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安田成美・那須佐代子・伊勢佳世が演じる、厄介でそれでも切れない姉妹の絆

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「CRIMES OF THE HEART -心の罪-」より。伊勢佳世左演じるベイブ、那須佐代子演じるレニー、安田成美演じるメグ。(撮影:岡千里)

「CRIMES OF THE HEART -心の罪-」より。伊勢佳世左演じるベイブ、那須佐代子演じるレニー、安田成美演じるメグ。(撮影:岡千里)

「CRIMES OF THE HEART -心の罪-」が、本日9月2日に東京・シアタートラムで開幕した。

「CRIMES OF THE HEART -心の罪-」は、1981年にピュリツァー賞およびニューヨーク劇評家サークル賞を受賞したべス・ヘンリーの戯曲。1986年には「ロンリー・ハート」のタイトルで映画化もされ、日本でも地人会新社らによって上演が重ねられている。今回の上演版では演出を小川絵梨子が担当。当初出演予定だった故・中嶋しゅうは企画者としてクレジットされた。

40歳の長女レニー(那須佐代子)、37歳の次女メグ(安田成美)、34歳の三女ベイブ(伊勢佳世)は、父が失踪し、母が首吊り自殺をした過去を背負う3姉妹。ある日ベイブが夫を拳銃で撃ち抜いたことをきっかけに、数年ぶりの再会を果たす。彼女たちはメグの元恋人のドク(斉藤直樹)や、若手弁護士のバーネット(岡本健一)、従妹のチック(渚あき)を巻き込み、ときに深刻でときにくだらない姉妹ゲンカを繰り広げる。

3姉妹はプロムのときに着たドレスの鈴の数や、チョコレートを食べた食べないで言い争いを繰り返す一方で、外の攻撃からはお互いを懸命にかばい合う。この姉妹ならではの、アンビバレンスな感情をはらんだ絆を、安田、那須、伊勢は笑いとシリアスさの見事なバランスで表現した。岡本は知的で心優しく、ときに寝癖をつけて登場する弁護士を、抜け感のある演技で魅せ、新境地を感じさせる。

ステージは三方の囲み舞台、かつ奥に緩やかに広がる3段式になっている。一番下の30センチほどの低さに設置された面にはリビングが、その上にはキッチンが広がり、さらに上には2階へ続く階段の踊場が。演者はそのほぼフラットな舞台面と客席通路を行き来し、観客の目前で演技を行う。その距離感が、翻訳劇の風味を残しながらも入り込みやすい雰囲気を作品に醸し出した。自分のこぼした飲み物を他人に拭かせるメグと、他人がこぼしたものを何も言わずに拭くレニーなど、セリフ外にそれぞれの個性を描く小川の演出にも注目したい。舞台奥にあしらわれた1本の裸木がときに木漏れ日の陰を舞台に落とす姿は、3人を見守る母のような存在を彷彿とさせた。

公演は9月19日まで。その後9月22日に神奈川・やまと芸術文化ホール メインホールでも上演を行う。なお東京公演の当日券は、開演の1時間前より劇場ロビーにて販売される。

「CRIMES OF THE HEART -心の罪-」

2017年9月2日(土)~19日(火)
東京都 シアタートラム

2017年9月22日(金)
神奈川県 やまと芸術文化ホール メインホール

作:べス・ヘンリー
翻訳:浦辺千鶴
演出:小川絵梨子
企画:中嶋しゅう
出演:安田成美那須佐代子伊勢佳世渚あき斉藤直樹 / 岡本健一

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