黒沢清が「散歩する侵略者」で初顔合わせの長澤まさみ、松田龍平を称賛

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黒沢清が、前川知大率いる劇団イキウメの同名舞台を映画化した「散歩する侵略者」。このたび、黒沢と前川が合同取材に応じた。

左から前川知大、黒沢清。

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「散歩する侵略者」ビジュアル

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本作は、数日間の行方不明の後、別人のようになって帰ってきた夫・加瀬真治と、彼の変化に戸惑う妻・鳴海を軸に、宇宙人たちの地球侵略を描く物語。主人公の鳴海を長澤まさみ、真治を松田龍平が演じたほか、高杉真宙と恒松祐里扮する若き侵略者たちと行動をともにするジャーナリスト・桜井には長谷川博己がキャスティングされた。

黒沢清

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舞台を観る前に前川自身が執筆した小説版を読み、「とても“映画っぽい”物語だと思った」と語る黒沢。“映画っぽい物語”とは具体的にどういう物語なのかと聞くと、「1つは、前に前に進んでいく物語であること。『この先どうなるんだろう?』という気持ちが観客の素直な欲望だと思っていますから」と答える。そして「もう1つは、お話がコンパクトにまとまっていること。宇宙人の侵略というお話であるにも関わらず、メインの登場人物は数人で、場所も小さな街のあちらこちらだったりする。日本全国とか世界中が舞台となると、日本で映画化するのは不可能だったりしますからね」と続けた。

「散歩する侵略者」

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失踪した夫がある日突然帰ってくるという物語の起点が2015年の「岸辺の旅」と共通していることを指摘すると、黒沢は「これは偶然なんですよ。こういう“夫が変”みたいな話が得意だと思われてるんですかね」と笑い、「でも僕は、もともとあった関係が壊れちゃうとか、ゆがんだ関係を新たに作り直すとか、そういうほうが確かに得意ですね。まったく知らない者同士が出会って関係を結ぶ……主にラブストーリーですが、そういうお話は全然アイデアが湧かない。下手ですね」と謙遜した。

「散歩する侵略者」

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黒沢組初参加となったメインキャストの5人について聞くと、黒沢は長澤を「あまりに美人過ぎて日常性を感じさせない人ですが、その美貌をかなぐり捨てたような芝居も平気でやれる。今後が楽しみですね」と称賛する。そして松田の演技を回想し「すごくニュートラルな芝居をちゃんと考えてやってらっしゃったので、びっくりしました。ニュートラルな芝居って、なんらかの素養がないと絶対できないんです」と述懐。長谷川については「撮影現場で俳優と打ち解けることはほとんどないんですが、彼とはよく雑談していました。素晴らしい俳優ですが、普段は本当に普通の人です」と語る。さらに現場での高杉を「真面目で礼儀正しい。それでいて、演技をする前に顔を手で覆って『よし!』なんて言ったりする初々しさもある」と思い起こし、劇中で見事なアクションを披露する恒松については「体が柔らかいし、すぐに動きを覚えて、物怖じせず平気で人を殺してましたね(笑)」と振り返った。

前川知大

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最後に、本作に登場する侵略者たちが地球人の“概念”を奪うという設定にちなみ「奪われたくない、もしくは奪われてもいい概念はありますか?」と質問をぶつけると、2人はしばし思案。「煩悩みたいなものを奪ってくれたらいいなとは思う。嫉妬の概念とか。でもそれを奪われたら創作意欲がなくなっちゃったりするのかも」と前川が言うと、黒沢も「ありえますね。嫉妬って言うほどのものじゃないのかもしれないけど、いくつになってもいじいじと人のことが気になってね……。でもこれがなくなった瞬間に、映画なんか撮る気なくなっちゃうかな(笑)」と同調した。

「散歩する侵略者」は9月9日より全国ロードショー。

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(c)2017『散歩する侵略者』製作委員会

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tAk @mifu75

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