「2020年 第94回キネマ旬報ベスト・テン」の表彰式が本日2月4日、東京・Bunkamura オーチャードホールで開催され、日本映画ベスト・テン1位に輝いた「
「スパイの妻(劇場版)」は日本映画脚本賞も受賞し、
東京藝術大学大学院時代、黒沢の教え子だった2人。濱口は、今作の脚本は黒沢に撮ってもらうために書いたものだと明かし「いちファンとして観たい黒沢映画をどうやったら作っていただけるか、またどうしたら企画を受けていただけるような面白いものにできるか考えていました」と話す。一方黒沢は「脚本の9割は濱口と野原が書いたもので、私は1割くらい。2人がこの物語を一から構築し、これを撮りませんかと仕事をくれた。原作者であり、脚本家であり、企画プロデューサーでもあったこの2人にはどれだけ感謝してもしきれない」と礼を述べ、「2人の書いた脚本は抜群に面白かった」と話した。
また日本映画ベスト・テン1位受賞の挨拶の際、黒沢は「この作品に関わったすべての人を代表して賞をいただきました」と話し、ずらずらとスタッフ・キャストの名前を口にしていく。その長さにはMCの笠井信輔も舌を巻くほど。また笠井から「今作への高い評価の根っこにあるものはなんだと思いますか?」と尋ねられると「この時代、そして戦争という非常に重たいテーマを中心に据えながら、サスペンスとメロドラマという娯楽映画の構造も同時に実現できたことでしょうか」と回答。「日本映画ではこれまでなかったような部類だったので、目新しさも含めて評価されたのかな」と分析した。
外国映画ベスト・テンの1位は「
本作の日本における興行収入は47億円超。定井は「正直なところ、こんなことになるとは夢にも思っていませんでした。10分の1ぐらいの興行収入を目指していた」と述べる。笠井に大ヒットの要因を聞かれると、「予測がつかない面白さが一番。またエンタテインメントでありながらも社会性も兼ね備えている部分でしょうか」と笑顔を見せた。
文化映画ベスト・テン1位は、
本作では小川の家族にも密着したことにちなみ、大島新の父である大島渚の存在について笠井から質問が飛ぶ場面も。大島新は「長年にわたってコンプレックスでもありましたが、なぜか私も映像業界に進みました。私はずっとドキュメンタリーをやっているのでフィクションを作っていた父と違いはありますが、大きな存在です」と答え、「父はかつて『被写体に対する強い興味と関心を持続することが大事だ』と言っていたので、今回の作品ではそれができたのではないかと思います」と胸を張った。
なお読者賞は
「キネマ旬報ベスト・テン」は、1924年度に当時の編集同人の投票によってベストテンを選定したことを発端とする映画賞。「2020年 第94回キネマ旬報ベスト・テン」の受賞結果は以下の通り。
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2020年 第94回キネマ旬報ベスト・テン 受賞一覧
日本映画ベスト・テン
1位「
外国映画ベスト・テン
1位「
文化映画ベスト・テン
1位「
個人賞
日本映画監督賞:大林宣彦「海辺の映画館―キネマの玉手箱」
日本映画脚本賞:
外国映画監督賞:
主演女優賞:水川あさみ「喜劇 愛妻物語」
主演男優賞:森山未來「アンダードッグ」前後編
助演女優賞:蒔田彩珠「朝が来る」
助演男優賞:宇野祥平「罪の声」「本気のしるし 劇場版」「恋するけだもの」「37セカンズ」「星の子」
新人女優賞:モトーラ世理奈「風の電話」
新人男優賞:奥平大兼「MOTHER マザー」
読者選出日本映画監督賞:田中光敏「天外者(てんがらもん)」
読者選出外国映画監督賞:ポン・ジュノ「パラサイト 半地下の家族」
読者賞:
特別賞:
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