ドラマ「放送局占拠」のBlu-ray / DVDが3月18日に発売された。
本作は、「大病院占拠」「新空港占拠」に続く占拠シリーズ第3弾。武装集団「妖」が「テレビ日本」を占拠し“タイムリミット付き”の事件を巻き起こすことから、物語が幕を開ける。事件はなんと全国に生中継され、櫻井翔演じる捜査員・武蔵三郎は、危機を脱するべく仲間たちとともに奮闘する。
櫻井のほか比嘉愛未、加藤清史郎、瀧内公美、ソニン、高橋克典、戸次重幸、菊池風磨らが出演。物語が進むにつれ仮面を被った「妖」を演じるキャストたちが明らかになる「占拠」シリーズならではの展開も話題を呼んだ。
映画ナタリーでは、ライターのイソガイマサトによるレビューで「放送局占拠」の見どころを徹底解説。テレビ局ならではの仕掛けや、「妖」に込められた意味、シリーズファンは必見の武蔵と大和のまさかの共闘など、“どんでん返し”からの“どんでん返し”で視聴者を魅了した本作の楽しみ方を深掘りしていく。
文 / イソガイマサト
「妖」の動向から目が離せない
“どんでん返し”からの“どんでん返し”と謎が謎を呼ぶスピーディな展開で、放送時にXのトレンド1位を奪取した完全オリジナルのタイム・リミット・バトル・サスペンス「放送局占拠」。櫻井翔が警視庁刑事部・立てこもり犯罪対策班「BCCT」の捜査員・武蔵三郎に扮した本作は、「大病院占拠」(2023年)、「新空港占拠」(2024年)に続く人気ドラマシリーズの第3弾だ。
今回も第1話から怒涛の展開を見せる。武蔵たちは凶悪犯によるバスジャック事件をタイトル前に鮮やかに解決するが、それも束の間、今度は妖怪の面をかぶった謎の武装集団「妖」が東京都知事選特番を生放送中の「テレビ日本」を占拠。都知事候補者、テレビ局関係者ら500人を人質に立てこもり、医療ドラマ「Dr.TRUTH」の監修を務めていた武蔵の妻の心臓外科医・裕子(比嘉愛未)と娘のえみり(吉田帆乃華)も巻き込まれる。やがて人質は13人に絞られ、「妖」のリーダー・般若が「(人質たちの)葬られた闇を白日のもとにさらしていきたいと思います」「(放送を)止めたらその瞬間、人質の皆様をぶっ殺します」と恐ろしい最初の犯行声明を出す。
一方、人質の救出に向かったBCCTの管理官・和泉さくら(ソニン)は「妖」の凶弾に倒れ、武蔵と一緒にバスジャック事件を解決に導いた裕子の実弟でもあるBCCTの捜査員・伊吹裕志(加藤清史郎)が「妖」の一味に拉致されてしまう。しかも、武蔵が大病院占拠事件で逮捕し、その後、拘置所から裁判所への移送中に脱走した武装集団「百鬼夜行」のリーダー・青鬼こと大和耕一(菊池風磨)が「妖」の協力者になっていることも判明。大和はいったい何のために再び動き出したのか? 第1話から状況が目まぐるしく変わり、何が起こっているのか分からないまま「妖」の動向から目が離せなくなってしまう。
“死の熱湯風呂”?テレビ局ならではのユニークな装置
主な人質は以下の通り。現・東京都知事の大芝三四郎(真山章志)と、沖野聖羅(片岡礼子)や三河龍太郎(北代高士)といった都知事候補者。報道番組「NEWS FACT」の人気キャスター・灘見寛治(福澤朗)とプロデューサーの奄美大智(戸次重幸)やディレクターの日出哲磨(亀田佳明)。番組のアシスタントをしているタレント兼インフルエンサーの真鍋野々花(宮部のぞみ)や新人アシスタントディレクター・忽那翡翠(齊藤なぎさ)、医療ドラマ「Dr.TRUTH」に出演中の国民的俳優で官房長官の息子でもある式根潤平(山口大地)もそこに加わり、裕子も巻き添えに。
