森山直太朗と中村佳穂が共鳴し合った初ツーマン、示された願いは“音楽になりたい”

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森山直太朗中村佳穂の初ツーマンライブ「ライブナタリー “森山直太朗 × 中村佳穂”」が4月6日に東京・Bunkamuraオーチャードホールにて開催された。

左から森山直太朗、中村佳穂。(撮影:曽我美芽)

左から森山直太朗、中村佳穂。(撮影:曽我美芽)

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中村佳穂ちゃんとライブをやるはずだったんですけど……

コーヒーカップ片手に姿を現した森山直太朗。(撮影:曽我美芽)

コーヒーカップ片手に姿を現した森山直太朗。(撮影:曽我美芽)[拡大]

森山直太朗(撮影:曽我美芽)

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ホールを埋め尽くした観客の視線の先には、とある部屋のような空間が広がっていた。静かに佇むグランドピアノやアップライトピアノ、そしてテーブル。白いカーテンがほのかに揺れ、ラジオからは「黒い瞳のナタリー」が流れている。そこへ上下スウェットの森山がコーヒーカップ片手に姿を現す。おそらく部屋の主であろう彼は、ラジオの音を消し、ステージを歩き回りながら「生きとし生ける物へ」をアカペラで歌い始めた。時折ズボンをたくし上げるような仕草を見せ、リラックスした様子で歌声を届けた森山。木製のチェアに腰かけながら「青い瞳の恋人さん」を歌唱したのち、彼は「今日は中村佳穂ちゃんと一緒にライブをやるはずだったんですけど、そういう形になってしまって……まだ気持ちの整理がついてないんですけど。皆さんいろんな思いを抱えて今日ここにいらっしゃってると思います。それぞれの大切な人を思い浮かべながら、気を確かに最後まで立ち会ってください」と語り、会場をざわつかせる。そのまま何事もなかったかのように「愛し君へ」が披露されると、白いスウェットに身を包んだ中村がそっと姿を現した。

「ライブナタリー “森山直太朗 × 中村佳穂”」の様子。(撮影:曽我美芽)

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中村佳穂(撮影:曽我美芽)

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彼女は森山の歌声にコーラスを添えたのち、グランドピアノの前へ。「GUM」「永い言い訳」を続けざまにパフォーマンスすると、情感のこもった歌声と旋律でオーディエンスを一気に惹き付ける。「さよならクレール」ではエモーショナルなピアノの音が止めどなく響き、観客がしばし圧倒され続けた。一方の森山はいつの間にやらジャケット姿に。彼はギターを奏でながら「坂の途中の病院」を歌唱し、まくし立てるようなボーカルで盛り立て、ハンドクラップを巻き起こす。かと思えば「夏の終わり」であたりはすぐさま切ない空気に。その間中村は、ステージ上を歩き回ったり寝転んだりと、自由な振る舞いで森山のパフォーマンスを堪能していた。

今日、それが叶えられそうなの

「ライブナタリー “森山直太朗 × 中村佳穂”」の様子。(撮影:曽我美芽)

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中村は森山の歌に賛辞を送りつつ、ピアノの音に乗せて「日本中が桜が咲いたとき彼を思う そのプレッシャーは私にははかり知れない」と言葉を紡ぐ。さらに「歌手は大変だけど最高の職業」と歌った彼女は、「悪口」からマイケル・ジャクソン「Human Nature」のカバーを披露。森山が舞台上でビデオを回すと、至近距離で撮影された中村のパフォーマンスがカーテンに映し出された。

「ライブナタリー “森山直太朗 × 中村佳穂”」の様子。(撮影:曽我美芽)

「ライブナタリー “森山直太朗 × 中村佳穂”」の様子。(撮影:曽我美芽)[拡大]

中村佳穂(撮影:鈴木友莉)

