シンガーソングライター・
10年分の軌跡の集大成
今回のツアーは、中学2年生から自身で楽曲を紡ぎ、歌うことを始めた坂口が歩んできた10年分の軌跡の集大成とも言える内容となっていた。愛知、大阪を巡りたどり着いた東京公演には、多くのファンが会場に詰め掛けた。
3人のバンドメンバーに続き、ステージに登場した坂口は「私はそっとつぶやいた これはそんなおはなし」とアカペラで歌い、自らの世界に誘う。そこにバンドサウンドが加わり、インディーズで初めてリリースしたシングルの表題曲「おはなし」でライブは幕を開けた。ギターをかき鳴らしながら、緩急のあるサウンドに乗せて多彩なニュアンスのボーカルを届けていく坂口。間奏で鍵盤ハーモニカを演奏した「fruits」、呪文のような中毒性のあるフレーズで会場をひとつにした「アンババババランス」と、カラフルな楽曲が続いていく。
“東京のおにい”と作った曲
MCでは「坂口有望です、こんばんは。めっちゃ人いっぱいおるやん!」と満員の客席を眺めながら喜びの挨拶を交わす。その後、次のパートでは鍵盤を弾きながら楽曲を披露していくことを告げ、「私が“東京のおにい”と呼ばせていただいている人がいて(笑)、2018年、その方に『よかったら一緒に曲を作って歌おう』と言ってもらって生まれた曲です」と紹介。坂口がフィーチャリングボーカリストとして参加したMrs. GREEN APPLEの「Log」を思いのこもったピアノの演奏と伸びやかな歌声で届けた。そこから坂口は鍵盤でピアノやオルガンの音を奏でながら、「地球 -まる-」「URL」「あっけない」を連続で歌唱し、会場には楽しいクラップの渦が巻き起こった。
「今日来てる皆さん1人ひとりが、ちょっとだけでも自分に優しくできるように」という言葉に導かれて歌われたのは、まだ音源化されていない新曲「裸」。「自分のことがずっと好きになれなくて。でももっと好きになろうと思って」という自身の思いが詰まったメッセージがオーディエンスの心を震わせる。続く「紺色の主張」では、アコギをかき鳴らしながら力強く感情を吐き出す。曲中に織り交ぜたため息や、「話はそれだけです」とつぶやくラストのフレーズによって、坂口のリアルな人間性が浮き彫りに。次のMCでは、「ちょっとでもきれいに見られたいと思って」と前日にエステへ行った話と、バンドメンバーの紹介をした坂口。軽妙な笑いを交えた人懐っこい語り口が、客席との距離をグッと縮めていった。
私、ほんまにいい曲書いてきたわ
坂口がエレキギターに持ち替えて始まったライブ後半戦。持ち前のポップネスを発揮した「XL」「女兼-いや-」でフロアを揺らす。「もっとでっかい声聞かせてください!」という煽りを経て、音楽の持つ力を高らかに鳴らす疾走ロックチューン「musician」や、表現者としてのポテンシャルを感じさせるクールなムードの「セントラル」「黒蝶」といったキラーチューンを連続で投下していく。全身全霊で歌を届けた坂口は、興奮冷めやらぬ客席に向け「あっちー!」とひと言。続けて「私、ほんまにいい曲書いてきたわ!」と10年の活動への感慨を漏らしながらも、同時にこれまでの期間には「私が歌を書き続けてていいんやろうか」と自問自答することもあったと吐露した。
そして坂口はこみあげる感情を抑えながら、ずっと支えてくれた音楽仲間や家族、ファンに向けて、「10年間本当にありがとうございます」と感謝。会場は温かな拍手に包まれた。そして、これからも続いていく歩みに輝きを与えるように「Life Goes On」をプレイ。オーディエンスの大合唱を巻き起こしながら、ハッピーな景色を描き出して本編は終了した。
レーベル移籍、改名、年明けワンマン
アンコールを待ちわびる拍手が鳴り響く中、ステージの前に現れたスクリーンに「重大発表」の文字が浮かび上がる。息をのむ観客たちに向けて発表されたのは、所属レーベルを日本クラウンへと移籍し、2026年1月にデジタルEPをリリースすることと、2026年1月30日に東京・渋谷duo MUSIC EXCHANGEでワンマンライブが開催されること。そして、坂口自身が登場するムービーの中で、アーティスト名を改名することが告げられた。
「はじめまして。“サカグチアミ”です」。驚きを交えた歓声が沸き上がる中、ゆっくりとスクリーンが上昇するとステージには新たな名前が刻まれたバックドロップが掲げられている。そこに登場した坂口有望改めサカグチアミは「私にとっては大きな決断でした。ここからレーベル移籍するにあたって、音楽性だったり、アートワーク1つとっても、私が責任を持ってやり切るということを私から始めたいという名目で、サカグチアミに改名することにしました。でも変わらず、信じた音楽をやり続けるので、そこは安心してください」と決意を新たに力強い言葉を述べた。
アンコールでは新たな門出に向けた決意を注いで完成させたという新曲「名前」を弾き語りで披露したあと、再びバンドメンバーを呼び込んで、2017年にリリースされたメジャーデビュー曲「好-じょし-」を演奏した。坂口は曲の終わりでファンに向けて「10年幸せにしてくれてどうもありがとう!これからは私が幸せにします!」と力強く叫んで、坂口有望としての活動にピリオドを打ち、サカグチアミとしての新たな一歩を踏み出した。
サカグチアミ告知動画
セットリスト
坂口有望「歌十年tour ‐うたってんねん‐」2025年10月24日 下北沢シャングリラ
01. おはなし
02. fruits
03. アンババババランス
04. Log
05. 地球-まる-
06. URL
07. あっけない
08. 裸
09. 紺色の主張
10. XL
11. 女兼-いや-
12. musician
13. セントラル
14. 黒蝶
15. Life Goes On
<アンコール>
16. 名前
17. 好-じょし-
関連人物
マクセル - Within, the Future @maxellJP
#カレナレ DJを務めてくださっている #サカグチアミ / @ami_sakagt さんの “いい曲しかない” ライブレポート🎸 ぜひとも🎶😌
📷ライブレポート | 坂口有望が下北沢でツアーファイナル、10年分の感謝と新たな誓い「変わらず、信じた音楽をやり続ける」(ナタリー)
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