本日10月30日、第30回東京国際映画祭の「Japan Now部門 女優特集『銀幕のミューズたち』」にて「
2004年に劇場公開された「花とアリス」は、幼なじみの“花”と“アリス”が高校の先輩男子を巡り、友情と恋の狭間で戸惑いつつも成長していく姿をつづる物語。明るく素直な“花”を鈴木が演じ、自由奔放で勝手な“アリス”に蒼井が扮した。
まず最初に登壇した蒼井は、満席の客席を見渡し「すごいたくさんの方が来てくださってとてもうれしいです」と挨拶。続いて蒼井に「私のミューズです」と紹介され、登場した鈴木は「昨日髪の毛を切って岩井さんと被るなあと思ったら、岩井さんが帽子を被っていたので安心しました」と笑顔を見せる。帽子を被って登場した岩井は「2人とも立派なミューズになりましたけれども、当時は天真爛漫な2人で現場がとにかく弾けまくってましたね。キャーキャー楽しそうにやっていて、箸が転がっても笑うような年頃ならではのエネルギッシュな現場でした。懐かしいですね」と振り返った。
当時は通っていた学校も同じで、学年は違うものの昼食も一緒に食べていたという蒼井と鈴木。蒼井は「桜で“雪合戦”しているシーンは、休憩中に杏と遊んでたら岩井さんが『カメラ回せ』って言って採用になった。杏ととにかく遊びたくて仕方なくて、ずっと遊んでました」と述懐する。岩井は「郭くん(宮本先輩役の郭智博)は2人にずっといじられてて。彼は老成してるような佇まいで、まるで子供にいじられている年老いた犬のような風情でしたね」と絶妙な例えをし、観客を笑わせる。
本作について蒼井は「カメラマンの篠田(昇)さんのまなざしって素敵だなと思います。篠田さんに見つめられて野猿のような少女時代を過ごせた。現場で伸び伸びといさせてくださった方だったんだなって大人になってわかりますね」としみじみと語る。鈴木は「もともと岩井さんの映画が大好きだったので、岩井さんと映画を作れたんだなと今も不思議な感覚に陥る。貴重な作品の1つだと思います」と思いを述べた。
岩井は「最初はショートフィルムを作ろうというところからアイデアが浮かんできて。劇的な事件があるわけじゃないから最初はあまり盛り上がらない話だなと思ってたんですけど、ある一線を越えたら話がとめどなく出てくるようになってきた」「止まらなくなるくらい入り込んでしまい、公開が終わっても話が止まってくれなくて、その勢いで書いたのが『花とアリス殺人事件』なんです」と明かす。
「今現在、花とアリスはどんなふうになっていると思いますか」と観客に尋ねられた岩井は「どこかで2人の関係が逆転してたら面白いなと思います」と回答。鈴木は「2人とも幸せな家庭を築けている想像はまったくつかない」、蒼井は「アリスはいわゆる幸せと呼ばれるものをなぎ倒して生きていそうな気がします。花が社交性を身に着けてたら面白いな」とそれぞれ話した。
最後に蒼井は「10年以上経っても皆さんがまたスクリーンで観たいなと思ってくださる映画に出られて本当によかったです。タイムカプセルを掘り返したような幸せな気持ちです」と挨拶し、イベントは盛大な拍手に包まれて終了した。
第30回東京国際映画祭は、11月3日まで東京・六本木ヒルズほかにて開催される。
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岩嵜 修平 @shu_iwasaki
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