本作は、アイドルグループ「ハッピー☆ファンファーレ」のセンターを務める山岡真衣が恋愛禁止のルールを破り、やがて法廷で厳しく追及される物語。齊藤が真衣を演じ、倉は真衣と恋に落ちる中学時代の同級生・間山敬に扮した。
エンドロールが始まると同時に拍手が沸き起こり、大盛況となった本作の公式上映。深田は企画の成り立ちについて問われると、2015年に日本で実際に起きた“恋愛禁止契約違反”を根拠とした女性アイドルの訴訟事件を挙げる。「恋愛を理由に厳しい裁判に掛けられることの不条理さや、それが人権侵害にあたるのではないかという疑問を抱き、この映画の企画が始まりました」と説明したうえで、「私自身は、自分の考えを伝えるためのプロパガンダとして映画を利用したいとは考えていません。映画を観てくださる皆さんに『もし自分がこの立場だったら?』とそれぞれ考えてもらうきっかけとなることを目指しています。皆さん自身の恋愛観などが鏡のように映し出される、そんな映画になればと願っています」と制作意図を伝えた。
続いて、倉は自身が演じた役について「交際当初、敬は真衣にとって非常に魅力的な存在でしたが、裁判という試練を経験していく過程で、2人の間には距離が生じるととともに、以前よりも“かっこよさ”が薄れ、非常に人間的で現実的な人物像が見えてくるように意識しながら役作りを行いました」と説明。またアイドルの“恋愛禁止ルール”については「役者としてではなく、一個人としては、2人がともに人生を築いていくことが最善だと思いました。しかし役者という立場、そしてエンタテインメント業界に身を置く者として、複雑な感情もあります。友人である俳優やアイドルたちが、ごく普通の恋愛をしているだけで世間から激しい非難を浴びたり、その関係を公にできないまま隠し続けなければならない状況を目の当たりにしてきました。これはある意味、人権や基本的な権利を放棄させられているようなものであり、そうした生きづらさを解消していくのが、この映画の役割なのではないかと考えていたからです」と持論を述べた。
Q&Aでは、観客から熱心な感想や質問が多数寄せられ、キャスティングに関する質問には深田が「齊藤京子さんと出会えなければ作れなかった映画だと思っている」と回答。終了後の映画館のロビーでは、大勢のファンからサインを求められ、現地での注目度の高さをうかがわせた。なお「恋愛裁判」は2026年上半期にタイでの劇場公開を予定。「バッド・ジーニアス 危険な天才たち」などを制作した映画スタジオGDHが、タイ国内配給権を獲得した。
本作はブラジル・リオデジャネイロ国際映画祭のワールドパノラマ部門、インド・コルカタ国際映画祭のシネマ・インターナショナル部門への出品も新たに決まり、現時点で10の国際映画祭に出品されることとなる。日本では10月27日から開催される第38回東京国際映画祭のガラ・セレクション部門で国内最速上映が行われ、2026年1月23日より全国ロードショー。
映画「恋愛裁判」新特報
関連記事
深田晃司の映画作品
リンク
深田晃司 @fukada80
映画『恋愛裁判』バンコクでのQ&Aのより詳細なレポートです。映画ナタリーさん、ありがとうございます。 https://t.co/7q274uRHy7