タル・ベーラ「サタンタンゴ」初上映で来日、演出のポリシーや引退にまつわる心境語る

5

237

この記事に関するナタリー公式アカウントの投稿が、SNS上でシェア / いいねされた数の合計です。

  • 46 93
  • 98 シェア

サタンタンゴ(4Kデジタル・レストア版)」の公開を記念し、監督のタル・ベーラが来日。本日9月14日、東京のシアター・イメージフォーラムで行われた会見に出席した。

会見に出席したタル・ベーラ。

会見に出席したタル・ベーラ。

大きなサイズで見る(全7件)

「サタンタンゴ」ポスタービジュアル

「サタンタンゴ」ポスタービジュアル[拡大]

クラスナホルカイ・ラースローの同名小説を映画化した「サタンタンゴ」は、全編約150カットの長回しで構成された7時間18分に及ぶ大作。製作から25年の歳月を経て、このたび4Kデジタル版として劇場初公開される。

タル・ベーラ

タル・ベーラ[拡大]

第69回ベルリン国際映画祭でプレミア上映されて以降、欧米やアジアなど世界各地で披露されてきた本作。タル・ベーラは「どんな宗教でも、どんな肌の色でも関係なくこの作品を受け止め、同じように理解してもらえています」と反響に触れ、「理由はわからないけど、この作品の中に根本的な“何か”を皆さんが感じるのかもしれません」と分析した。

「サタンタンゴ」

「サタンタンゴ」[拡大]

また彼は、長回し撮影の中で役者を演出することについて「彼らの個性を限定してしまうし、自分のビジョンと相いれない」と否定的な見解を示す。「サタンタンゴ」の人々が酒場で踊るシーンでは、演者たちに実際に酒を飲んでもらったという。「みんな酔っ払いに近い状態で自由にやってもらいました。その中で何が起きるかアプローチしたら、ワンテイクでいいものが撮れて自分でも驚いた」と振り返るタル・ベーラ。「自分で演出するより100%よかったと確信しています。自由であることは、力でもある。人は自由であれば花咲くことができるし、そこに存在することができると考えています」と自身のポリシーを堂々と伝えた。

タル・ベーラ

タル・ベーラ[拡大]

2011年製作「ニーチェの馬」を最後に監督業を引退したタル・ベーラ。1977年に22歳で初めて作品を発表し、30年以上にわたり長編映画を手がけた。「1作ごとに新しい問いが生まれ、より深く掘り下げてきました。そして1作ごとに自分の映画的言語を見つけることができました」と噛み締めるように語る彼は、「ニーチェの馬」を制作した頃には引退を決めていたという。「引退の準備はできていました。伝えたいことは、映画の中で言い尽くしていたから。作ったものを皆さんと分かち合い、それをすべて行った時点で過去のものになる。あとは皆さんにお任せして、自分は扉を閉めました」と当時の心境を説明。引退後も、映画学校を創設して教育者として後進を育成するなど活動的な彼は「クリエイティビティをあきらめたわけではありません。やりたいこともたくさんありました。ただ、ストーリーテリングはもう終わりにしたのです」と強調した。

「サタンタンゴ(4Kデジタル・レストア版)」はシアター・イメージフォーラムほかで上映中。

この記事の画像・動画(全7件)

読者の反応

  • 5

菱沼康介 演技強化WS! 短編集!! 新作準備中!! @hisikosu

タル・ベーラ「サタンタンゴ」初上映で来日、演出のポリシーや引退にまつわる心境語る - 映画ナタリー https://t.co/lPxlrXgg6p

コメントを読む(5件)

関連商品

リンク

あなたにおすすめの記事

このページは株式会社ナターシャの映画ナタリー編集部が作成・配信しています。 サタンタンゴ / サタンタンゴ(4Kデジタル・レストア版) / タル・ベーラ の最新情報はリンク先をご覧ください。

映画ナタリーでは映画やドラマに関する最新ニュースを毎日配信!舞台挨拶レポートや動員ランキング、特集上映、海外の話題など幅広い情報をお届けします。