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「8月の家族たち」は、2007年にシカゴで初演が行われたトレイシー・レッツ作の戯曲。ピュリツァー賞とトニー賞を受賞し、2013年には映画化もされた現代アメリカ演劇を代表する作品だ。
物語は、オクラホマ州で暮らすウエストン一家の姿を描いたブラックコメディ。アルコールに溺れる詩人の父・ベバリー(
演出を務めるのは、ナイロン100℃を主宰する
2007年「わが闇」や2012年「祈りと怪物~ウィルヴィルの三姉妹~」、そして2015年に上演されたチェーホフの「三人姉妹」など、3人姉妹が登場する作品を数多く手がけてきたKERAが、家庭内に渦巻く不調和を緻密に演出。麻実演じる狂気の母と秋山ら3姉妹の愛憎入り混じるやりとりで観客をスリリングな空気に巻き込んでいく。また今回KERAは上演台本も手がけており、随所にちりばめられたナンセンスな掛け合いの応酬も見どころのひとつとなっている。
ケラリーノ・サンドロヴィッチコメント
プロデューサーから「他人の戯曲で演出してみたいものはありませんか」という提案を受けたので、必死に探したのです。なかなかやりたいホンは見つからなかった。で、トレイシー・レッツという作家に行き当たったわけです。なかなかに辛辣なコメディを書く人で、日本でも「BUG」という作品が坂手洋二氏の演出で上演されておりますが、この人の新作が賞をとって映画化されたと聞いたのが発端です。しかも三姉妹と母親の確執を描いたドラマだという。三姉妹モノに目がない私です。お、これは、と触手が動きました。
タイミングよく日本で封切られた映画版を観に行きましたが、観客が喜劇だと思ってないからか、殆ど客席に笑いは起こりませんでした。その後、ブロードウェイ上演の映像を観ると、打って変わって爆笑の連続。とくに映画と舞台で大きな違いはないのにです。
観る人によって反応が大きく変わるというのは、すなわち作品の幅を示しているのであり、こいつぁやりがいがあると感じ、すぐに上演権の獲得を依頼しました。
キャスティングについては、今回は私の要望とプロデューサーサイドのオーダーを擦り合わせました。結果、私にとって未知の俳優さんを含めた、新鮮な顔ぶれが集結。楽しみです。
それから、急遽、演出に加え、上演台本もやらせてもらうことにしました。近年連続しているチェーホフ作品同様、大幅な改変は一切するつもりはありませんが、同じ内容の台詞でも、語順、語尾等を変更し、微細な加筆や削除の権限を与えてもらえるだけで、作品を生き生きしたものにできる可能性が大きく広がるのです。
家族たちのバトルからあぶり出される「愛情」の物語を、ドライに作り上げる所存です。御期待ください。
シアターコクーン・オンレパートリー+キューブ 2016「8月の家族たち August: Osage County」
2016年5月7日(土)~29日(日)
東京都 Bunkamuraシアターコクーン
2016年6月2日(木)~5日(日)
大阪府 森ノ宮ピロティホール
作:トレイシー・レッツ
翻訳:目黒条
上演台本・演出:
出演:
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KERA演出「8月の家族たち」が開幕、母と3姉妹描くブラックコメディ https://t.co/9djlVksgMu おお、桂ちゃんじゃん