のっちさん

のっちはゲームがしたい! 第9回 [バックナンバー]

ドラクエが愛され続ける理由とは? 堀井雄二さんにこの35年間の話をしてもらいました

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「世代ではないしな」っていうコンプレックスがあったんです

のっち まさか取材を受けてくださるとは思っていなくて(笑)。ビックリしてます! 私は今年33歳なので、たぶん影響を受けてるドンピシャな世代は少し年上なのかな?と思いますけど、「I(ドラゴンクエスト)」、「II(ドラゴンクエストII 悪霊の神々)」、「III(ドラゴンクエストIII そして伝説へ…)」、「V(ドラゴンクエストV 天空の花嫁)」、「XI(ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて)」は私もちゃんとプレイしてて。一番記憶に残っているのは「XI」です。

堀井雄二 ああ、「XI」ね。

のっち 発売当時、いろんなインタビューで「XI」の話をして「カミュが好き」って言いまくってたんです(笑)。

堀井 まだキャラクターボイスが追加される前ですか?

のっち 前でしたね。だから、ボイスを担当する声優さんが生配信で発表されたときは「誰になるんだろう……?」ってワクワクしてて。その日はちょうど家族でパーティをやってたんですけど、私はテーブルの下でスマホを持って、ちらちらTwitterを見ながら「カミュは内山昂輝! 最高なんだけど!」って声を殺して1人でつぶやいてました(笑)。

堀井 ははは(笑)。

左から、のっちさん、堀井雄二さん。

左から、のっちさん、堀井雄二さん。

のっち 私は「XI」が本当に大好きで、あらゆるところでそのことを話したりオススメしてきたんですけど、「でもちゃんとドラクエを追ってきた世代ではないしな」っていうコンプレックスがあったんですよね……。派生タイトルだと「ドラゴンクエストヒーローズII」「ドラゴンクエストビルダーズ2」あたりはプレイしました。

堀井 そもそもドラクエをやろうと思ったきっかけはなんだったんですか?

のっち 「XI」が発売されるときに、ゲーム好きのお友達がみんな「絶対にやりたい!」って騒いでいたので、私もやってみようと思って。それで「XI」に見事にハマったら、じゃあ「V」もやってみなよって薦められて、ニンテンドーDSを引っ張り出してきてやりました。

堀井 「V」の結婚相手、ビアンカを選びました?

のっち ビアンカです(笑)。

堀井 フローラを選んだ人がけっこうたくさんいるんですよね。特に女性はフローラ派が多いんですよ。

のっち そうなんだ! 私は物語の流れ的に「ここでフローラを選ばないとゲームが先に進まないんじゃないか……?」って思いながら2人を選ぶターンに入ったからけっこう悩んだんですけど、周りは女の子も男の子も「絶対ビアンカでしょ!」って言ってる人ばっかりでしたね。フローラを選んだなんて言ったら「えっ! なんでビアンカじゃないの?」みたいに言われかねなかった(笑)。

堀井 シナリオを書いたときは、ほぼほぼ全員ビアンカを選ぶだろうって思ってたんですよ。幼馴染だから。でも逆に「幼馴染って立場にあぐらかいてんじゃないよ!」って人もいて、そういう考え方もあるんだ!と思いました(笑)。

「ゲームの中にお話があったらマンガみたいで面白いんじゃないか」

のっち ドラクエが生まれたのは35年前ですけど、堀井さんはその前からゲームを作ってらっしゃったんですか?

堀井 僕はもともとフリーライターをやってたんですよ。で、その前はマンガ家志望だったんですよね。

のっち へえー!

堀井 大学のときに漫研に入っていて、そのつながりで雑誌の編集者と知り合いになって、卒業後に「Seventeen」とかでライターをやることになって。

のっち 「Seventeen」……って、あの、女の子たちが読んでる!?

堀井 ファッション以外の記事もあるんですよ。当時人気だった、たのきんトリオ(田原俊彦、野村義男、近藤真彦)の記事とかを担当していました。

のっち 芸能ライターだったんですね。

堀井 そうそう。で、その頃にコンピュータにハマっちゃって。「プログラムって面白いな」と思ってBASICを覚えて、自分でも作り始めたんです。「こういうシステムにすればお話が作れる。ゲームの中にお話があったらマンガみたいで面白いんじゃないか」とか思い浮かべながら。

のっち それまでは、お話があるゲームというのは少なかったんですか?

堀井 パソコンにはありましたけど、ファミコンにはありませんでしたね。アクションゲームが主流の時代だったので。文字でセリフが表示されるゲームもまだなかったと思いますし。

のっち そうだったんだ。どこにもないものを作ろうとしていたんですね。

堀井 その頃のファミコンのカセットはメモリの容量はちっちゃすぎて、「ファミコンでRPGを作るのは無理だ」って言われていたので、逆に燃えましたね。限られたメモリの中でどうやって作るのかって。その作業は楽しかったです。

堀井雄二さん

堀井雄二さん

のっち ドラクエは、誰かから「こういうゲームを作ってほしい」という仕事を請けて作ったわけではないんですか?

