日本と台湾のVSingerイベント「国際交流歌合戦」MVPインタビュー

2025年3月27日、日本と台湾のVSinger / VTuberによるオンラインイベント「国際交流歌合戦」が開催された。AWAとKKBOXの共催により実現したこのイベントには、総勢21名のVSinger、VTuberが集結。「White Team」「Red Team」「Blue Team」の3チームに分かれ、視聴者からのチャット(投げ銭)やスタンプを通じて得点を競い合う熱い歌唱バトルを繰り広げた。

各チームの中で特に多くの支持を集めてMVPに輝いたのは、松永依織(日本 / White Team)、小東ひとな(日本 / Red Team)、澪Rei(台湾 / Blue Team)の3名。この特集では、MVPの3名へのメールインタビューをお届けする。

構成 / 臼杵成晃

AWA KKBOX PRESENTS 国際交流歌合戦

「AWA KKBOX PRESENTS 国際交流歌合戦」ロゴ

日本と台湾のVSingerの交流、業界のさらなる活性化、グローバルな活躍の場を作ることを目的に、AWAとKKBOXがタッグを組んで開催したこのイベント。音声配信プラットフォーム・AWAラウンジを舞台に、日本と台湾のVSinger / VTuber総勢21名が生歌唱を披露した。出演者たちは3チームに分かれ、視聴者から贈られるフラワーチャット(投げ銭)、フラワースタンプ(AWAラウンジ上で配信者の応援に使用できるスタンプ)の数を競い合う。1万2000人を超える視聴者による投票の結果、優勝したBlue Teamには日本と台湾それぞれで展開される屋外広告の掲載権が授与された。また、各チームの中で特に多くの支持を集めた松永依織(White Team)、小東ひとな(Red Team)、澪Rei(Blue Team)がMVPを獲得した。

出演者

White Team
厄倫蒂兒Earendel / 艾斯珀達Espada / 冰霧Eisnebel / 松永依織 / キョンシーのCiちゃん / よしか⁂ / Sha-la

Red Team
浠Mizuki / 朔Sakuro / 玥Itsuki / DIKA豚足姫 / 早乙女あずき / 小東ひとな / EMUNEKO

Blue Team
澪Rei / 煌Kirali / 涅默Nemesis / 焔魔るり / ChumuNote / MUS1CA / Kisara

MC
西川あやの / リリア

公式サイト

「国際交流歌合戦」MVP獲得アーティストインタビュー

澪Rei、小東ひとな、松永依織が体感した「国際交流歌合戦」の魅力

──まずは「国際交流歌合戦」に参加されての感想を聞かせてください。

澪Rei 今回「国際交流歌合戰」に参加できて本当に光栄でした! このような国際交流イベントに参加するのは初めてで、とても新鮮で楽しかったです。AWAラウンジに触れるのは初めてだったのですが、これまでとは異なる形でファンの皆さん、お客さんと交流することができ、独特な魅力を感じました。より純粋に、歌に心を込めて届けることに集中できる特別な体験だったなと感じます。また、この機会を通じて、多くの才能あるVTuber / VSingerの方々と出会うことができました。言語の壁はあるかもしれませんが、音楽を通じて、ここに集まった皆さんが本当に音楽を愛していることを深く感じる瞬間が多々ありました。その瞬間の共鳴は、私にとってかけがえのない体験と記憶となりました。

小東ひとな 今回初めて知った出演者さんが多くて、いろんな方のお歌を聴くのがとっても楽しみだったんですが、皆さんのお歌はもちろん、ファンの方の熱量もすごく感じるイベントでした!✨ 出演者さんのフリートークは、皆さんとっても面白いのに歌うと別人!?ってなるくらいギャップがあったり……ファンの方は「本当にこの人を推しているんだなあ」って思うような熱い応援をしているのを見て幸せな気持ちになったり、自分のときにもたくさんのコメントをいただけて「うおおおお」って感動してたり……音楽っていいなって思ったイベントでした🐟

松永依織 まず企画自体がとても面白く、アーティストの皆さんはもちろん、リスナーの方々とも一丸になれて参加していてすごく楽しめました。初めて共演したシンガーさんが多かったのですが、皆さんパフォーマンスのレベルが高すぎてチーム関係なくコメントで盛り上がって、全編通して楽しかったです。

──皆さんはどういうきっかけや思いからVSingerとしての活動を始めたのですか?

