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浦井健治「ペール・ギュント」、ヤン・ジョンウン演出のエネルギッシュな“自分探し”

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世田谷パブリックシアター+兵庫県立芸術文化センター「ペール・ギュント」より。(撮影:細野晋司)

世田谷パブリックシアター+兵庫県立芸術文化センター「ペール・ギュント」より。(撮影:細野晋司)

浦井健治がタイトルロールを務める「ペール・ギュント」が、12月6日のプレビュー公演を経て、東京・世田谷パブリックシアターにて開幕した。

日韓文化交流企画および世田谷パブリックシアター開場20周年記念公演と銘打たれた本作。ヘンリック・イプセンによる不朽の名作を、韓国を代表するヤン・ジョンウンの演出により、日本人・韓国人のキャストで上演する。なお本作上演の背景には、2009年に初演されたヤン演出の韓国版「ペール・ギュント」や、13年の第20回BeSeTo演劇祭における来日公演版などがあり、いずれも高い評価を得ている。

なお今回の日韓版「ペール・ギュント」では、ペールの恋人ソールヴェイ役を趣里、ペールの母親オーセ役をマルシアが演じるほか、韓国の舞台や映像で活動するユン・ダギョン、ヤンが芸術監督を務める劇団旅行者の俳優たちがキャスティングされている。

真の自分をどこまでも追い求めるペール・ギュントの、壮大な“自分探し”の物語が繰り広げられる本作。闇からの声に導かれ、世界を放浪するペールは、財産を築いては、また一文無しになることを繰り返す。数奇な冒険の果て、再び故郷を目指す彼だったが……。

浦井は夢見がちで型破りながら、純朴に己自身を探し続け、歳を重ねていくペールをエネルギッシュに演じる。趣里はそんなペールの無垢な魂に魅了されたソールヴェイの可憐さと芯の強さを細やかな演技で表現した。またマルシアは放蕩息子のペールに手を焼きながらも最後まで愛し抜く母親のオーセを激しさと優しさを用いて好演。そしてユンはトロール王の娘・緑衣の女を活発に全身で体現した。

作中では日本と韓国、両国の母国語が飛び交う。村人たちやペールが訪れることになるトロールの国の住人、富を得たペールにインタビューをする記者たちなど、さまざまな場面で2つの言語が混じり合い、ときに喜劇的なやり取りが展開される。身体表現を駆使し、豊かな色彩を織り成すヤンの演出に加え、日韓キャストによるパワーがぶつかり合うことで、祝祭的な舞台空間が立ち上がった。

音楽は、作曲家でボーカリストの国広和毅が担当。国広とパーカッションの関根真理による生演奏が随所に取り入れられ、さらには国広自身の声も音の一部となり、現実と幻想が交差する作品にさらなる奥深さを与えた。

乘峯雅寛が担当した舞台美術は、舞台両サイドに重厚なコンクリートの壁と、そこにまとわりつく雑草や苔などの植物を配し、廃墟のような場所を連想させる。場面ごとに開閉する鏡のような壁は、自問自答するペールの姿を時折写し返した。また意表を突くように登場するLEDライトのバーは、各シーンの印象を一変させた。

公演は12月24日まで東京・世田谷パブリックシアター、12月30・31日に兵庫・兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホールにて。なお12月20日の18:30開演回では全国各地の映画館でライブビューイングが実施される。

日韓文化交流企画 世田谷パブリックシアター+兵庫県立芸術文化センター 世田谷パブリックシアター開場20周年記念公演「ペール・ギュント」

2017年12月6日(水)~24日(日)
東京都 世田谷パブリックシアター

2017年12月30日(土)・31日(日)
兵庫県 兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール

原作:ヘンリック・イプセン
上演台本・演出:ヤン・ジョンウン
出演:浦井健治 / 趣里万里紗、莉奈、梅村綾子、辻田暁、岡崎さつき / 浅野雅博、石橋徹郎、碓井将大古河耕史いわいのふ健、今津雅晴、チョウ・ヨンホ / キム・デジン、イ・ファジョン、キム・ボムジン、ソ・ドンオ / ユン・ダギョンマルシア ほか

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