映画「
本作は「アルプススタンドのはしの方」に続く高校演劇舞台化プロジェクトの第2弾として2021年に上演された舞台「水深ゼロメートルから」を映画化した青春群像劇。高校2年の夏休みに特別補習としてプール掃除を指示されたココロとミクは、野球部のグラウンドから飛んできた砂を掃き始める。同級生で水泳部のチヅル、水泳部を引退した3年の先輩ユイも掃除に合流。学校生活、恋愛、メイクなど、たわいない会話の中で時間は進んでいくが、やがて彼女たちの悩みがあふれ出す。濱尾咲綺がココロ、仲吉玲亜がミク、清田みくりがチヅル、花岡すみれがユイを演じた。
山下は「若者を描いたのは2005年の『リンダリンダリンダ』以来。その間に1本ありましたけど、こんなふうにちゃんと学生を描いたのは久々。すごく楽しかったですね」と笑顔に。また劇中に男性がほとんど出てこないことについては、「台本を読んだ段階から男性は出したくなかったんです。野球部は声とかで存在感はありますけど、基本女子しか出てこないってのは決めていました」と振り返る。
舞台の映画化にあたり、徳島市立高校の演劇部時代にシナリオを執筆した中田夢花が自ら脚本を手がけた。「女の子が書いたシナリオ。生理の悩みなどは自分でもわからないので、脚本を信じつつ、演じているキャストたちがしっくりくるかどうかを大切にしていました」と述べ、「女性は共感する部分があると思うし、男性は観る人によって感じ方が違うのではないかと思います」と言及した。
「セリフばかりの作品に不安はなかったですか?」と問われると、山下は「クランクイン前はプールだけだし、大丈夫かな?って思ったんです。でも現場に行ってみると、プールって面白くて不思議な魅力があるなって。自分が思っていた以上に面白いものになった。彼女たち(キャスト)を演出すれば大丈夫なんだと思いました」と語る。そして「スタッフも少なくて、現場に20人いるかいないかぐらい。それぐらいの規模はすごく気が楽。去年の10月に撮影したんですけど、太陽の関係で撮影できるのは8時から15時まで。毎日プールに行って、夕方からお酒を飲んで、すごく健康的なサイクルで撮影していました。楽しかったですね」と思い返した。
イベント終盤には観客から「ラストシーンは『リンダリンダリンダ』を思い出さずにはいられなかった。あそこで終わった意図は?」と質問が飛んだ。山下は「当初は別のシーンがラストシーンだったんです。でも編集する中で、あまりにもあの場面が力強すぎちゃって、映画を終わらせてくれるんじゃないかと。いろいろ迷ったんですが、あれがラストカットにふさわしいと思いました。次につながる感じでいいかなと、あの場面を選びました」と説明した。
「水深ゼロメートルから」は、5月3日より東京・新宿シネマカリテほか全国で順次公開。現在、MotionGalleryでは本作のスペシャルサポーターを募集するクラウドファンディングが行われている。
※濱尾咲綺の濱は異体字が正式表記
映画「水深ゼロメートルから」特報
第19回大阪アジアン映画祭
2024年3月1日(金)~10日(日)大阪府 ABCホール、シネ・リーブル梅田、T・ジョイ梅田、大阪中之島美術館
久保/ LEONE / Lenny / KP @ProductionLenny
山下敦弘監督のコメントが興味深い!
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