「あの頃、君を追いかけた」ギデンズ・コーと山崎貴がトーク、“厨二病”で意気投合

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台湾映画「赤い糸 輪廻のひみつ」のヒットを記念し、監督のギデンズ・コー(九把刀)とキャストのクー・チェンドン(柯震東)が来日。本日12月28日に東京・新文芸坐で行われた「あの頃、君を追いかけた」トークイベントに登壇した。この記事は一部作品のネタバレを含むので注意してほしい。

台湾映画「あの頃、君を追いかけた」トークイベントの様子。左からクー・チェンドン(柯震東)、ギデンズ・コー(九把刀)、山崎貴

台湾映画「あの頃、君を追いかけた」トークイベントの様子。左からクー・チェンドン(柯震東)、ギデンズ・コー(九把刀)、山崎貴

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2011年に台湾で公開され、メガヒットを飛ばした「あの頃、君を追いかけた」(原題「那些年,我們一起追的女孩」)は、ギデンズ・コーが自伝的小説を自ら映画化した青春ラブストーリー。台湾中西部の町・彰化に住むコートンは、同級生の仲間たちと馬鹿なことばかりして、お気楽な高校生活を過ごしていた。ある日、担任はクラスの優等生チアイーをコートンのお目付け役に任命。反発し合う2人だったがチアイーのピンチをコートンが救ったことで、2人の距離は縮まっていく。クー・チェンドンがコートン、ミシェル・チェン(陳妍希)がチアイーを演じた。

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山崎貴「なんてものを作ったんだ!」

イベントにはギデンズ・コーとクー・チェンドンに加え、「あの頃、君を追いかけた」のファンだと公言している山崎貴がサプライズで登場し、大きな歓声が上がった。山崎は「本当に好きな映画って1回しか観ないんです。この作品もあまりに衝撃を受けて、心をかき混ぜられすぎて、しばらく観ないようにと封印していた映画。だから今日、久々に観たんです。まだこの作品に涙できる自分がいてうれしかったです」と喜び、「自分自身もこういう時代があったんだなと一緒に当時に戻って、心をかき乱される。なんてものを作ったんだ!と感じました。僕が知っている世界ではないんですが、ある種の懐かしさがあって、日本と似ているところもある。たまらない感情の中にもう一度連れていかれました」と言葉に力を込めた。

台湾映画「あの頃、君を追いかけた」トークイベントの様子。作品の大ファンだと公言する山崎貴(右)がサプライズで登場した

台湾映画「あの頃、君を追いかけた」トークイベントの様子。作品の大ファンだと公言する山崎貴(右)がサプライズで登場した [高画質で見る]

ギデンズ・コーは「若かりし頃には、誰しも思いを寄せた人がいると思うんです。皆さんの心の中にも大好きだった人がいる。観客はきっとこの映画を観ながら、その人を思い出しているのではないかと思います。純粋に人を好きになり、無我夢中でその人のために何かをして、でもすれ違ってしまう。そんな自分の経験と重ね合わせられるから、応援してもらえるのではないかと思います」と分析する。山崎と同じく、久しぶりに本作を鑑賞したというクー・チェンドンは「前回この作品を観たのは10代の終わりか、20代の頃。今、34歳になって、改めて大きなスクリーンで観て学生時代の真剣さを思い出しました。青春時代ならではの、純真さがスクリーンに刻まれている。改めて観て感慨深いです」としみじみと口にした。

ギデンズ・コー(九把刀)

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クー・チェンドン「監督の分身を演じられるのは僕以外いない」

「一番涙腺がゆるんだシーンは?」という質問が飛ぶと、山崎は「ラストの『付き合ってもいいよ』って書いてあるところ。うわーって身悶えします。つらい! あそこでチアイーの気持ちをコートンが知っていれば、違う未来になっていたかもしれない。2人が結ばれないほうが映画としてはいいかもしれないんですが、結ばれてほしかった! 切ないからいいんだと納得はするんですけど、心が納得しない! 最初にこの作品を観たときは部屋をのたうち回りました。そして、なんでチアイーの結婚相手はイケメンじゃなくていい歳のおっさんなんですか!? 最初お父さんかと思っちゃいました(笑)」と素直に疑問をぶつけ、会場の笑いを誘う。これにギデンズ・コーは「この作品は自分の青春時代を投影した作品なんです。学生の頃大好きな女性がいたんですが、自分より身長が3cm高くて、告白して断られるのがすごく怖くて、思いを伝えられなかったんです。その3cmを埋められたら告白できたかもしれません。でも、実際に彼女の結婚式に参加して、新郎を初めて見たとき、彼が僕と同じような身長だったんです(笑)。映画を撮影するときも同じように描こうと思ったんですが、反対されました。それで顔面を僕と同じレベルにしたんです」と苦笑した。本作のほかにも、映画の中でギデンズ・コーの分身的キャラクターを演じてきたクー・チェンドンは「僕が思うに、監督の分身を演じられるのは僕以外いないと思います。『あの頃、君を追いかけた』の現場でそう思ったんです。監督の指示は適当なんです(笑)。それを咀嚼して演じるには理解力と表現力、監督と同じような“幼稚力”がないとダメだと思います」と笑った。