堀井 いや、自分が面白いと思っただけです。そのときたまたま「週刊少年ジャンプ」で「ファミコン神拳」というゲームの連載を書いていたから、そこで「RPGっていうのはこんなゲームなんだ! 面白いんだぞ!」というのを多くの読者に啓蒙することができて。自分でドラクエを作りながら、それについての記事を並行して書いていたので、発売される頃には皆さんすっかり「待ち遠しい!」という感じになっちゃってて。

のっち すごい(笑)。

堀井 「I」が出た当時の「週刊少年ジャンプ」って400万部くらい売れていて、そこから数年で600万部というとんでもない部数になるんですよ。その雑誌で展開できたのは大きかったですよね。

のっち 今売れてる雑誌とは桁違いだったんですね……。そこからすぐに社会現象みたいな感じになったんですか?

堀井 社会現象と言われたのは、「III」が発売されたときですね。なかなか買えなくて、おもちゃ屋さんに行列ができて。

のっち 「I」の発売から、「III」でそんなふうになるまでの間に、何があったんですか?

堀井 だんだん口コミで広まったんだと思います。「I」も100万本くらい売れてるんですよ。それが「III」で200万本くらい、「III」で300万本以上になって。「I」から「III」まで2年も経ってないんです。

のっち えっ! そんなペースで!

堀井 ずっと作り続けてましたね(笑)。この時期はファミコンのカセットの性能がどんどん上がっていて、「I」でできなかったことが「II」でできる、「II」でできなかったことが「III」でできるようになったので。

真剣にゲームしている人の予想を裏切って、いかに意表を突くか

のっち 「勇者がドラゴンを倒す」みたいなそもそもの設定も、堀井さんが考えたものだったんですか?

堀井 いや、その前からこういうゲームはだいたいそういうもんだったんですよね(笑)。ドラクエのストーリーは単純なんですよ。ひと言で言えば「勇者が魔王を倒す」という話。最後に魔王を倒すことは決まっているので、そこまでの中間部分をどう面白く、わくわくさせるかが勝負だと思いました。

のっち ああ、中間部分。

堀井 「ゲームをやっているときに何が起こったら面白いんだろう?」というのを考えてました。物語の展開はもちろんですが、僕はイタズラ好きなので(笑)、例えば「III」だったら、勇者が王位を譲られて王様になっちゃったとか、宿屋に泊まって朝になったら村に誰もいないとか、そういうイタズラも仕掛けました。真剣にゲームしている人の予想を裏切って、いかに意表を突くかを考えて。

のっち 面白い! 最初にマンガ家を目指してお話を作っていたのが生かされてますね。じゃあ、「XI」のストーリーはどこから考えていったんですか?

堀井 まずキャラクターから考えましたね。「こういう人物を出そう」っていう。そしてそれらのキャラクターがどうやって出会うのかを考えていくんです。例えば主人公は「勇者だと言われたので王様に会いに城に行ったのに、そこで捕まって牢屋に入れられたらプレイヤーは驚くんじゃないか?」「意表を突いて、その牢屋で仲間と出会ったら面白いんじゃないか?」みたいなことを考えて。

のっち 「さっそく牢屋!?」ってビックリしました(笑)。

堀井 そのあとで、すごい高さの崖から飛び降りるじゃないですか。勇者の奇跡という、けっこう無茶な設定ですが、どうして助かったかは「ユーザーの想像に任せよう」と思って(笑)。

のっち ははは(笑)。

堀井 多少無茶でも、物語に勢いがあれば、不思議と、皆さん納得するんですね。

のっち キャラクターが出会う順番が決まって、大まかな流れが決まったところで、間を埋めていく感じなんですか?

のっちさん

のっちさん

堀井 そうですね。あと物語的には「“時間”をテーマにして、タイムパラドックスをやろう」みたいなことをおおまかに考えていました。

のっち 詳しくは書けないですけど、「XI」は最後の最後にドラクエファンなら誰もがよく知っているセリフが出てくるんですよね。

堀井 あれも最初から考えていたわけじゃなくて、シナリオ作りが中盤くらいまで進んだ頃にアイデアが出てきたんです。「使うとしたらここしかないだろう」みたいな。

のっち 確かに! あれは私も鳥肌が立ったけど、ずっとドラクエをリアルタイムでやってた人はもっとビックリしたんだろうな……。

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鳥山さんは「ドラゴンボール」じゃなくて「ドラゴンクエスト」を描いてくれた

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