ミスチル「HERO」MVのアニメ監督が新作の支援募る、山下敦弘の応援コメントも

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Mr.Childrenによる楽曲「HERO」のミュージックビデオで知られるアニメーション作家・村田朋泰。彼が手がける新作「陸にあがった人魚のはなし」パイロット版の制作支援を集うクラウドファンディングが、本日2月21日よりMakuakeにて実施される。

「陸にあがった人魚のはなし」ビジュアル

「陸にあがった人魚のはなし」ビジュアル

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文化庁メディア芸術祭や広島国際アニメーションフェスティバルなどで受賞経験を持つ村田がストップモーション技法を駆使して制作する本作は、ランダル・ジャレルの児童文学が原作。ある日出会い、一緒に暮らすことになった狩人と人魚が、そのあとに知り合う小熊や山猫、ひとりぼっちになった人間の少年たちと家族を形成していく。

長編制作に向けたパイロットフィルムの支援を集う同クラウドファンディングは、5月8日まで実施。金額に応じてさまざまなリターンが用意されている。目標金額の350万円に満たなかった場合、制作は行われない。

なお公式アンバサダーの1人である山下敦弘は「人形を一コマ一コマ動かし、シコシコと撮影する村田さんは生粋の変態だ。“変態、変態”と連呼してるけど、ここで言う変態とは自分にとって最大の褒め言葉だ。作品作りにおいて変態ほど信用できる人間はいない」とコメントしている。

山下敦弘 コメント

2017年、現在において人形アニメーションを作り続けている村田さんは本当の変態だと思う。
自分みたいに「映像なら何でもやります!」というスタンスでドラマやCMなど何でも引き受けるチャラ男とは違い、人形を一コマ一コマ動かし、シコシコと撮影する村田さんは生粋の変態だ。
“変態、変態”と連呼してるけど、ここで言う変態とは自分にとって最大の褒め言葉だ。
作品作りにおいて変態ほど信用できる人間はいない。
そんな村田さんが長編を作る。
変態が作る長編人形アニメーション。
つまらない作品になるはずがない。 
ただただ楽しみだ。

中村誠(アニメーション監督)コメント

村田朋泰さんの作品は、音が少ない。登場人物たちが話さない。音楽も控えめだ。その背景美術の見事な広がりに対して、パペットの作りとアニメーションは言ってみればとてもプリミティブだ。静かで、素朴な作品群。しかし「路」シリーズや「森のレシオ」から伝わってくるこの言葉に出来ない激しい感情は何なのだろう。僕の勝手な憶測なのだが、村田さんはそれをこそ、伝えようとしているのではないだろうか。無理やり言葉にすれば、それはかつて誰もが通過したはずの「記憶」だ。心の片隅に忘れられ転がっているその記憶を村田さんの作品は揺り動かす。そして僕たちはそれが心の片隅にあったことを痛烈に思い出すのだ。静かな作品が揺り動かす激しい感情。それこそが、村田さんの作品の魅力なのだと僕は思っている。
「陸にあがった人魚のはなし」で今度はどんな記憶を揺り動かされることになるのか、僕は楽しみに待っている。

秦俊子(アニメーション作家)コメント

可愛さの中に哀愁が漂う人形や、感情がうまく表現されている照明、引き画の広々とした空間と美しさなど、村田朋泰さんの人形アニメーションは画面に映るものすべてが魅力的です。また、登場キャラクターの記憶や関係の変化が、丁寧に作りこまれたモチーフを通じて展開していくところにも心を惹かれます。村田さんの作品を観ると、モチーフに込められた思いというものを表現する上で、人形アニメーションは最適な表現方法だと気付かされます。
「陸にあがった人魚のはなし」の映像化に大いに期待しております。制作の実現を心から応援しています!

