何時間も残って練習を重ねていたことを明かす。「お父さん目線で『よーしよしよし、がんばれよ』と思っていた」とコメントしながら目を細めた。

車内販売の女を演じる中村は、「湧久くんが『嫌われるように』と言っていましたが、私は好かれるようがんばりたい」と笑顔で挨拶した。また車掌役の深澤は「小説では数ページしか登場しませんが、舞台では何度か出ます。このとき車掌が何を考えているのかと思っていただけたら」と呼びかけた。また序盤で登場後すぐに殺害される狼役の山本は「狼がラッキーなほど七尾が不幸になると思う。もっともっと七尾を不幸に」と不敵な笑みを浮かべた。伊坂の小説「グラスホッパー」にも登場する鈴木役の若宮は「原作ファンの方にも楽しんでいただければ」と語り、作中で女装の男性役に扮することについては「ダイエットして、脚の毛も剃りました」とアピールし、笑いを誘った。

稽古での苦労に話題が及ぶと、平野は新幹線を舞台に展開する本作の難しさを挙げる。「普通の密室劇と違って、密室が動いているためスピード感を出さなくてはいけない」と話し、「疾走感を途切れさせず、またその疾走感を一度止めたりもしながら、テンポ感や緊迫感を出しました。役者の体でスピード感を体現しなければならないので、皆一緒にがんばりました」と稽古を振り返った。また現在16歳の坂口とのシーンが多かったと言う40歳の谷口は「古いタイプの人間でして、僕は。酒を飲みに行くことで演劇は作られていると思っているんですが、連れていけないじゃないですか。いつ芝居の話をしたらいいのかわからなくて……こんなヒゲで長髪のメッシュが来たら怖いだろうなと。徐々に話しかけて、コーラを飲みながら演劇の話をして仲良くなったんですけど、僕がコーラでお腹が痛くなっちゃいました」と稽古中のエピソードを明かし、会見場には大きな笑いが起きた。

公演は2月18日まで、東京・全労済ホール / スペース・ゼロで上演される。

舞台「マリアビートル」

2018年2月14日(水)~18日(日)
東京都 全労済ホール / スペース・ゼロ

原作:伊坂幸太郎「マリアビートル」(KADOKAWA)
演出:元吉庸泰
脚本:太田守信
出演:平野良坂口湧久小沼将太碕理人、若宮亮、山本侑平、中村裕香里、深澤恒太 / 福圓美里谷口賢志

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