澪Rei VTuberになろうと思ったきっかけは、単純に歌うことが好きで、もっと多くの人に自分の歌を聴いてもらいたいという思いからでした。とはいえ、デビュー前は自分が好かれるかどうか、自分がVTuberとしての生活を本当に楽しめるかどうか、不安でいっぱいでした。幸いなことに、今では毎日がとても楽しく、配信や観客との交流の一瞬一瞬を楽しんでいます。あのとき一歩を踏み出した自分は間違っていなかったと思うし、ずっと支えてくれているファンの皆さんに感謝しています。

澪Rei

澪Rei

小東 誘ってもらって活動を始めたのがきっかけです。この世界に来てから今年で6年目で、ひとなにとって、とてもとても大切な居場所になっています。声をかけてもらうことがなかったら活動していなかったと思うので、みんなに出会わせてもらえたことや、自分のやりたいことがたくさんできていることに感謝ですっ! 当時は配信などもしたことなかったので、デビューから1年くらいは毎回配信に緊張してごはんが食べれなかったような気がする……でも今はバクバク食べてます!!!!!

松永 VSingerとして活動する前もずっと音楽活動をしていたのですが、バーチャルの世界に興味を持っていろいろな事務所を調べて、今所属しているRIOT MUSICに出会いました。当時の事務所のHPの「魂の歌」という言葉にすごく惹かれて、ここしかないなと思っていたので、オーディションに受かったときはとてもうれしかったですね。

──日々活動されていく中で、ご自身の「個性」や「強み」について、どのように感じていますか? ご自身が思う“自分らしさ”について、ぜひ自己分析を交えてお聞かせください。

澪Rei 実は、よく「自分らしいパフォーマンスとは何か?」と考えることがあります。デビューから約1年半が経ち、最初は最善の自分を見せようと努力しすぎて少し緊張していた状態から、今ではリラックスして、配信の瞬間を楽しめるようになってきました。そのため、今は自分のスタイルは「Reilax(Rei + Relax)」でいいかなと思っています(ちょっと笑いを取りにいってますが笑)。つまり、特に強烈な個性を追求するのではなく、穏やかに長く皆さんと一緒に過ごしていきたいと思っています。自分自身がリラックスしているだけでなく、観客の皆さんにも安心して、自分らしくいられる場所を提供したいです。同時に、リラックスしながらも、言葉や歌声を通じて多くの感情を皆さんに伝えていきたいと思っています。これが、私がVTuberになった最初の動機でもあります!

小東 配信はいつ見てもみんなが楽しめるような落ち着けるような空間を作れるよう心がけています! 歌は一節一節にこだわりがあって、歌を歌うという意識よりひとつの物語を作るイメージで収録をしています✊ 普段は演技をすることなども好きなので、歌を歌っているのにしゃべっているような、言葉を粒立ててちゃんとお歌だけどメッセージとしても伝えられるように歌えるというのが自分の強みかなと思ってます! あと一応絶対音感があるのでピッチもつよつよなはず!!!

小東ひとな

小東ひとな

松永 曲によって声色を変えられるところや、どんなジャンルの曲にも自然に入り込めるところは、昔からずっと自分の強みだと感じています。どんな楽曲にも自分を溶け込ませて、拒まれることなく“(らしく)いられる”感覚があって。また、歌だけでなく活動全体を通してもすごく素直に自分の気持ちのまま動いていて、変に気取ったり飾ったりせず、弱さも含めてちゃんと届けることが、私らしさかなと思っています。

──歌唱パフォーマンスにおいて大切にしていること、アーティストとしてのこだわりなどを教えてください。

澪Rei 自分の歌唱は、特別華やかなタイプではないと思っています。そのため、歌うときにはしっかりと聴いてくださっている皆さんに感情を伝えることを大切にしています。多くの考えや気持ちは、言葉だけでは純粋に伝えるのが難しいと思っており、それが歌の存在意義だと信じています。曲を作るときには、喜び、悲しみ、不安、感謝など、言葉にしにくい感情や思いを歌に込めたいと思っています。私にとって、創作は直接言葉にしなくても理解してもらえる手段です。VTuberになってからは、配信や歌を通じて、空間や時間の壁を越えてほかの人と共鳴し、貴重なつながりを築くことができると深く実感しています。こうした可能性があるからこそ、私は歌い続けたいと思っています。私たちの感情が共鳴するその瞬間を待ちながら。

