マーティン・スコセッシ来日、「沈黙」は「私にとっての巡礼」

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「沈黙-サイレンス-」の記者会見が本日1月16日に東京のザ・リッツ・カールトン東京にて行われ、監督のマーティン・スコセッシが出席した。

マーティン・スコセッシ

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「沈黙-サイレンス-」日本版ポスタービジュアル

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遠藤周作の小説「沈黙」をもとにした本作は、キリシタン弾圧が激化する17世紀の日本を舞台にしたヒューマンドラマ。師と仰ぐ神父フェレイラを探しに長崎を訪れた宣教師ロドリゴとガルペの苦難を描く。アンドリュー・ガーフィールド、アダム・ドライバー、リーアム・ニーソン、窪塚洋介、浅野忠信、イッセー尾形、塚本晋也らが出演した。

マーティン・スコセッシ

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スコセッシは本作について「長い年月をかけてようやく完成にこぎつけた。原作を日本で読んだときすぐに映画化したいと思ったが、どのように作るか、そしてこの物語をどのように解釈すればいいのか、なかなか答えが見つからなかったんだ」と述懐。「この作品を作る過程は、私にとって壮大な“学びの旅”だったと言える。映画は完成したが、これで終わりだとは思っていないんだ。今も私はこの作品とともに生きている」と続ける。

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質疑応答では、日本のキリシタンの受難を描いたことでどういった学びがあったのかという質問が。スコセッシは「まずはこの日本にいたキリシタンたちの勇気や信念に、感嘆せざるを得ない」と前置きして、先日ローマで会ったというアジア人イエズス会士との対話を回想。「隠れキリシタンが受けた拷問は確かに暴力だった。しかし、西洋から日本にやってきた宣教師たちが『これが普遍的な真実である』としてキリスト教を持ち込んだことも一種の侵害行為であり暴力だったんだ」と話す。そして「ロドリゴの傲慢さは少しずつ崩されていく。彼の中にあったキリスト教に対する誤った考え方が覆され、ロドリゴは真のキリシタンになっていく。日本のキリシタンは、慈悲心や、すべての人間は皆平等であるという理念に惹かれるのではないかな」と語った。

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またスコセッシは「キチジローというキャラクターが劇中で『この世の中に、弱き者が生きられる場所はあるのか』という問いを発するが、まさにこの物語は、弱き者とは除外するのではなく抱擁してあげるべきなんだと謳っている」とコメント。さらに「新約聖書の中で私が一番好きなのが、イエス・キリストは常に卑しき人々のそばにいてあげたということだ。彼は権力者のそばにいたわけではなく、取り立て屋や売春婦といった人々が神聖になっていく可能性を見いだした」と述べ、「近年この世に生を受けた人たちは皆危険にさらされている。世界は勝者のためだけに存在しているということしか知らずに育ってしまうからだ。そんな時代だからこそ、人間の『何かを信じたい』という心について真剣に考えることが大事なんだ」と話した。

握手を交わすマーティン・スコセッシ(左)と村上茂則氏(右)。

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会見には今も隠れキリシタンの教えを守り続け、7代目帳方(指導者)を務める村上茂則氏も登場。村上氏の「映画の中で弾圧される人たちを観ていて、自分たちの先祖がこのようなひどい目に遭ってきたのかと思うと涙が出た」という感想を受け、スコセッシは「この映画が、日本文化や、日本にいたキリシタンの方々の勇気を損なうことのないように描いたつもりです。敬意、共感、慈悲心を持って臨もうと、力の限りを尽くしました。(塚本演じる)モキチが水磔になるシーンでは、アメリカ人のキャストも日本人のキャストも涙しました。この映画を作ることは私にとって避けて通れない通過儀礼であり、巡礼だったのです」とメッセージを送った。

「沈黙-サイレンス-」は、1月21日より全国でロードショー。

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田北雅裕|TAKITA @localdesign

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