クー・チェンドン(柯震東)

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「あの頃、君を追いかけた」は、山田裕貴と齋藤飛鳥の共演で日本、ジニョンとダヒョン(TWICE)の共演で韓国にてリメイクされている。日本版の撮影中、現場に応援に行ったというギデンズ・コーは「山田さんの演技力はすごかった。雨に打たれながら好きだと伝えるシーンは感動しました」とコメント。山崎が本作を知ったときにはすでに日本でのリメイクが決定していたそうで「リメイクしたかったです。でも作っていて、心が痛くなりすぎる。塞がったはずの傷が開いて、血みどろになる。よく耐えられましたね」と声を掛ける。これにギデンズ・コーは「主演女優さんが美しいといろんな問題が解決できます」と茶目っ気たっぷりに話し、「ご本人もそう思ってくれているといいんですが、ミシェル・チェンさんのすごい表現力をこの作品に刻んだという自負があります」と自信を見せた。

ギデンズ・コー「厨二病なんです」

イベント中には「厨二病なんです」とギデンズ・コーが山崎に打ち明ける場面も。「毎回目標を達成したり、わーこれはいい作品を撮ったぞ!と思ったら、心の中で好きだったあの子に、ほら見ろ!と自慢しちゃうんです。初恋の人と付き合えた人のほうが、ある種失っているんじゃないかと。すれ違いを経験していない人生はむしろ完全ではないのではないかと思います」と言及する。山崎は「我々は厨二病が重ければ重いほどいい仕事ができる。一生付き合っていく持病です。幼稚って言われるとちょっとうれしい」と笑みをこぼした。

台湾映画「あの頃、君を追いかけた」トークイベントの様子。左からクー・チェンドン(柯震東)、ギデンズ・コー(九把刀)、山崎貴

台湾映画「あの頃、君を追いかけた」トークイベントの様子。左からクー・チェンドン(柯震東)、ギデンズ・コー(九把刀)、山崎貴 [高画質で見る]

山崎は「久々に作品を観て、“あの頃”の気持ちを思い出せて幸せでした。こんなふうに心を連れて行ってくれるタイムマシーンのような映画は貴重。そして(ギデンズ・コーの)新作『功夫』も楽しみです。日本の配給会社が決まるといいなと思います。厨二病大爆発の映画を今後も撮り続けてほしい!」とエールを送る。ギデンズ・コーが「クー・チェンドンは『功夫』でも高校生をやっています!」と期待を煽ると、山崎は「予告を観て、まだ高校生やってんじゃん!って思いました。似合っててすごいなって。日本にも神木隆之介という一生高校生やれるんじゃないかなっていう俳優がいます(笑)」と紹介した。

そしてクー・チェンドンは「『あの頃、君を追いかけた』を撮影していた頃、僕はまだ18歳でした。改めて、皆さんと作品が観られてうれしかったです。あれから15年経って、『赤い糸 輪廻のひみつ』や『功夫』などいろんな作品に出演しています。映画を通して、海外の皆さんとつながれることをとても幸運なことだと思っています。これからも皆さんと交流し続けられることを期待しています」と挨拶。ギデンズ・コーは「皆さんとともに、今日は劇場で何度も何度も涙しました。僕が最後に大泣きしたのは、『ドラゴンボール』を手がけた鳥山明先生が亡くなったと知ったときです。先輩方の無念や、先輩方への憧れの気持ちを持って、新しい作品に挑みながら、また皆さんと一緒に涙を流せることを期待しております。ありがとうございました」と語りかけ、イベントの幕を引いた。

なお本イベントは「麻吉砥加電影presents『赤い糸 輪廻のひみつ』大ヒット感謝&新作待望特別企画『ギデンズ・コーが語る、ギデンズ・コーの世界』」と題し、12月27日・28日の2日間にわたって開催された。「怪怪怪怪物!」を皮切りに、「ミス・シャンプー」「赤い糸 輪廻のひみつ」「あの頃、きみを追いかけた」の4作品が上映され、ギデンズ・コーはすべての回に登壇した。

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Kimura_Kun @kimura_takashi

映画ナタリーさんが『あの頃、君を追いかけた』のアフタートークもしっかり記事にしてくれている!
仕事ができるな〜 さすが映画ナタリー!
#ギデンズの世界
#あの頃君を追いかけた https://t.co/IpoXj0VBDx

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