映画「
物語の舞台は、2020年に日本で初となる新型コロナウイルスの集団感染が発生した豪華客船ダイヤモンド・プリンセス号。災害医療を専門とする医療ボランティア的組織・DMAT(ディーマット)のメンバーを中心に、未曾有の事態に直面した人々の姿を克明に描く。小栗はDMAT指揮官・結城英晴、松坂は厚生労働省職員・立松信貴、池松は現地から駆け付けたDMAT隊員・真田春人、窪塚は東日本大震災で結城と活動した過去を持つ医師・仙道行義を演じた。また森は船内で働くクルー・羽鳥寛子、桜井は船を追うテレビ記者・上野舞衣に扮した。
それぞれの役にはモデルとなった人物が存在し、舞台挨拶では、演じたキャストに向けて“本人”から手紙が送られるサプライズも。壇上で読み上げられた手紙には、当時の壮絶な現場や葛藤、そして深い感謝がつづられており、キャスト陣の胸に強く響いた様子だった。
小栗演じる主人公・結城のモデルとなった医師・阿南英明氏の手紙は「5年前、苦しくて苦しくて。早く終わりたい、早く忘れたい。そんな思いでした」という書き出しから始まる。信念が揺らぎながらも現場に立ち続けた日々を振り返り、「撮影現場で小栗さんの後ろ姿を見たとき、完成した映像を観たとき、何度も涙しました」と感謝。「“小栗DMAT”が本当の勇気を呼び戻してくれました。再び危機に直面したとき、大切な仲間と逃げずに最善を模索しようと思います」と決意を示した。
小栗は「素敵なメッセージをいただいてうれしいです」と受け止め、「映画で描かれていない現実もたくさんあったでしょう」と思いを馳せる。「今もDMATの皆さんは活動されています。まずはご自身たちが無事でいながら、いろいろな災害に向き合っていただきたい」と敬意を込めて伝えた。
ほかのキャスト陣にも手紙が読み上げられ、松坂は「この方々の粘り強さがあったから、いろんなことがスムーズに進み、目の前の命を救えたんだなと思う。この役を演じられてよかったと改めて感じます」と真摯に語り、池松は「先生たちの魂に震えるほど感動します。改めてこの映画を医療従事者の方々に捧げたいです」と口にする。森は「初めてお会いしたとき、ピンチを乗り越えてきた方のオーラを感じて。自分の体からも“乗り越えた何か”を表現しなきゃいけないんだと気が引き締まりました」と回想。また唯一オリジナルキャラクターを演じた桜井には、関根から手紙が寄せられた。関根は「この映画と観客をつなぐ架け橋」と役について表現し、桜井も「愛を持って作られた人物だと感じながら演じました」と感謝した。
窪塚は舞台挨拶の冒頭で「世界を変える力のある作品だと思っています」と力強く語っていた。手紙を受けて「この作品に出ていなかったら、こうした人々が世界を回していることを忘れたままになっていた。旬に呼んでもらって、この映画に参加できて幸せ。誇りです」と改めて思いを言葉にする。
また最後にはプロデューサーの増本淳が、DMAT関係者から届いたもう1通の手紙を紹介。「人生のすべてを懸けた密度の濃い時間を過ごしました」「思い出を語らないほうがいいと思って隠してきましたが、映画を作っていただいたおかげで、何か報われたような気持ちです」と記された手紙を受け、増本は「コロナ禍で、全員がいろんな思いを抱えながら“フロントライン”に立っていた。この映画が明日からまた生きていこうと思えるきっかけになったらうれしいです」と語った。そして小栗は「“医療もの”と敬遠されがちかもしれませんが、この映画から勇気をもらえるはず。明日からの生活がまた違う色になるような映画体験ができると思います」と呼びかけ、舞台挨拶の幕を引いた。
「フロントライン」は全国で公開中。
映画「フロントライン」予告編
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