本作はタクシー運転手の宇佐美浩二と、85歳の高野すみれが織りなす物語。ある日、浩二はすみれを東京・柴又から神奈川・葉山にある高齢者施設まで送ることに。人生の終盤を迎えたすみれは、思い出の場所に寄り道。次第に心を許した彼女は、初対面の浩二に自身の壮絶な人生を語り始めるのだった。倍賞がすみれ、木村が浩二を演じている。
本編の多くを占めるタクシー車内の撮影には、山田組初となるバーチャルプロダクションを活用。セットの中に置かれたタクシーを取り囲むようにLEDパネルが設置され、車窓の風景を映し出しながら撮影された。木村はLEDに流れる風景に合わせてウィンカーを出したり、ハンドルを回したり、ブレーキを踏んだり、慣れないバーチャルプロダクションによる撮影でタクシー運転手役を演じ切った。
制作発表会見で「木村くんの素の魅力を盗み撮りたい」と語っていた山田は、台本を書き直したり何度もテイクを重ねたりと、車内での会話シーンに並々ならぬこだわりを詰め込んだ。すみれが語る壮絶な人生と、それを真摯に受け止める浩二、そして2人が自然と距離を縮める様子が見事に表現された。セットにこもっての撮影が何日も続く中、倍賞と木村も劇中の関係同様にすっかり打ち解け、おいしいお店を教え合ったりしていたそう。
オールアップとなった撮影は、
「TOKYOタクシー」は、11月21日より全国でロードショー。倍賞と木村のコメントは以下の通り。
倍賞千恵子 コメント
「もう撮影に来なくていいのか」という気持ちと、「終わってしまって寂しい」という複雑な気持ちで、わーい!という気持ちになかなかなれないのはとても不思議です。私はいつも、映画は照明さんやカメラマンさんなど全員が同じスタートラインに立って、「よーいスタート!」で一つの山を登っていくことだと思っています。久しぶりの手応えを感じる山田さんの演出で、素敵な山登りができたと思っています。こんな素敵なスタッフの皆さんに会えることはなかなか無いと思います。
木村拓哉 コメント
今回の作品での撮影現場での自分の役割や責務はひとまず終わりました。「TOKYOタクシー」という駅伝のコースがあったとしたならば、宇佐美浩二というキャラクターの部分の区間を走りきって、次の走者にたすきを繋いだという気分です。他の作品はクランクアップの時に“終わった”という作品との決別のような、作業の終了をいつも感じるのですが、今回に関しては、たすきを繋げてよかったなという気持ちです。
🍀なつ🍀Captain Takuya's crew @saekinatsu2
【制作現場レポート】「TOKYOタクシー」撮影現場レポート、倍賞千恵子と山田洋次がハグ 木村拓哉の運転は(メイキング写真7枚 / コメントあり) https://t.co/thspq3BIzZ