小東 歌唱パフォーマンスはまだまだ修行中です!!!www ですが、最近はライブでみんなと一緒に楽しむというのが出来てきている気がします!! アーティストとしては、カバー曲の場合はできるだけその曲で伝えようとしていることを尊重して、自分の歌を通しても伝えられることがあればいいなと思ってお歌を歌ってます! でも歌の解釈って人それぞれでよいと思うので、「こういうことを伝えたいのかな」とか考える時間が好きだったりします。

松永 ロックや盛り上がる曲では決して自分だけの世界にならないように会場との一体感を大事に。そしてバラードやストーリー性のある曲では、もちろんうまく歌うことも大切ですが、聴いてくれる人に“想い”が届くことを一番大事にしています。

松永依織

松永依織

──「国際交流歌合戦」で披露された楽曲についても教えてください。選曲の理由や、その楽曲に込めた気持ち、ステージでどんなメッセージを届けたいと思っていたのか、ぜひお聞かせください。

澪Rei 今回歌唱した曲は「漫夜Sleepless」です。この曲は、私の初めてのオリジナル曲であり、デビュー前の不安な気持ちをつづったものです。当時、VTuberとして自分が好かれるかどうか、これから直面する多くの未知の挑戦に対する不安で眠れない夜が続いていました。そんな気持ちを抱えながら、この「漫夜」を書き、デビュー後の最初のオリジナル曲として発表しました。「国際交流歌合戰」でこの曲を歌唱しようと思ったのは、この曲が私にとって特別な意味を持っているだけでなく、お客さんからのフィードバックを通じて、こうした感情が決して1人ではないことに気付いたからです。誰もが不安や痛みに引き裂かれ、眠れない夜を経験したことがあります。そうした気持ちは、どんな言語を話していても、どこに住んでいても、きっと理解できるものだと思います。音楽を通じて、私たちは同じ感情を共有し、同じ夜を乗り越えることができるのです。

小東 歌の中にもある「音を楽しめたらそれが音楽」というのが今回のイベントにピッタリな選曲だったんじゃないかなって思ってます(`・ω・´)b ファンのみんなと出演者さんみんなで作ったとても素敵な歌合戦でしたねっ✊

松永 チームのトリだったということと、私の歌を初めて聴く方が多かったと思うので、自分のオリジナルソングの中でも一番盛り上がる、そして一番松永依織の魂が伝わるんじゃないかなという曲を持っていきました。最後、白組みんなで絶対勝つぞ! 熱くなれー!って気持ちで歌っておりました。

──共演したアーティストの中で、特に印象に残ったアーティストは?

澪Rei 今回は、もともと知っていたVTuber仲間たちに加え、これまで接点のなかった多くのVTuberとも出会うことができ、本当に光栄でした! イベント前に同じチームのメンバーをもっと知りたいと思い、その過程で焔魔るりさんの壮大な世界観を感じさせるオリジナル楽曲や、彼女の非常に力強く突き抜けるような歌声に触れる機会があり、初めて聴いたときは本当に衝撃を受けました。特に「Hope Song」という曲が大好きです。イベント前の番組では、焔魔るりさんご本人と交流するチャンスもありましたが、緊張しすぎてこの気持ちをうまく伝えられず、今でもちょっと悔しい気持ちが残っています(笑)。そして、イベント当日に特に印象に残ったもう1人は、Red TeamのDIKA豚足姫さんです。彼女の歌声と選曲は、このイベントの中でも特に際立っていて個性的でした。以前から彼女のオリジナル曲を聴いたことはありましたが、ライブで聴いたときの衝撃と鳥肌が立つほどの感動は、今でも忘れられません。ぜひ皆さんにも、このイベントをきっかけにDIKA豚足姫さんの魅力あふれる作品に触れてみてほしいです!