そんな彼らのひとつひとつの闇が、“死の熱湯風呂”や“死の金ダライ”“死のパイ投げ”“死のゴムパッチン”などバラエティ番組の懐かしいアイテムをアレンジしたそれぞれの闇に関わるユニークな拷問装置で暴かれるのもテレビ局が舞台の本作ならでは。人質たちがそれぞれの拷問に何時間耐えられるのかをBCCTの情報分析官の志摩蓮司(ぐんぴぃ)と三宅すず(吉田芽吹)が瞬時に弾き出し、武蔵は彼らの命を救うために、般若が命じた「各々の闇の真相を突き止める取材」を時間内に遂行するミッションに突入! 「こっくりさん事件」「女郎蜘蛛殺人事件」「あかなめ事件」「鎌鼬事件」などの事件当時のニュース映像が流され、武蔵の取材で分かった“隠蔽”や“捏造”などの真相が次々に暴かれていくが、そこではアマビエや唐傘小僧、化け猫と河童の姉弟、天狗とがしゃどくろの兄妹など、それぞれの妖怪の面になぞらえた「妖」メンバーの悲しい過去が浮かび上がり、観る者の心にさざなみを起こす。
武蔵じゃなくても「嘘だろ?」と呟きそうになる驚きの展開
だが、これらはほんのプロローグに過ぎない。過去の闇を暴かれた現都知事の大芝は「傀儡子がすべて背後で操っている」という謎の言葉を最後に何者かに惨殺され、警察内部に知事の口を封じた殺害犯が紛れ込んでいることも判明。和泉に代わって現場の指揮を執るBCCTの本庄杏(瀧内公美)も苦虫を噛み潰す。そして般若がついにその面をとるが、その正体はまさかの人物! なぜ「妖」のリーダーになったのか? その本当の目的は?
ここからドラマは大きく動き出す。「オマエ、何で『妖』に?」と問いただす武蔵に「あなたの闇が大きく関わっている」と答える般若。彼はさらに「我々の目的は傀儡子です」と嘯く。傀儡子は平安時代から存在していた人形を操る旅芸人で、そこから転じて、日本の政界、財界を裏で操る謎の人物のことを示しているが、いったいそれは誰なのか? そもそも、武蔵自身の闇とは何のことなのか? そんな観る者の逸る心を煽るかのように般若は「すべての手がかりを与えました。2時間以内にすべての闇を突き止め、私がなぜ般若になったのか? その理由を明らかにしてください」と告げ、間に合わなければガラスケースの密室に閉じ込められた「残りの人質6人のうちの1人が毒ガスで死ぬ」と吐き捨てる。
……と、これだけでも驚きの展開なのに、本作は武蔵じゃなくても「嘘だろ?」と思わず呟きそうになるあり得ない夢のようなシチュエーションをさらに用意。意見の相違から決裂した般若によって極寒の冷凍室に閉じ込められた大和を武蔵が救出し、敵対していたはずのふたりが般若の暴走を止めるためにまさかの共闘! だが、大和は何を考えているのか分からない。武蔵を再び裏切ってもおかしくない。そこでは思いをストレートにぶつける櫻井翔と、視線をわずかに動かすだけで思考を読み取らせない菊池風磨の迫真の演技バトルも見られて最高に盛り上がる。そして、最後の最後についに般若の本当の目的が明かされるが、そこで終わらないのがこの「占拠」シリーズ。ラストの屋上のシーンでは大和が誰も予想しないかなり思いがけない人物の肩に手を触れるので、初見の人はまたまた「ウッソだろ~?」と頭が真っ白になるはずだ。
櫻井翔と菊池風磨のやりとりが、感動エピソードをさらに胸アツに
そうなった人はもちろん、「占拠」シリーズファンも貴重な撮影の裏側や主要キャストのインタビューをたっぷり約118分収録したBlu-ray / DVD BOXのスペシャルメイキングを要チェック! これを観れば笑いが絶えない現場の雰囲気がよく分かるし、第1話のバスジャック事件の撮影に臨む伊吹役の加藤清史郎の思いや34度の猛暑の美術倉庫で繰り広げられた銃撃戦の壮絶さ、武蔵の影響が明白な娘・えみりの「嘘でしょ」のセリフを台本で見て「思わず吹き出したけど、あれは粋なひと言でしたよ」という櫻井翔の笑顔などにも触れられて満足度が倍増。救急車内のシーンで見せる櫻井と菊池のさり気ない言動も感動エピソードをさらに胸アツにするし、問題のラストシーンの裏側にも迫っているので、これらを知った上でもう一度観ると新たな発見があって面白い。いろいろな角度から何度も観て、いつか作られるかもしれないシリーズ第4弾に備えておくのもいいだろう。
