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本作は父親としての自覚を持てず、ある失態により妻と娘のいる秋田・男鹿から逃げ出した主人公・たすくの成長を描く物語。観客の大きな拍手に迎えられた仲野は「これだけ多くの人に大きなスクリーンで観ていただけることに、非常に面食らっているというか、感慨深いものがあります」と感謝の気持ちを伝える。佐藤は緊張の面持ちで「初めて男鹿を訪れた5年前は、この光景を想像してませんでした。5年間でたくさんの出会いがあって、お一人お一人の顔が浮かびます」と感慨を込めた。
たすくを演じた仲野は、佐藤が手がけたオリジナル脚本を「なんて素晴らしい脚本なんだと。人間に対する愛おしさや深いまなざしを感じました。そのうえでユーモアもあって、そんなふうに人間を描ける作家さんって稀有だなと思いました」と称賛。さらに、役柄について「すごく共感しました。この脚本だったら、僕が最大限の等身大の姿をいかんなく発揮できるという自信があって。できあがったものを観たときに、正直自信作だなと思いましたし、とても大切な作品になりました」と思い入れを語った。
たすくの妻ことね役の吉岡は「監督からいただいたお手紙から、熱いメッセージと切実な思いを感じました」とオファーを述懐。役作りに関しては「人生の決別をするというお話でもあるので、自分の人生とも照らしながら考えました」と振り返り、「現場に入ってからは『母親ってこんなに苦しくて大変なんだな』ということを体現していくような感覚で。あとは赤ちゃんと一緒の撮影だったので『この子を守らなきゃ』という気持ちが大きかったです」と述べた。
たすくの親友・志波役の寛一郎は、男鹿で毎日仲野と温泉に入っていたという。「志波とたすくの一部みたいなものを、男鹿で築けたのがありがたかったです。毎日次の日の撮影について裸で話したり、セリフを合わせたりして。でも、次の日監督にそろりとちゃぶ台返しされるという(笑)。そういうのを繰り返して友情を深めていました」と懐かしむ寛一郎に、仲野は「毎晩、“最優秀男鹿デミー賞”受賞って言ってたね」と笑った。
イベントでは、本作のタイトルにちなみ“泣く子”だった頃のキャストの写真がお披露目される一幕も。「非常にかわいいですね」と自画自賛した仲野は「めちゃくちゃ甘えん坊で、いつもお母ちゃんにくっついていました。保育園で離ればなれになるときに毎日号泣してて」と明かし、吉岡は祖父と京都・東映太秦映画村を訪れた写真を見ながら「映画村のお化け屋敷が怖すぎてギャン泣きでした」とはにかむ。寛一郎は仲野から「この頃からふてぶてしさは変わってないんだね(笑)」とツッコまれつつ、「この写真から少し前ですけど、おっぱいが怖かったです。乳離れするときに母親のおっぱいに父親がすごい怖い顔を描いたんですよ!」とエピソードを披露し、笑いを誘った。
最後に仲野は「自分の俳優人生をこれから続けていく中で、この作品と出会えたことが転機だなと、覚悟が決まりました」とコメント。佐藤は「今回、一生忘れられない体験をさせていただきました。ファーストシーンからラストシーンまでで皆さんの中にずっと残るようなセリフや表情があればうれしく思います」と語りかけた。
「泣く子はいねぇが」は11月20日より東京・新宿ピカデリーほか全国でロードショー。
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