小東 皆さん面白くて(?)お歌が上手なのはもちろん、やっぱりイベント終了後に別の出演者さんとも話したのが「ファンの方の熱量がすごい!!」という事でしょうか👀! 本当にファンの方たちのパワーってすごいんだなって……! ひとなのことを応援してくれる方にはもちろんいつもBIG感謝!してますが、ほかの出演者さんのファンの方の熱量にも圧倒されたし温かい気持ちになりました!! 好きって気持ちはすごいですね!! MCのリリアちゃんも翻訳しながらも司会進行大変だったかと思いますが、おかげ様で何も時間とか気にせず自由にのびのび話してた気がします🌷ありがとうリリアちゃん!! あと最後の感想を聞くタイミングで出演者さん同士でナンパが行われてたことも印象に残っていてます🤣

松永 皆さん素敵でパフォーマンスでは選べないので、かなり個人的なお話しをしてしまうのですが、印象に残ったのは台湾で活動されているEarendelちゃんです。お話ししたことはほとんどないのですが、最後にインタビューのときに指名をさせていただいてそのときの反応がかわいくて、もともと気になっていたのがさらに好きになってしまいました。

──改めてイベントを通じて感じたこと、応援してくれたファンの皆さんへの思いなどあれば、ぜひお話してください。日本のファンの皆さん、音楽ナタリー読者に向けてのメッセージもお願いします。

澪Rei 日本の皆さん、はじめまして! 今回のイベントを通じて皆さんと出会えたこと、とてもうれしく思っています。普段は主に台湾で活動しているため、こうして日本のリスナーの皆さんに歌を届けられたことは、本当に貴重でありがたい経験でした。日本語はまだあまり得意ではありませんが、一生懸命勉強していて、これまでにいくつかの日本語カバー曲も出しています。もしよければぜひ聴いてみてください! これからも、言葉の壁を越えて、さまざまな感情を歌を通じて伝えていけたらと思っています。どうぞよろしくお願いいたします!

小東 いつもひとなのことを温かく応援してくれてありがとう~!! これからもみんなが応援したくなるような存在でいるからね!!

松永 改めて「国際交流歌合戦」ではたくさんの愛のある応援をありがとうございました! キミたちのおかげでチームMVPまでいただけて、本当に感謝してもしきれません。当日、かなり緊張もしていたのですが、いつも通りのキミたちのたくさんのコメントやギフトに勇気をもらったおかげで、最高の歌唱ができたと思っています。本当にありがとう! 今後もぜひ松永依織をよろしくお願いします!

──最後に、これから挑戦してみたいこと、目指しているビジョンや夢など、VTuber / VSinger / アーティストとしての今後の展望について聞かせてください。

澪Rei 今回のインタビューを通して、ひさしぶりにこれまでの活動を振り返り、歩んできた思いを再確認することができ、これからの未来がよりはっきりと見えるようになりました。少し前に3D化を果たしたこともあり、現在の目標は、より自然に身体を使ったパフォーマンスを楽しめるようになることです。そのためにダンスレッスンやフィットネスにも通い始めました。いつか、自分のフルライブをなんらかの形で開催するのが夢です。声の表現だけでなく、ステージ上で自分を自由に表現することは本当に簡単なことではありませんが、全力でがんばります! 皆さんにも私の理想の姿に近付く過程を見守ってもらえたらうれしいですし、その夢が叶う瞬間を一緒に見届けてくださいね。

小東 実は活動6年目で正真正銘のオリジナル曲というのが1曲もなくて、今回のイベントに出演して改めてオリジナル曲っていいな……って思ったので自分のオリジナル曲……欲しい……!! そして演技のお勉強もしているので、お歌にもそれを生かしてどんどんたくさんの表現をしていきたい!!

松永 デビュー当初から、さいたまスーパーアリーナでライブをすることをずっと夢見て活動しています。まだまだ遠くて、大きすぎる夢かもしれません。でも、今年は東京だけでなく地方でもライブをする機会が増えてきて、少しずつ輪が広がっているのを感じています。これからも夢に向かって、努力を忘れずに、歌い続けていきたいと思います。