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ピーター・チャン、誘拐事件描く「最愛の子」は「両方向から観てほしい」

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「最愛の子」監督のピーター・チャン。

「最愛の子」監督のピーター・チャン。

本日11月23日、第16回東京フィルメックスの特別招待作品「最愛の子」の上映が東京・有楽町朝日ホールで行われ、監督のピーター・チャンがティーチインに出席した。

「最愛の子」は、実話をもとにしたミステリードラマ。3歳のときに誘拐され、6歳で実の親と再会した男児ポンポンを軸に、我が子に忘れられた産みの親と、3年間親子として生活してきた育ての親が抱く苦悩や葛藤を双方向から描き出した。

登壇したピーター・チャンは観客にお詫びしたいことがあると切り出し、「皆さんにこのような悲しい作品をお見せすることになってしまった」と伝える。しかしテレビで目にしたという本作のもととなった事件については「ドキュメンタリーではなく本当の事件。多くの問題を提起している、力を感じる物語だった」と話した。また、現代の中国における貧富の差や、経済発展が遅れている地域の教育問題、そして1人っ子政策の末路にも通ずる子供の売買がいまだにあるということ。昔から解決していない問題が1つの事件に包括されており、映画化を決意したと続ける。

実際の事件を取り扱うにあたり、ピーター・チャンは「正しい、正しくないと説教するような映画は好きじゃない」と言い切り、「問題をどう解決するかよりも、提起し、認識してもらうことが大事」と力を込めてアピール。「この映画を通じて、問題を両方向から見てほしい」とも伝え、「育ての親だけが一方的に悪いわけではない。子供を失った親の気持ちというものを表現できれば」と作品に込めたメッセージを明かした。

本作で育ての親に扮したヴィッキー・チャオは香港電影金像奨で最優秀主演女優賞を受賞。 ノーメイクで迫真の演技を見せた彼女の役作りに関して観客から質問を受けると、ピーター・チャンは「世の中の化粧品メーカーは、こんなきれいな女優がいたとは、と恐れていると思いますよ」とにやり。「どんな映画でも、まずは女優さんを納得させなきゃならない。『人間って不思議なもので、歳を重ねるほど化粧したくなる。だから化粧をすればするほど、歳を取って見えますよ』……その言葉で彼女を納得させました!」と言い放ち、場内の笑いを誘った。

最後に今後の展望について聞かれると、ピーター・チャンは次に着手するプロジェクトは中国の女子テニスプレイヤー、李娜を題材にしたものだと明かす。「完成は2017年かな。そうすると、日本の公開はもっと先だからまたしばらく来られないね」と言い残し、名残惜しそうに壇上を後にした。

なお「最愛の子」は2016年1月より東京・シネスイッチ銀座ほか全国にて順次公開される。

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