GRAPEVINE、お台場ライブで緩急自在に観客を翻弄

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GRAPEVINEの全国ツアー「GRAPEVINE Tour 2009『Twangs』」の東京公演が、11月28日にZepp Tokyoで開催された。

田中はフロアに向けて「茶番を本気でやるのが正しいロックスターのあり方ですから!」と“コール&レスポンス”を強要。ちなみに呼び込まれるまでの間、西川と亀井は金戸のゴルフ話を聞かされていたとのこと。

田中はフロアに向けて「茶番を本気でやるのが正しいロックスターのあり方ですから!」と“コール&レスポンス”を強要。ちなみに呼び込まれるまでの間、西川と亀井は金戸のゴルフ話を聞かされていたとのこと。

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バンド形式とはひと味もふた味も違った魅力を存分に発揮したパーマネンツのコーナー。

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ダブルアンコール後には「2010年も2010年以降もよろしく! でも一説によると2012年で地球は滅びるらしいよ」と、ニヤリと笑いながら言い放った田中。彼らしいシニカルなセリフでライブは締めくくられた。

ダブルアンコール後には「2010年も2010年以降もよろしく! でも一説によると2012年で地球は滅びるらしいよ」と、ニヤリと笑いながら言い放った田中。彼らしいシニカルなセリフでライブは締めくくられた。

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最新アルバム「TWANGS」を7月にリリースし、その後9月よりスタートした今回の全国ツアー。残るはファイナルの沖縄公演のみとなったこの日の会場は、満員のオーディエンスの静かな期待で満ち溢れていた。

定刻を少し過ぎたころ場内の照明が落ち、大きな拍手が沸き起こる。いつもならばオープニングSEが鳴り響く中、暗いステージにメンバーが現れるが、今回のツアーでは何も鳴らないまま明るく照らされたステージにメンバーが登場。ざわめくファンを前に田中和将(Vo,G)はいきなり「はいこんばんは、GRAPEVINEです。今日は最終日のつもりで気合入れていきたいと思います」と挨拶。彼らとしては異例のスタイルで、ライブの幕が開いた。

1曲目は「Twang」。田中がアコースティックギターをかき鳴らしながら気だるげに歌うイントロにストリングスの音が重なり、じわじわと会場の空気を変えていく。続けて「Pity on the boulevard」ではファズを効かせた西川弘剛(G)のギターと田中の哀切な歌声、金戸覚(B)の骨太なベースラインが響き渡る。その一方、中盤ではアコースティックな音色と優しい歌声が柔らかい雰囲気を作り、緩急をつけたサウンドで場内を揺らす。

バインらしい重厚さをたっぷり見せつけた後、再び田中が話し出す。「例によって沖縄が残ってますが、まあ最終日だと思って。我々は盛り上がりとか一体感とか、そういうものは一切打ち出していかないので(笑)、そのつもりでいてください。みなさんが見たことない映像、忘れていた映像、そういうものを呼び覚ましていければいいなと思ってます」。飄々としつつも気合を感じさせる言葉に、フロアの期待はまた高まった。

続く「NOS」では田中が間奏にマイケル・ジャクソン「Billie Jean」のフレーズを混ぜ込み、ラストで高野勲(Key, G)とのアドリブ合戦を展開。「Reason」「空の向こうから」と、やや懐かしめの曲を披露した後は唐突に田中が「えー、今の曲は……」と曲紹介を始め、ざわつくフロアに向かって「なんかおかしい? 普通やるやろ曲紹介!って今までせんかったからな(笑)」と笑わせるなど、なごやかな雰囲気を演出していた。

「SUN」「Vex」「hiatus」とライブは続き、9曲目は高野のピアノから始まった「She comes (in colors)」。ピアノの音とシンプルなバンドサウンドから徐々に音を重ねていき、ラストは美しいストリングスのアンサンブルで終わる華やかな展開は、まさにライブにぴったりのナンバーであった。そんな華麗な演奏で観客を魅了する5人だが、曲の合間にはワインを飲みながら談笑。ワインを注ぎに来たスタッフを指して西川が「今回から専属のソムリエの人を連れてきています(笑)」と珍しく冗談を言い、演奏とのギャップでファンを笑わせた。

