2014年に閉館した東京・吉祥寺バウスシアターをめぐる家族の物語「BAUS 映画から船出した映画館」の製作が明らかに。2022年3月に死去した
映画上映にとどまらず、演劇、音楽、落語など「おもしろいことはなんでもやる」というコンセプトを掲げ、吉祥寺の文化的な拠点として親しまれた吉祥寺バウスシアター。その歴史は、1925年に吉祥寺に初めて誕生した映画館である井の頭会館、1951年に開館したバウスシアターの前身となるムサシノ映画劇場までさかのぼる。映画では書籍「吉祥寺バウスシアター 映画から船出した映画館」「吉祥寺に育てられた映画館 イノカン・MEG・バウス 吉祥寺っ子映画館三代記」を原作に、その長い道のりをともに歩んできた家族の姿を描く。
甫木元は多摩美術大学の造形表現学部映像演劇学科で青山に師事。映画のほか、小説の執筆やBialystocksとしての音楽活動でも知られる。本作を「映画館が生まれ、大きくなり、そしてなくなるまでの物語。そこに特別な秘密があるわけではなく、世界中どんな街にも存在する映画館に生きた無名の家族の物語です」と紹介しつつ、「映画という窓を街に作り、娯楽という風を吹き込む事に奮闘した無名の(無数の)人々の密やかな企み。決して戦争をしてもよいと企む人々ではない。かすかな自由と幸福を見つけようと懸命に生きたこの家族の思いが、空想と共にささやかな一本の映画となって、世界の人々に映画館の存在を改めて説いてくれる。そんな願いを込めて本作を作れたらと思っています」と語った。
エグゼクティブプロデューサーはバウスシアターの元館主で「吉祥寺に育てられた映画館」の著者である本田拓夫、企画・製作は同館を代表するイベントの1つだった「爆音映画祭」を主宰するboidが本田プロモーションBAUSとともに担当。プロデューサーにはboidの樋口泰人、青山と多数の作品で組んだ
「BAUS 映画から船出した映画館」では劇中で使用する写真・映像を募集中だ。井の頭会館、ムサシノ映画劇場、吉祥寺バウスシアターと続いた約90年の歴史の中で、さまざまな表情を見せた映画館や街との思い出を求めている。期間は2月29日23時59分まで。そのほかの注意事項は応募ページで確認してほしい。
本田拓夫 コメント
古今東西、映画館屋の話って余り聞かないと思います。親子三代で村や町に映画を広めたその物語を映画にしたくて、長い間その時を待っていたんです。そしてバウスシアターの閉館やその後の映画作りへのかかわりのなかで、ついに映画の仲間たちに繋がったんです。
爆音映画上映の樋口さんに映画化の話をしてその制作をお願いしたところ、青山真治監督を紹介して頂き、三度程お会いして話をしてお願いしたのです。最初のプロット、初稿ができ、あんな話、こんな話をして物語を詰めたいと思う矢先に突然のご不幸を知り驚きと無念さに悲観にくれていたところ、樋口さんより青山監督の愛弟子の甫木元空さんがこの話を繋ぐとの話が出て、それは終わりの始まり、バウスをやっていたときもそうだったけど、これでようやくいろんなピースが集まって映画は完成するなと思ったんです。古い話、映画館の改装や建て替えや経営の切り替えや上映する映画等々でさんざん苦労してきた私には、映画から船出した映画館、つまりバウスシアターの物語の完成は夢でもありさらにそこから始まる物語のスタートとも言えるものではないかと思っています。いまはただ、全国公開となる日を楽しみにしなから待つ身ですが、役立つならなんでも協力すると思っている今日この頃です。
楽しく、面白く行こうぜ。
関連記事
青山真治の映画作品
関連商品
鈴木徳至 Tokushi Suzuki @toxi13
甫木元空監督『BAUS 映画から船出した映画館』、プロデューサーを務めます。育った街の好きだった映画館の物語を、憧れの方々やいつもの仲間たちと作れるという喜びを噛み締めています。人も場所もいつかはなくなってしまいますが、何かを伝えたり残したりすることはできると信じて頑張ります〜。 https://t.co/jHKd81WfR0