映画「長崎―閃光の影で―」が、バチカン市国で上映されることが決定。現教皇・レオ14世のもと、現地時間10月31日にバチカン内の上映室フィルモテカ・バチカーナでかけられる。
本作は1945年夏、原子爆弾投下直後の長崎を舞台とする物語。若き看護学生の田中スミ、大野アツ子、岩永ミサヲは、原爆により焼け野原となった街で、未熟ながらも使命をまっとうしようとする。
長崎に投下された原爆は、カトリック信徒が多く暮らしていた浦上地区の上空で炸裂し、多くの信徒の命が奪われた。バチカンは、2017年に採択された核兵器禁止条約に最初に批准した国の1つ。今年4月に死去した前教皇フランシスコは、2018年に原爆投下後の長崎で撮影された写真「焼き場に立つ少年」をカードにし、“戦争がもたらすもの”という言葉を添えて取材記者たちに配布した。これをきっかけに「焼き場に立つ少年」は世界中に広く知られるようになった。「長崎―閃光の影で―」では、「焼き場に立つ少年」をモチーフにしたエピソードも描かれている。
今年1月下旬、バチカンの広間でフランシスコと対面したカトリック大阪高松大司教区の酒井俊弘 補佐司教は、カトリック信者である本作の監督・
松本は、今回の発表を受けて「本作のバチカンでの上映決定、誠に光栄に思います。暴力の絶えない現代世界の中で、被爆者であった祖父の想いに端を発したこの小さな映画が、特別な使命を帯び、『平和の道具』となり、ヒロシマ・ナガサキを伝えるきっかけの1つとして、広く世界中の人々の心に届くことを切に願います」とコメント。松本は上映に合わせて現地を訪れる予定だ。なお今回の上映決定に先立ち、日本カトリック司教協議会は本作を「推薦映画」に選出した。
「長崎―閃光の影で―」は全国で上映中。日本赤十字社の看護師たちが被爆から35年後にまとめた手記「閃光の影で―原爆被爆者救護赤十字看護婦の手記-」をもとに松本、保木本佳子が共同で脚本を執筆した。
ノーシン @nothin0707
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