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本作は、東京から地方に脱出するため質素な生活を送り、日々バイトに時間を費やす男・西岡を主人公にしたヒューマンドラマ。マンガ家である大橋が映画初出演にして初主演を飾り、その脇を山本ロザ、
110人限定の上映会では、まず制作陣と大橋の5名が登場。かねてから映像制作に興味があったいましろから制作会社を作りたいと相談を受けたという松江は「山下くんと僕は、絶対やめたほうがいいから説得をしようとしたんです。そしたら、今まで描いたマンガを原作に使っていいからと言われて、それはすごいなと。『山田孝之の東京都北区赤羽』の監督印税が入った頃だったので、山下くんと2人でお金を出し合おうということになった」と明かし、山下が「いましろさんには、予算が集まったらそこからお金を抜いて東京を出るという邪な野望や、お金がもうかるんじゃないかという思いがあった」と重ねて笑いを誘う。
いましろは「自主映画を作るには、誰かが一歩前に出ないと始まらないと実感した。映画が完成したのは、松江くん、山下くん、いまおかくんの交渉力のおかげ。3人がいなければできていない」と感謝の念を表す。「劇中のような『あなたを待っています』という言葉ではなかったけれど、街でああいうメッセージが書かれたプラカードを掲げている人が実際にいて、そこから話を組んでみようかなと思った。『タクシードライバー』が元ネタで、かわいそうな女の人を勝手に助けたら、自分が気持ちよくなるかなって」と創作秘話を披露した。
いまおかは「昔からいましろファンでマンガ『デメキング』を勝手にパクって、1998年に怪獣物のピンク映画『痴漢電車 弁天のお尻』(別題『デメキング』)を作った。初めていましろさんに会ったときにけっこう怒られたんだけど、今また、いましろ原作で映画を作れるなんて」と述懐。松江が「いましろさんのマンガ『原発幻魔大戦』のように、いましろさんが今一番伝えたいメッセージやエネルギーがふわっと出ている映画でとても好き」と本作の感想を語れば、山下は「いまおか&いましろコンビの映画が観たかった」と次々にいましろ愛を炸裂させる。
「撮影に参加してくれた人に3000円渡すという、とっぱらいでやった。撮影後は飲み屋で飲んでギャラを使っちゃうようなひどい現場なのに、怒る人も誰もいない。自主映画の現場で『時間ないです!』とか怒っている人が嫌なんですよ」と打ち明ける松江に対し、いまおかは「時間あるしね(笑)」と即答。山下が「自分はプロデューサーだけど、(やった仕事は)ロザさんをキャスティングしたことくらいで、あとはたまに現場を見に行って飲みに参加するくらい(笑)」と続けた。
最初は出演を断ったという大橋が「大変だったけど楽しかった。3万円出資して、撮影最後の日に封筒に入った2万7000円とヒートテックをもらった。僕だけギャラをもらっていない(笑)」とぼやくと、「3万円は別に返します」と制作陣からすかさずフォローが。
舞台挨拶の後半は、20人のキャストとスタッフが壇上に並び、アットホームな雰囲気に。いまおか作品常連の川瀬は「1日3000円で現場に呼ばれて、年末の飲み会で『会費は3000円です』って言われた」とおどけ、柳は「私の好きな面白いアダルトたちが面白いことをやるなと思って参加させてもらった」と笑顔で述べた。
「あなたを待っています」は9月24日よりポレポレ東中野にて上映。
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