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一方、森山の「さもありなん」歌唱中には、中村がカメラを向けてシャッターを押す。ここまで言葉を交わさずお互いのパフォーマンスを見守ったり記録したりしてきた2人だったが、曲中に森山が「君、誰?」と突如質問。中村はそれに答える形で「私は名前もなく音楽になりたいの あなたを名前のない音楽にするために来たの」と歌い上げる。そのまま「MIU」がシームレスに披露され、そこへ声を重ねる森山。さらに「群青」「忘れっぽい天使」が2人によって歌われると、コントラストの利いた歌声が共鳴し合うように力強く響き渡る。「名前もなく音楽になりたい」、そんな願いが実現するかのように、オーディエンスは由無し事すべてを忘れ、ただただ2人の歌に没頭し続けた。

ストリングスとともに奏でたラストナンバー

左から森山直太朗、中村佳穂。(撮影:曽我美芽)

左から森山直太朗、中村佳穂。(撮影:曽我美芽)[拡大]

左から中村佳穂、森山直太朗。(撮影:曽我美芽)

左から中村佳穂、森山直太朗。(撮影:曽我美芽)[拡大]

「どこもかしこも駐車場」では森山がハーモニカを演奏し、観客に合唱を促すなどにぎやかなムードに。パフォーマンスを終えると盛大な拍手と喝采が送られ、その中で中村がステージから退場した。1人残された森山は、おもむろに「うんこ」を歌ったのち、「僕らはきっと待ってる」と「さくら」の歌唱へ自然と移行。しなやかな歌声で観客を魅了し舞台を去ると、再び中村が姿を現す。「どこまで」が軽やかに歌い上げられ、ステージがそっと暗闇に包まれた。

「ライブナタリー “森山直太朗 × 中村佳穂”」の様子。(撮影:鈴木友莉)

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「ライブナタリー “森山直太朗 × 中村佳穂”」出演者一同。(撮影:曽我美芽)

「ライブナタリー “森山直太朗 × 中村佳穂”」出演者一同。(撮影:曽我美芽)[拡大]

アンコールを求める拍手に応じて、森山と中村、そして須原杏(1st Violin)、越川歩(2nd Violin)、菊地幹代(Viola)、林田順平(cello)からなる弦楽隊が登場。「そのいのち」が披露され、温かく華やかなストリングスの音色、森山による乾いたギターのサウンド、中村の抜けのよい高音が、観る者の心を再び鷲づかみにする。中村のロングトーンが響き始めると、観客は感嘆の声を漏らし、その声は徐々に歓声へと変わっていった。めくるめくパフォーマンスで会場は興奮の渦に包まれ、大きな拍手が沸き起こる中、ラストに森山と中村は「生きてることが辛いなら」を歌唱。力強く、そして優しい歌声を届け、深い余韻の中ライブの幕を閉じた。

セットリスト

「ライブナタリー “森山直太朗 × 中村佳穂”」2025年4月6日 Bunkamuraオーチャードホール

01. 生きとし生ける物へ(森山直太朗)
02. 青い瞳の恋人さん(森山直太朗)
03. 愛し君へ(森山直太朗)
04. GUM(中村佳穂)
05. 永い言い訳(中村佳穂)
06. さよならクレール(中村佳穂)
07. 坂の途中の病院(森山直太朗)
08. 夏の終わり(森山直太朗)
09. 悪口(中村佳穂)
10. Human Nature(中村佳穂 / オリジナル:マイケル・ジャクソン、訳詞:中村佳穂)
11. さもありなん(森山直太朗×中村佳穂)
12. MIU(森山直太朗×中村佳穂)
13. 群青(森山直太朗×中村佳穂)
14. 忘れっぽい天使(森山直太朗×中村佳穂)
15. どこもかしこも駐車場(森山直太朗×中村佳穂)
16. うんこ(森山直太朗)
17. さくら(森山直太朗)
18. どこまで(中村佳穂)
<アンコール>
19. そのいのち(森山直太朗×中村佳穂)
20. 生きてることが辛いなら(森山直太朗×中村佳穂)

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