大友良英「あまちゃんOST」レコ発で「潮騒のメモリー」も

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NHK連続テレビ小説「あまちゃん」の劇伴を担当している大友良英と、劇伴のレコーディングに参加したメンバーたちによるバンド「大友良英 & あまちゃんスペシャルビッグバンド」が、7月2日に東京・パルコ劇場で「あまちゃん オリジナル・サウンドトラック」のレコ発ライブを行った。

大友良英 & あまちゃんスペシャルビッグバンド

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大友良英 & あまちゃんスペシャルビッグバンド

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大友良英

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ドラマ「あまちゃん」の人気が加速する中、6月19日にリリースされた「あまちゃん オリジナル・サウンドトラック」。本公演ではこのサントラの楽曲が生演奏で再現されるとあり、会場には「あまちゃん」ファンを中心に幅広い層の観客が詰めかけた。また本公演はサントラのレコーディングに参加した数十名のミュージシャンの中から、15名の精鋭たちがステージに登場。管楽器隊、ピアノ、マンドリン、パーカッション、ドラム、ベース、ピアノ、キーボード、ギターという編成で、2部構成のコンサートを行った。

バンドメンバーがステージ上にずらりと並ぶと、大友の合図から最初に演奏されたのは「あまちゃんのオープニングテーマ」。さっそくのキラーチューン投下で観客の心を一気につかんだ大友は、「『あまちゃんのオープニングテーマ』はあまちゃんビッグバンド流のスカ」「この曲にはロングバージョンとショートバージョンがあり、毎週月曜に放送されるバージョンが長い」といった解説や劇伴制作の裏話を交えながらライブを進行していく。また話の合間に「能年玲奈さん、かわいいですよね。実際に能年さんにお会いすることがあるんだけど、本当に猫背なんですよ。アキがそのまんまという感じ」といった「あまちゃん」ネタのトークを挟み込みオーディエンスの関心を誘っていた。

続いてバンドは「大吉(杉本哲太)の車に乗ってアキ(能年玲奈)が初めて春子(小泉今日子)の実家に行くシーンで使われた」と説明し演奏された「行動のマーチ」、マリンバとアコーディオンの豊かな音色が絡みあう「日常」など次々と「あまちゃん」の世界観をサウンドで再現していく。中でもひときわ観客の注目を集めたのは、マーチ風のドラムと、拍子が抜けたような管楽器隊の演奏が楽しい「じぇじぇじぇ」。演奏前には、長さが1分にも満たないこの曲がダウンロードランキングの上位に位置していることに触れ、「ダウンロードサイトで試聴が45秒くらいできるとして、その続きが聴きたくてダウンロードしても残り15秒くらい……ほとんど詐欺ですよ(笑)」と話し会場を笑いで包んだ。

第1部のハイライトとなったのは、大友が北三陸の海の風景を音楽で表現すべく制作したという「海」。フルート、アコーディオン、ピアノ、マリンバといった楽器が壮大に絡みあうこの楽曲が奏でられると、オーディエンスはゆったりとしたグルーヴに身を任せるように体を揺らしたり、目を閉じて音に聴き入ったりと思い思いに演奏を楽しんでいた。

コンサートの第2部は「あまちゃんのオープニングテーマ」をスイング調にアレンジした「あまちゃんスイング」で幕開け。さらにドラマの登場人物である鈴鹿ひろ美(薬師丸ひろ子)を想定して作ったというジャズ風ナンバー「銀幕のスター」、マリンバとピアノで奏でられるフレーズがセンチメンタルな雰囲気を醸す「アキのテーマ」、アキと足立ユイ(橋本愛)の友情をテーマにした「友情」といった楽曲を繰り出し、より深くドラマの世界へ観客を誘っていく。さらに本公演出演ミュージシャンのほとんどが所属していたバンド・チャンチキトルネエド風のごちゃ混ぜ感が魅力の「あまちゃんクレッツマー」、“某有名ギタリスト”の曲をモチーフにしたというユニークなナンバー「地味で変で微妙」などパワフルな楽曲を立て続けに披露し、会場に一体感をもたらした。その後はリコーダーとアコーディオンの掛け合いがかわいらしい「あまちゃんのワルツ」、宮沢賢治が作曲した名曲「星めぐりの歌」、大友が劇伴を手がけたドラマ「とんび」のサントラからイメージを広げたという「TIME」などをプレイし観客を沸かせる。最後は「アキの祖父で漁師の天野忠兵衛(蟹江敬三)のような“海の男”をイメージして制作したが、結局春子役の小泉今日子さんにぴったりな楽曲になってしまった(笑)」という「灯台」。バンドはトランペットの音色が雄大な景色を想起させるこの楽曲をゆったりとプレイし、本編の幕を下ろした。

アンコールを求める拍手が会場に響く中、バンドはステージに再び登場。大友は「サントラには入っていない曲をやります」と話すと、ドラマの挿入歌「潮騒のメモリー」を期待するオーディエンスが大喝采を送る。それを受けて大友は「……『南部ダイバー』かもしれないよ?」というコアな「あまちゃん」ネタで観客を笑わせたのち、改めて「潮騒のメモリー」を演奏することを告げた。本公演のバンドにはボーカルがいないためインストアレンジで演奏された同楽曲だったが、サビでは観客も曲にあわせて大きな手拍子を送り演奏を盛り上げた。「潮騒のメモリー」で観客を大喜びさせたのち、大友は再び「あまちゃんのオープニングテーマ」を投下。この日2度目の演奏にもかかわらず、会場の盛り上がりはこの日一番のものとなった。ここでバンドがステージから去っても観客はさらにアンコールを求める手拍子を止めず、みたびバンドをステージに呼び戻す。バンドは再び「地味で変で微妙」を力強く演奏し、約2時間30分にわたるコンサートを終了させた。訪れたオーディエンスは音楽で再現された「あまちゃん」の世界観を心から楽しんでいた様子だった。

大友良英 & あまちゃんスペシャルビッグバンド 2013年7月2日東京・パルコ劇場

演奏メンバー

大友良英(G)
齋藤寛(Flute)
井上梨江(Clarinet)
鈴木広志(Sax)
江川良子(Sax)
東涼太(Sax)
佐藤秀徳(Trumpet)
今込治(Trombone)
大口俊輔(Accordion)
江藤直子(Piano)
近藤達郎(Key, Harmonica)
かわいしのぶ(B)
小林武文(Dr)
相川瞳(Per)
上原なな江(Per)

セットリスト

<第1部>
01. あまちゃんのオープニングテーマ
02. 行動のマーチ
03. 日常
04. 朝のテーマ
05. 琥珀色のブルース
06. じぇじぇじぇ
07. アイドル狂想曲
08. 芸能界
09. 海
10. テーマ変奏曲
<第2部>
11. あまちゃんスイング
12. 銀幕のスター
13. アキのテーマ
14. 友情
15. あまちゃんクレッツマー
16. 地味で変で微妙
17. あまちゃんのワルツ
18. 星めぐりの歌
19. TIME
20. 希求
21. 灯台
<アンコール>
22. 潮騒のメモリー
23. あまちゃんのオープニングテーマ
<ダブルアンコール>
24. 地味で変で微妙

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