坂本龍一が大島渚やベルナルド・ベルトルッチとのエピソード明かす

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ドキュメンタリー「Ryuichi Sakamoto: CODA」の初日舞台挨拶が、11月4日、東京・角川シネマ有楽町ヒルズにて開催され、坂本龍一、監督を務めたスティーブン・ノムラ・シブルが出席した。

左からスティーブン・ノムラ・シブル、坂本龍一。

左からスティーブン・ノムラ・シブル、坂本龍一。

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「Ryuichi Sakamoto: CODA」ポスタービジュアル

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本作は、2012年から約5年にわたって行った密着取材の模様を中心に、坂本の音楽と思索の旅をたどっていく。シブルは、坂本との出会いは2012年5月にニューヨークで行われた福島の放射能汚染に関する講演会だったと述べ「坂本さんが最前列にいらして真剣に聴かれていたんです。ずっとファンだったけどその姿に強い衝撃を受けて、ドキュメンタリーにできればと思い、衝動的に連絡をさせていただきました」と明かす。

当初、坂本に提出した企画の切り口は、NO NUKES 2012(坂本の呼びかけにより開催された、“脱原発”をテーマとした音楽フェス)をきっかけとした、コンサート映画だったという。その企画に応えることにした坂本は、「自分を撮ってほしいというよりは、2011年以降、激動の中にいる日本社会を自分を通じて描いてほしいという考えだったんです」と述懐する。実際にカメラを回し始めたシブルは、次第に音楽的なエンディングとしての“CODA”を捉えたいと考えを変えていったと説明し、坂本も「新たにどういう音楽が生まれるのかを追うのは僕もいいアイデアだと思いました。時事的な作品にしてしまうと、映画としては短命に終わってしまうから」と自身の見解を述べる。

大島渚、ベルナルド・ベルトルッチ、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥといった映画監督と坂本の共同作業についても描かれている本作。坂本は「『戦場のメリークリスマス』は、初めてのことばかりでした。まず役者をやって、それが終わったら音楽。大島さんはああしろとかこうしろとかいうことをまったく言わず、僕は右も左もわからないことだらけだったけど、最後まで何も言われることなく、作った音楽はすべて使われていました」「次の大きな仕事がベルトルッチの『ラストエンペラー』で、2週間で45曲を作ったけれど、蓋を開けてみると半分しか使われておらずがっかりしましたね……。最初に甘やかされたけれど真っ逆さまに落とされて(笑)」と懐かしそうに貴重なエピソードを披露した。

制作を通じて印象に残ったことを司会者に聞かれたシブルは、「多すぎてとても語れるものではありませんが、幸せなことに、坂本さんと長年関わったことで、僕自身、耳の使い方が変わったような気がしました。すべての音が音楽的に思えるようになって、街を歩くことでさえ楽しめるようになった気がします」とうれしそうに明かす。さらに本作が、すでにヨーロッパ、アジア、オーストラリアなどでの公開が決まっていることが発表され、シブルは「ご病気でつらいときもカメラを回させてもらって、坂本さんには本当に感謝しています。この映画は、感じてもらえる映画にしたいと思って作りました。特に“音”をぜひ感じていただきたい」とアピールし、イベントを締めくくった。

「Ryuichi Sakamoto: CODA」は、東京・角川シネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国にて公開中。

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(c)2017 SKMTDOC, LLC

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