「ドライブ・マイ・カー」西島秀俊がカンヌのトロフィーに感激、濱口竜介は役者に感謝

「ドライブ・マイ・カー」の初日舞台挨拶が、本日8月20日に東京・TOHOシネマズ 日比谷で開催され、監督の濱口竜介、キャストの西島秀俊と岡田将生が登壇した。

村上春樹の短編小説集「女のいない男たち」に収録されている作品をもとにした「ドライブ・マイ・カー」。妻を亡くした俳優・演出家の家福が寡黙な専属ドライバーのみさきと出会い、喪失感と向き合っていくさまが描かれる。家福を西島、みさきを三浦透子が演じ、家福の妻・音に霧島れいか、物語を動かすキーパーソン・高槻に岡田が扮した。

第74回カンヌ国際映画祭で脚本賞など4冠を達成した本作。濱口は、9つの言語で紡がれる脚本について「セリフの順番が決まっている脚本のあるお芝居なら、リハーサルを積めば、違う言語でやり取りができるのではと思った。シンプルに芝居をし合う人たちを描きたかったからそのような設定になりました」とコメントする。海外キャストとの共演を、西島は「演技を楽しんで日々を豊かにしていく力のある方々で、監督を100%信じて向き合う方々だったので一緒にできて気持ちがよく、毎日喜びがある現場でした」と回想。英語を習いながらコミュニケーションを取っていたという岡田は「お前の英語は“赤ちゃん英語”だと言われながら（笑）、お芝居は日本に限らずどこでもできるんだと気付けた現場でした」と話した。

西島は演出家でもある家福という役について「濱口監督に影響を受けている役柄で、自分を通して濱口監督がみんなを見ていると意識しながら演じました」と振り返る。岡田は西島との現場に関して「カットがかかると、監督の顔のあとに西島さんの顔をチェックしてしまう自分がいた。現場では演出家の家福そのものだったのですごく意識していました」と話す。対する西島は、岡田に「本当に純粋な人なので、こんな世界にいて大丈夫なのかなと心配になります。これからもっと強くなっていってくれたら一ファンとしては幸せです」と言葉を送り、本人から「僕32歳ですよ？（笑）」と返された。

イベントでは、日本人でカンヌ国際映画祭の脚本賞を初受賞した濱口が、同賞のトロフィーを披露。それを覗き込んだ西島は「日本に1つだけのトロフィーなんですね。本当におめでとうございます！」と祝福する。濱口は「村上春樹さんの物語をベースに、書き終えたあとは自分でもすごいものが書けてしまったと思った。一方、脚本賞というのは演じてくれた役者さんがあっての賞なので本当に演じていただいた皆様にとても感謝している」と述べた。

最後に濱口は「公開できることに、本当に感謝の気持ちでいっぱいです」と挨拶。そして岡田が「今回映画を観て涙が止まらなかった。皆さんにもこの感動を劇場で体験してほしい」と、西島が「映画の中で、自分ではない人間が息づいていると感じた作品。素晴らしい役者さんたちがたくさん出ていて、その皆さんがこれからもスクリーンの中で生き続けています」と話し、イベントは終了した。

「ドライブ・マイ・カー」は全国で上映中。