現在公開中の「オーバー・フェンス」は、オダギリジョー演じる主人公・白岩義男と
監督デビューが同時期であり、近年ではドラマ「山田孝之の東京都北区赤羽」で共同監督を務めるなど、山下とは何かと接点の多い松江。本作の鑑賞後には「すごくよかった!と興奮して感想を伝えました」と話し、自身の作品でも組んだことがある編集担当の今井大介や、カメラマンの近藤龍人の仕事ぶりについても絶賛の言葉を並べた。
また松江は、「山下くんが今までやってないことに挑戦しているとも思った」と続ける。「(山下作品では)同じ空間にいる人たちが視線を合わせないんだけど、その場で生まれる空気感がとても面白い。ワンショットの中で人間関係を描き出すという部分で山下くん以上にうまい人はいない」と述べたうえで、「(『オーバー・フェンス』では)ちゃんと目を合わせていた。そのためにはカットバックしたり、カメラの位置を変えたりしなきゃならないから、これまでと違うことをしていると感じた」と指摘。
それに対し、山下は「例えば職業訓練校の人たちがタバコ吸いながらだらだらしゃべってるところは向き合っていない。でも白岩と聡の関係性はどう考えても2人が向き合わなきゃマズい。だから必然的にこうなった。自分なりのやり方も残しつつ、視線を交わすシーンも入れていきました」と解説する。また大阪芸術大学の先輩である熊切や同期の呉から“函館3部作”のバトンを受け取り、「プレッシャーもあったし、うれしさ、使命感などいろいろな思いがあった」と話す山下。「でも断る理由がなかった。俺がやらなきゃって」と打ち明け、「いつもは『このキャストと組んでみたいからやってみよう 』とか、何か1つモチベーションを見つけようとするんだけど、今回は原作や脚本が中心にあったので、自分のアイデアや思いを入れるというより、シンプルに目標に向かう気持ちで作りました。不思議な感覚でしたね」と振り返った。
松江も「自分の好きな世界を形にしようというより、キャストや脚本に素直に惚れ込んでいる監督としての山下くんを感じられた」と同調。そして「海炭市叙景」「そこのみにて光輝く」にも触れながら、「こういう映画を丁寧に作らないと、映画ってダメだろうと。自分たちが影響を受けてきた日本映画にお返ししている、そんな作り手たちが生み出した“3部作”だと思う」と総括した。
「オーバー・フェンス」は全国の劇場で公開中。
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