吉祥寺の文化的な拠点として親しまれつつも2014年に閉館した吉祥寺バウスシアター。本作は1925年に吉祥寺に初めてできた映画館「井の頭会館」まで歴史をさかのぼり、時代に翻弄されながらも劇場を守り続け、娯楽を届けた人々の長い道のりを描く。2022年3月に死去した
染谷は青森県から上京し、成り行きで井の頭会館に勤めることになるサネオ役で主演。サネオの兄で活弁士のハジメに峯田、サネオの妻となるハマに夏帆が扮している。サネオは常に突拍子もないアイデアを持ち込むハジメを堅実にサポートしながら、ある日、突然劇場の社長に任命され、さらなる発展を目指していく。YouTubeで公開中の特報には映画館を中心に忙しない日々を送る人々の姿が切り取られた。
染谷は「バウスシアターは私にとって青春の場所でした。いつも映画をみに行くと誰か友人がいて、語り合う、爆音映画祭に皆で集まり、心踊る。忘れられない劇場です」と述懐。「現場はまるで夢の中に飛び込んでいるようでした。その夢の時間を甫木元監督の寛大な心で全て包み込んでくれ、魂に火を灯してくれ、最高な映画を生み出してくださいました。映画が好きな方も、そうでない方も、いつかの記憶の旅をしに、劇場まで来てくださったら幸いです」と語っている。
原作はバウスシアター元館主の本田拓夫が著した「吉祥寺に育てられた映画館 イノカン・MEG・バウス 吉祥寺っ子映画館三代記」。企画・製作は本田プロモーションBAUSとboid、配給はコピアポア・フィルムとboidが担う。峯田、夏帆、甫木元によるコメントも以下の通り。
映画「BAUS 映画から船出した映画館」特報
染谷将太 コメント
バウスシアターは私にとって青春の場所でした。いつも映画をみに行くと誰か友人がいて、語り合う、爆音映画祭に皆で集まり、心踊る。忘れられない劇場です。
そして敬愛なる青山真治さんの最後の本がバウスの映画だったという、この事実に脳天を殴られたような衝撃を喰らいました。プロデューサーの樋口さんが私に言うのです「青山の呪いに乗っからないか?」と。私にとっては最高な呪いでした。呪いにかかったその先に待ってくれていたのは甫木元空氏。最高な男なんです。最高な男の元に集まるスタッフと共演者の方々は勿論最高で、現場はまるで夢の中に飛び込んでいるようでした。その夢の時間を甫木元監督の寛大な心で全て包み込んでくれ、魂に火を灯してくれ、最高な映画を生み出してくださいました。映画が好きな方も、そうでない方も、いつかの記憶の旅をしに、劇場まで来てくださったら幸いです。
峯田和伸 コメント
僕は吉祥寺バウスシアターで色んな映画を観ました。あの時、もしかしたら暗闇の空間で、僕も映画に見られていたかもしれない。映画は僕に歌い、映画は僕と踊った。バウスは生き物で、その時代その時代を生き抜いた。貧しさと寝て、戦争に食べられそうになり、吉祥寺という町で沢山のひとに愛された。この映画は、まさしくバウスがその長い人生を尽くす際にみた最後の夢。メリーゴーランドのような走馬灯。ぜひ体験してみてください。
夏帆 コメント
約90年にわたる長い物語、だれかの記憶の断片のなかで生きているような、なんとも不思議な感覚になったのを覚えています。
なくなってしまった何かに思いを馳せながら、淡々と穏やかに進んでいく撮影現場は、たくさんの映画愛で溢れていて、きっとそれが本編にも滲み出ているのではないかと思います。ぜひ公開を楽しみにしていただけたらうれしいです。
甫木元空 コメント
人と人とが暗闇の中で同じ光を見つめる。世界中どんな街にも存在する映画館という場で生きた何気ない家族の物語です。映画館が生まれ、大きくなり、そしてなくなるまでの物語。この普通で争っているのか睦み合っているのかわからない、けれどもそこにかすかな自由と幸福を見つけようと懸命に生きた、無数の(無名の)人々の思いがささやかな一本の映画になりました。たった一歩でも生きてる者と死んでる者とが前に進むために、喪失から生み出される死者を光でつなぎ止めて認識する。心から尊敬するキャスト・スタッフと共に、まるでこの物語を友人に紹介するように映画が作れた事がとても嬉しいです。
babby @cipriani_s
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