本日11月27日、第16回東京フィルメックスが開催中の東京・有楽町朝日ホールで「
日本統治解放後の台湾を舞台とした本作は、激動の時代を生きたある家族の変遷を壮大に描き出した年代記。ホウ・シャオシェンの代表作の1つであり、第46回ヴェネツィア国際映画祭では中国語圏映画において初の金獅子賞に輝いた。日本から妻夫木聡も出演した最新作「黒衣の刺客」が、第52回金馬奨で最多5冠を獲得したばかりのホウ・シャオシェンは大きな拍手と歓声に包まれながら登場し、「ありがとうございます」「すみませんねえ」と顔をほころばせながら日本語で丁寧に挨拶する。
「悲情城市」を初めて鑑賞するという観客も多くいたこの日。ホウ・シャオシェンは本作のことを「僕にとって1つ新しいステップを迎えたときの作品です」と説明する。「童年往事 時の流れ」「冬冬(トントン)の夏休み」など自分にとって身近なストーリーを題材にしてきた彼の目が、台湾の歴史や背景に向いていったことから作られた作品だという。また本作では当時絶大な人気を誇っていた香港スター、トニー・レオンが主演に迎えられた。しかし彼の使う言語が広東語なまりであったことに頭を悩ませたというホウ・シャオシェン。事故で耳が不自由になったが、手話でなく筆談で生活している人の話を知り合いから聞き、それをヒントにトニー・レオンの役を聴覚障害を抱える設定にしたと裏話を明かした。
同映画祭ではホウ・シャオシェン作品の特集上映が実施されており、「悲情城市」「戯夢人生」が35mmフィルムで上映される一方、「風櫃の少年」はデジタル修復版DCP上映となる。デジタル化が進む映画業界において、「個人的にはプリントのほうが好き」と話すホウ・シャオシェンだが、「ただしどっちがいいか悪いかではない」と念を押す。デジタルだけでなくプリントを保管する技術も進化している現代。「(作品を)残せるか残せないかは、国がどうするのかというところもある。文化として保存したいと考えているなら、残されるのでは」と語り、会場に集まった多くの観客を見渡しながら「年月が経ってもこうして観に来てもらえる作品は、売れた売れないに限らず残っていく。だからDCPとプリントどちらを残すという問題は複雑な考えを伴っています」と持論を述べた。
第16回東京フィルメックスは11月29日まで開催中。
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「(作品を)残せるか残せないかは、国がどうするのかというところもある。文化として保存したいと考えているなら、残されるのでは」ホウ・シャオシェン来日、「悲情城市」とフィルムの未来を語る - 映画ナタリー https://t.co/ZaclGVydaJ