上映されたのは同映画祭最大のホール・grande salle。約900席が埋め尽くされた会場に登壇した原は「またここに戻って来れてうれしいです」と挨拶し、「昨年、日本では514人の子供たちが自ら命を絶ちました」と話し始める。そして「なぜ彼らはそんな結末を選んでしまったのでしょうか?」と問い、「私たちは、514の未来を失いました。私たち日本人全員が、その責任を負っています。もちろん、私もです。私には彼らを止める術がわかりません」と続ける。
原は「私はメンターではなく、ただの映画監督です。でも、私は映画の力を信じています。映画には人の人生を変える力があります」と語り、子供たちに向けて「君たちの帰りを待っている人がいるのです。さあ、鏡の向こう側に行こう」と呼びかけた。スピーチ全文は以下に掲載している。
映画上映中、客席からは涙で鼻をすする音も聞こえ、エンドロールが始まると温かい拍手が贈られた。同映画祭はカンヌ国際映画祭から独立する形で1960年に始まった、世界最大規模を誇るアニメーションに特化した映画祭。授賞式は現地時間6月17日20時より行われる。
※宮崎あおいの崎は立つ崎(たつさき)が正式表記
原恵一 スピーチ全文
またここに戻って来れてうれしいです。
今からお話をさせていただきます。
この数字を見てください。
昨年、日本では514人の子供たちが自ら命を絶ちました。
小学生や中学生、高校生の子供たちです。
1980年に統計を開始してから、過去最多の数字となりました。
なぜ彼らはそんな結末を選んでしまったのでしょうか?
学校や日本社会に、絶望したに違いありません。
彼らは途方もない痛みの中、一人きりで逝ってしまったのです。
私たちは、514の未来を失いました。
私たち日本人全員が、その責任を負っています。もちろん、私もです。
私には彼らを止める術がわかりません。
私はメンターではなく、ただの映画監督です。
でも、私は映画の力を信じています。
映画には人の人生を変える力があります。
この映画はフィクションで、ファンタジーですが、多くの事実も含まれています。
もちろん、人生は甘いものではなく、公平ではありません。
しかし、人生は時に美しく、時に素晴らしいものです。
そして時に人生は、私たちに最高の瞬間を与えてくれます。
子供たちへ
君たちはこの馬鹿げた世界で生きています。
でも、どうか恐れないで。君たちは一人じゃない。
君たちの帰りを待っている人がいるのです。
さあ、鏡の向こう側に行こう。
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「かがみの孤城」アヌシー映画祭で盛況、原恵一が切実に語る「映画の力を信じています」(スピーチ全文掲載) - 映画ナタリー - https://t.co/fA0Jg3S8ak
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