森和美(マンガ家)コメント

地に弾ける雨粒、風に流され雪上を滑る木の枝、陽射しに揺れる水面、うつろう影、輝く樹液や粘菌、瞬く星、賑やかな森。瞳に花を閉じこめた少女、毛むくじゃらの優しい生き物、初めて見るのに懐かしい異形のものたち。 村田さんのアニメーションは画面の彼方此方に小さな命が溢れています。コマ撮りという作業を思えばなんという積み重ねかと溜息が出るほどです。彼らはたいてい言葉を発してくれないのですが、目を凝らして彼らと出会う時、私たちは新しい友だちを得る事が出来るのです。知らない筈の世界と人をいつの間にか慕わしく思ってしまう──「陸にあがった人魚のはなし」でも、きっとそんな体験をさせて貰えるのではないでしょうか。

籾山昌夫(美術館学芸員)コメント

コマ撮りアニメーションは大変だ。これまで東欧のアニメーションを中心に展覧会で紹介してきたが、トゥルンカやティールロヴァーが活躍したチェコも含め、前世紀の人類の実験である社会主義国家だからこそ、コスト度外視で作られてきた。しかし、今はクラウドファンディングという手段がある。そのおかげで、シュヴァンクマイエルは新作に取り組んでいる。今、日本でパペットによるコマ撮りアニメーションの制作をしてもらうとしたら、村田朋泰さんの名前が浮かぶ。しかも、フルバージョンのコマ撮りアニメーションでお願いしたい。分断の時代を迎えつつある今こそ、社会包摂的なジャレルの物語を、村田さんの柔らかなアニメーションで映像化して欲しい。

土田ひろゆき(アニメーションディレクター)コメント

村田朋泰さんの作品には、心地のよい間(ま)が流れています。登場キャラクターの気持ちを自然と想像させる間、照明と合わさった素晴らしい美術にうっとりする間、どの間をとっても、それが村田さんの作品の魅力だと思っています。今上がっているイメージ画が実在する人形、背景美術セットとなり、村田さんの手によって動きがつき、物語を紡いでいく。「陸にあがった人魚のはなし」にはどのような間が流れるのだろう、今から楽しみで仕方がありません。

武田一義(マンガ家)コメント

手作りの風景とキャラクターが、起こる出来事が、みんな可愛くて可笑しくて、ぽーっと見惚れて声出して笑って、ちょっと切なくなって、終わる頃には心の中に愛おしさが溢れている。
村田朋泰さんが創る世界が好きです。
新たな世界の誕生を心待ちにしています。

叶精二(映像研究家)コメント

人形アニメーションの舞台はミニチュアセットである。当然、カメラの移動範囲も狭く、空間の開放的な広さを表現することが難しい。だから、キャラクターは至近距離で捉えられ、外壁や障害物を外した箱庭的な同一セットの中でカメラが静止、または微動する展開に適している。立体造形物である人形は実在感の主張は得意だが、可動部が限られるために感情表現は記号的になりやすい。一方、舞台・小道具に宿るドールハウス的な装飾性と可愛らしさは明るい照明で強調される。これらの条件から、特に短編の場合、台詞がなくとも理解出来る明解な物語になりがちだ。
村田朋泰監督の作品は異質だ。作品の舞台には世界の一部を切り取ったような臨場感がある。ロングショットが多い。空は広く、森は深い。時にキャラクターはポツンと漂う。照明は自然光や逆光風が多用され、暗闇もしばしば登場する。建物や小道具はどれも使い込んだように汚れていて、樹木や草木は鬱蒼としている。そして、球状の膨らみの眼(アイボール)を持つキャラクターたちの表情からは喜怒哀楽が読み取りにくい。それらの傾向は、どこか懐かしい作品世界を彷徨う叙情的な作風と実に合っている。だが、明解な物語の追求とは趣が異なる。
その村田監督が、初めて長編に挑むという。アメリカの詩人ランダル・ジャレルが紡いだ物語とどのように向き合うのか。モーリス・センダックの繊細な線描世界と異なる立体の舞台がどのように成形されるのか。そして、アイボールのキャラクターの視線の先には何があるのか。村田監督の新たな挑戦は実に楽しみである。

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叶 精二(Seiji Kanoh) @seijikanoh

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