1988年に日本公開された「モーリス」に4Kデジタル修復を施した「
E・M・フォースターの小説を原作とする「モーリス」は、イギリス・ケンブリッジ大学で出会った2人の青年の姿を描くラブロマンス。主人公モーリスと上流階級に位置するクライヴが、真実の愛と伝統社会のはざまで揺れ動き苦悩するさまが描かれる。
アイヴォリーは、キャストについて「ヒュー・グラントは、オックスフォード大学在学中に学生映画の『オックスフォード・ラヴ』(劇場未公開)で俳優活動を始めていて、ジェームズ・ウィルビーとルパート・グレイヴスは舞台の経験があったが、3人ともまだ駆け出しの頃だった」と撮影当時を回想。劇中のモーリスとクライヴのふれあいについて「演技でいきなりキスして絡み合うのは、ストレートの若い俳優2人にとって気まずいことだ。実生活で同じシチュエーションに置かれたら、ぎこちなくなるのは当然だし、そこが役に立った部分もある」と明かし、「ただ、イギリス人俳優のほうが、アメリカ人俳優と比べて肉体的というか、性的なふれあいに積極的だと感じる」と述べた。
また、映像の美しさが語り継がれている本作に関して「撮影班に仲違いが起こり、よりにもよって、モーリスとクライヴが喧嘩をする重要なシーンを撮影する日にボイコットが起きたんだ。キャストの準備ができ、いざカメラを回そうとしたら、突然カメラクルーがいない。代わりのクルーを探し出すのに何時間もかかり、キャストを気落ちさせてしまわないか心配したが、彼らがテンションを上げてくれたおかげで、現場にいた全員が元気づけられた」とエピソードを語る。そしてアイヴォリーは「『モーリス』は、『眺めのいい部屋』のコインの裏側のようなもの。両作とも、偽りの人生、真実の人生、自分にとって大切な本当の感情とは何かを描いている」と吐露した。
「モーリス 4K」は、4月28日より東京・YEBISU GARDEN CINEMAほか全国にてロードショー。1988年の公開時には実現しなかった無修正版での上映となる。なおアイヴォリーは4月27日に公開される「君の名前で僕を呼んで」の脚色を担当し、第90回アカデミー賞の脚色賞を受賞した。
※「モーリス 4K」はR15+指定作品
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