まったりとした流れを一変させるヘヴィなロックナンバー「Turd and swine」の後、ステージには田中と高野のみが残る。田中は「どうも、パーマネンツです!」と挨拶。このツアーで展開される、2人の髪型から名前をとったユニット“パーマネンツ”のコーナーだ。最初の曲はアコギを抱えた田中が熱いストロークを鳴らし、高野がエモーショナルなピアノを聴かせる「遠くの君へ」。曲の持つ切なさがより強調され、全員の心を強く惹きつける。穏やかで優しい歌声と音色が響く「会いにいく」に続き、「それでも」では田中がアコギを下ろしてスタンドマイクの前に立つ。高野のピアノと田中の歌のみがZeppに響き渡り、シンプルながらも力強い2人のパフォーマンスに観客は酔いしれた。

「それじゃ我々のライブで唯一の茶番やけど(笑)、みんなでコール&レスポンスでもしようか。ほんでGRAPEVINEのみなさんに来てもらいましょう」。雰囲気が変わりすぎる田中の呼びかけに全員失笑するも、彼の合図に応えて「グレイプバイーン!」と叫ぶ。その声に応えてのんびりと3人がステージに戻り、ライブはいよいよ後半戦に。「2カ月もツアーやってるとね、新曲ができるんですよ」と話して始まった曲は、ギターをフィーチャーしたミディアムテンポの穏やかなナンバー。バインらしい温かみを感じさせながら、新たな広がりも感じさせる楽曲だった。

金戸が亀井のドラムセットのシンバルを叩いて華を添える「Darlin' from hell」、西川のアグレッシブなギターソロが炸裂する「ジュブナイル」と、後半に入っても多彩なサウンドを響かせ続ける。「それを魔法と呼ぶのなら」で一旦落ち着いた流れになるが、場内に漂う独特の緊張感は消えることがない。「小宇宙」の間奏では5人が渾身のパフォーマンスを展開し、MCで笑わせていたときとは別人のような表情を見せた。

本編ラストを飾ったのは「指先」「CORE」「フラクタル」の3曲。幅広いアプローチで人の感情を表現する、彼らの魅力を余すところなく披露して、大きな拍手の中ステージを去った。

アンコールの声に応えて5人が戻ってくると、田中は「2カ月もツアーやってるとね、新曲ができるんですよ」と先ほどと同じセリフを吐く。再び沸きかえる観客の前で演奏されたのは、穏やかな序盤、浮遊感のある中盤、激しいギターが鳴り響くロックな終盤、と複雑に展開するナンバー。そして曲の最後にはまた序盤と同じ穏やかなアレンジに戻っていく。「まあレコーディングするかどうかわからんけどな」と田中は言い放つが、ぜひとも音源化されたものを聴いてみたい1曲だった。

「BLUE BACK」「FLY」と、疾走感あふれるロックチューンで締めくくられたアンコールだが、オーディエンスは貪欲にダブルアンコールを求める。その声に引っ張られるようにステージに現れたのは田中と高野の2人。「どうもこんばんは、パーマネンツ・リプライズです!」と挨拶する田中。「我々はわりと“飲み屋対応”ができるんで。けっこうこういうの平気なんですよ」と言いつつ、フロアの声を聞きつけて「なに、バインのほうがよかった? ざまあ見ろボケ!(笑)」と悪態をつく。そんなおふざけも束の間、2人が奏で始めたのは「smalltown, superhero」。ノスタルジックな雰囲気を強調するシンプルなアレンジで観客の郷愁を誘った。

「そんじゃ茶番もリプライズする?(笑)」という田中の呼びかけで、再びオーディエンスがメンバーを呼び込む。位置についた5人が披露したのは「鳩」。ライブの終わりを惜しむかのように長いイントロセッションを奏でてから、田中はファンが爆笑するほどのハイトーンボイスで歌いあげる。やりたい放題の攻撃的なアレンジで、セミファイナルの締めくくりにぴったりな盛り上がりを作り上げた。

本編23曲、アンコール&ダブルアンコール5曲、合計28曲を約3時間にわたり演奏した5人。新機軸の演出やアレンジも大量に取り入れ、彼らの進化は止まらないと全オーディエンスに確信させた一夜となった。

GRAPEVINE Tour 2009「Twangs」
2009年11月28日 Zepp Tokyo セットリスト

01.Twang
02.Pity on the boulevard
03.NOS
04.Reason
05.空の向こうから
06.SUN
07.Vex
08.hiatus
09.She comes(in colors)
10.Turd and swine
11.遠くの君へ
12.会いにいく
13.それでも
14.新曲
15.Darlin' from hell
16.Afterwards
17.ジュブナイル
18.疾走
19.それを魔法と呼ぶのなら
20.小宇宙
21.指先
22.CORE
23.フラクタル

EN1-01.新曲
EN1-02.BLUE BACK
EN1-03.FLY

EN2-01.smalltown, superhero
EN2-02.鳩

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音楽ナタリー @natalie_mu

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