熊林弘高「かもめ」開幕へ、満島ひかり「私の中にいるニーナをありったけ」

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「かもめ」が本日10月29日に東京・東京芸術劇場 プレイハウスにて開幕する。昨日10月28日には、同会場にてフォトコールが行われた。

「かもめ」フォトコールより。左から満島ひかり演じるニーナ、坂口健太郎演じるトレープレフ。

「かもめ」フォトコールより。左から満島ひかり演じるニーナ、坂口健太郎演じるトレープレフ。

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「かもめ」フォトコールより。

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「かもめ」はロシアの劇作家アントン・チェーホフの代表作の1つ。本作の演出は、翻訳劇に定評がある熊林弘高が手がける。出演は満島ひかり田中圭坂口健太郎渡辺大知あめくみちこ山路和弘渡辺哲小林勝也中嶋朋子佐藤オリエ

満島ひかり演じるニーナ。

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フォトコールでは、劇作家志望のトレープレフ(坂口健太郎)が、恋人で女優志望のニーナ(満島ひかり)と、ある田舎の別荘で新作舞台を上演するシーンが公開された。観客として登場するのはトレープレフの母・女優アルカージナ(佐藤オリエ)と、アルカージナが同伴した年若き恋人トリゴーリン(田中圭)たち。マイクを持ち奔放に劇中劇を演じるニーナを、満島が瑞々しい演技で好演した。

初日を前にした満島は、「ニーナは演劇や文学など華やかな世界に憧れ、功名心も隠さない。そこはかとなく底辺に流れている感情の起伏とか物事の感じやすさは自分とも重なります」と自身の演じる役を分析し、「私の中にいるニーナをありったけ正直にかき集めて、果てしない表現世界を泳ぎまわれたらいいなと、高く理想はもっています」と意気込んだ。

「かもめ」フォトコールより。

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一方、今回が舞台初出演となる坂口も「今は目の前に何百人もいる前で演技をするという状況の想像がつかないんです。でも不思議とそれが『コワい』感情はなく、楽しみのほうが大きいです」と開幕を心待ちにする様子を覗かせている。

東京公演は11月13日まで。その後は宮崎・長野・北海道・滋賀・神奈川・愛知とツアーを行う。

満島ひかり コメント

「かもめ」フォトコールより。

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チェーホフ劇はドラマティックな場面を切り出したものではなく、そうは言っても続いてゆく日常が描かれているので、隠されたドラマをみんなで共有して挑戦する稽古をしてきました。
ニーナは演劇や文学など華やかな世界に憧れ、功名心も隠さない。そこはかとなく底辺に流れている感情の起伏とか物事の感じやすさは自分とも重なります。
私の中にいるニーナをありったけ正直にかき集めて、果てしない表現世界を泳ぎまわれたらいいなと、高く理想はもっています。熊さんの演出は無限の可能性と、このメンバーだからこそ生まれる舞台への大きな夢をみせてくれます。まだまだ拙い力かもしれないけれど、この「かもめ」に自分の大切なものを捧げたいです。

田中圭 コメント

「かもめ」フォトコールより。

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チェーホフの戯曲を読むのは今回が初めてでした。てっきり、分かりやすい見せ場が続いていく、いわゆる“大芝居”かと思っていたので、淡々と時間が流れていく物語にびっくりしました。いくらでも深読みできてしまうけれど、それを表現することはとても難しい。
トリゴーリンは若い人たちの人生を狂わせますが、最初に読んだ時から、悪い人には思えなかったんですよね。「ただのバカ」と思えるフシもある(笑)。でも魅力的な男であるのは間違いない。熊林さんを信じて、本を信じて、キャストの皆さんを信じて……あとは自分を信じるという一番苦手なことに挑みつつ、しっかりトリゴーリンという人間をつかんで初日の舞台に立っていたいです。

坂口健太郎 コメント

「かもめ」フォトコールより。

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最初に戯曲を読んだ時は、正直言うと意味が分からなかったんです。でも何度も読むうちに、「こんなステキな本はない」と思い始めました。トレープレフは最初「悲しい男」という印象でしたが、実際に演じてみると、すごく幸せに感じる瞬間もあるんです。
その場で相手の呼吸を感じて演じたり、こんなにも肉体で表現できることがあるんだ!と感じる稽古場での体験は新鮮です。演出の熊林さんはすべてが見えている魔法使いのようですし、「演劇はこれだけ自由なんだよ」ということを教えていくれている気がします。
今は目の前に何百人もいる前で演技をするという状況の想像がつかないんです。でも不思議とそれが「コワい」感情はなく、楽しみのほうが大きいです。

中嶋朋子 コメント

「かもめ」フォトコールより。

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実はこれまでずっとチェーホフに苦手意識を持っていたのですが、1年ほど前からテキストの勉強会を始め、回を重ねるうちに、自分がチェーホフ作品の中にある、登場人物が吐き出しまくっている「人間」というものを凝視できていなかったことに気づきました。ようやくチェーホフの世界、その入口に立てた気がしています。
私が演じるマーシャは、人生を生き抜くために敢えて自分の感情と距離を取ろうとしている人。逆に感情を手放すことで一歩ずつマーシャに近づいていく作業が面白くてたまりません。
12年を経て、再び「かもめ」に向き合うという強い意志と高い目標を掲げる、進化著しい熊林さんと共にチェーホフに挑む今回。私自身も女優として得るものがきっと大きいはずだと思っています。

佐藤オリエ コメント

「かもめ」フォトコールより。

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私は2004年にも熊林さん演出の「かもめ」に出演し、同じアルカージナをやりましたが、当時も新しく刺激的な上演だったはずなのに、あまり思い出せないんです。それだけ今回の稽古場での“ビックリ”が激しく、面白いからなのでしょうね。
チェーホフは10代で初めて出会ったときから大好きな作家です。中学3年くらいに初めて観たモスクワ芸術座の「三人姉妹」に感動し、涙が止まらなくなったことは私にとって大きな体験でしたが、その後もチェーホフ作品に触れるたび自分の中に発見があって、引きつけられ続けています。熊林さんは素敵だし、走り出すとどこまでも止まれない感覚になっていきます。共演の皆さんも、同じ様な気持ちだと思います。まだ見たことのない「かもめ」が生まれると信じています。

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「かもめ」

2016年10月29日(土)~11月13日(日)
東京都 東京芸術劇場 プレイハウス

2016年11月16日(水)
宮崎県 メディキット県民文化センター 演劇ホール

2016年11月19日(土)・20日(日)
長野県 まつもと市民芸術館 主ホール

2016年11月23日(水・祝)
北海道 札幌市教育文化会館 大ホール

2016年11月26日(土)・27日(日)
滋賀県 滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール 中ホール

2016年11月29日(火)・30日(水)
神奈川県 杜のホールはしもと ホール

2016年12月3日(土)・4日(日)
愛知県 穂の国とよはし芸術劇場 PLAT

作:アントン・チェーホフ
翻訳:木内宏昌
演出:熊林弘高
出演:満島ひかり田中圭坂口健太郎渡辺大知あめくみちこ山路和弘渡辺哲小林勝也中嶋朋子佐藤オリエ

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