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宮沢りえ「どこかで観てくれている勘三郎さんを感じて」本日開幕「足跡姫」

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NODA・MAP「足跡姫 ~時代錯誤冬幽霊~」ゲネプロより。

NODA・MAP「足跡姫 ~時代錯誤冬幽霊~」ゲネプロより。

本日1月18日に開幕するNODA・MAPの新作「足跡姫 ~時代錯誤冬幽霊~」(あしあとひめ ときあやまってふゆのゆうれい)のゲネプロが、昨日1月17日に行われた。

公開されたのは1幕。東京・東京芸術劇場 プレイハウスには特設の花道が作られ、江戸のとある鄙びた芝居小屋を舞台に物語が展開する。三、四代目出雲阿国座の看板踊り子、三、四代目出雲阿国(宮沢りえ)とその弟サルワカ(妻夫木聡)は、姉弟肩寄せ合って生きている。小屋では、阿国と踊り子のヤワハダ(鈴木杏)たちが幕府では御法度とされている女カブキを上演しており、伊達の十役人(中村扇雀)は取り締まりの目を光らせていた。ある日、サルワカの言動が座長の万歳三唱太夫(池谷のぶえ)の逆鱗に触れ、一座に紛れ込んだ腑分けもの(野田秀樹)と戯けもの(佐藤隆太)とともにサルワカは一座を追われそうになる。焦った阿国は、一座再興のため、サルワカに女カブキの“筋”を書かせてほしいと座長に懇願する。しかしうまく書けないサルワカを、売れない幽霊小説家(古田新太)がゴーストライターとして助け、新作「足跡姫」が誕生するのだった……。

宮沢は、踊りのシーンで見せるなまめかしい色気と同時に、看板踊り子として、また姉として凛とした美しさ、芯の強さを見せ観客を魅了する。そんな姉に助けられっぱなしのサルワカを、妻夫木は愛すべき弟として好演。これまでも野田作品に多数出演している妻夫木だが、本作ではさらにのびのびと役を演じ、多彩な表情を見せている。同じく野田作品に常連の古田は、飄々とした演技で時折共演者たちにツッコみを入れながら、さすがの存在感で場をさらっていく。また「足跡姫」の劇中劇をはじめ、いくつかの物語が重ねられる中、その多くのシーンに「伊達の十役」ならぬ伊達の十役人として登場する中村扇雀の奮闘ぶりにも注目だ。

本作上演決定の際に発表された野田の手書きコメントには、中村勘三郎、坂東三津五郎の死に触れながら「『肉体を使う芸術、残ることのない形態の芸術』について、いつか書いてみたいと思い続けていました。もちろん作品の中に、勘三郎や三津五郎が出てくるわけではありませんが、『肉体の芸術にささげた彼ら』のそばに、わずかな間ですが、いることができた人間としてその『思い』を作品にしてみようと思っています」と書かれていた。確かにその“思い”は、具体的なシーンやセリフとして描かれるわけではないが、伝統の世界に身を置きながら反骨精神を持ち続け、歌舞伎に新風を吹き込み続けた勘三郎と三津五郎の“足跡”は、作品の随所にさまざまな形で表れていた。

そんな野田の思いを受けて、宮沢も「観に来てくださるお客様とキャスト、スタッフ、そして、どこかで観ていてくれている勘三郎さんと、その瞬間にしか生まれない濃密な何かを全身で感じたいと思います」と開幕に向けて意気込みを語っている。公演は3月12日まで、東京・東京芸術劇場 プレイハウスにて。

宮沢りえ コメント

野田さんが投げかけてくださる無限に上がり続けるハードルを直向きに、飛び越える毎日です。
観に来てくださるお客様とキャスト、スタッフ、そして、どこかで観ていてくれている勘三郎さんと、その瞬間にしか生まれない濃密な何かを全身で感じたいと思います。

NODA・MAP「足跡姫 ~時代錯誤冬幽霊~」(あしあとひめ ときあやまってふゆのゆうれい)

2017年1月18日(水)~3月12日(日)
東京都 東京芸術劇場 プレイハウス

作・演出:野田秀樹

出演:宮沢りえ妻夫木聡古田新太佐藤隆太鈴木杏池谷のぶえ中村扇雀、野田秀樹

秋草瑠衣子、秋山遊楽、石川朝日、石川詩織、大石貴也、上村聡、川原田樹、末冨真由、鷹野梨恵子、手代木花野、土肥麻衣子、西田夏奈子、野口卓磨、野村麻衣、花島令、福島梓、本間健太、前原雅樹、松崎浩太郎、的場祐太、モーガン茉愛羅、吉田知生、吉田朋弘

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