「この県で面白いことがしたい」田我流が山梨リリパで絶唱

1

321

この記事に関するナタリー公式アカウントの投稿が、SNS上でシェア / いいねされた数の合計です。

  • 24 9
  • 138 シェア

田我流が6月9日に山梨・KAZOO HALLにてアルバム「B級映画のように2」のリリースパーティを実施した。

田我流

田我流

大きなサイズで見る(全33件)

田我流とECDのお面を被って登場した仲間たち。

田我流とECDのお面を被って登場した仲間たち。

大きなサイズで見る(全33件)

観客にダイブする田我流。

観客にダイブする田我流。

大きなサイズで見る(全33件)

この日は前座にTHA BLUE HERBが登場。これは、田我流の活動に共鳴したILL-BOSSTINO(Rap)が自らオープニングアクトでの出演を田我流に打診したことで実現したもの。この貴重な競演を目撃しようと、県内のみならず関東や関西などからも観客が多数駆けつけ、開演前から場内はただならぬ熱気に包まれていた。

そして、まずステージに姿を現したのはTHA BLUE HERB。TBHがライブを行うのは、2010年10月の北海道・北見HOOPLA公演以来1年7カ月ぶり。しかし、ライブがスタートするとブランク期間を感じさせない驚異的なパフォーマンスで観客を圧倒する。今回のライブは、6月16日からスタートする全国ツアー「TOTAL RELEASE TOUR」の前哨戦ということもあり、最新アルバム「TOTAL」からの楽曲を中心に演奏された。また、田我流のリリースパーティということもあって、歌詞に「信玄公」「一宮」といった山梨にちなんだキーワードを盛り込み、会場のテンションを上げていく。そしてラストには「田我流 RESPECT、Stillichimiya RESPECT、CRAZY-T RESPECT、山梨 RESPECT」とシャウトし、約1時間にわたるライブを終えた。

しばらくすると、田我流が所属するグループStillichimiyaのラッパーBIG BENが登場する。そして、アルバム「B級映画のように2」の2曲目に収録されたスキット「B級Tour Final At 一宮町桃の里フルーツ公園」を絶叫し、ライブがスタート。地元でのリリースパーティにふさわしい、温かくも激しい雰囲気が会場を包んだ。

田我流は「前座をやってくれたTHA BLUE HERBにマッドなRESPECTを! オマージュとしてこの曲を捧げます」と「宮から頂く」をプレイ。この曲は、THA BLUE HERBの1stアルバム収録曲「COAST 2 COAST 2」の歌詞「北から頂く」をもじって作られたTBHリスペクトソング。しかし、田我流はなんと歌詞を忘れてしまう。「俺、この曲がどうしてもやりたくて1週間前に書いたんだけど、やっぱ覚えられなかったぜ!」と言い、「BOSSさん、すいませんでした!」と深く頭を下げると、会場からは爆笑が巻き起こった。気を取り直して間違えたパートをアカペラで歌うと、オーディエンスからは温かい声援が送られた。思わぬアクシデントで会場の一体感が増したところで、「パニックゲーム」をボム。観客は大声援と合唱で田我流のパフォーマンスを後押しした。

そして「cyclone」「Ice City」と地元でのやるせない思いを歌った楽曲を披露した後は、「Back in the day」に突入。この曲はBUDDHA BRAND「人間発電所」のトラックで田我流が自身の青春時代を歌ったもので、サビではおなじみのBUDDHA BRANDのライムをオーディエンス全員で合唱した。続いて歌われたのは、1stアルバム「作品集-JUST-」の収録曲「坂」。さらにBIG BENを加えて「墓場のDIGGER」、MMM(Rap / Stillichimiya)もマイクを握った「ずんぶい Saturday Night」といった懐かしい楽曲がプレイされる。

ここでBIG BENが「なあ田我流、こんな(会場の)勢いじゃあの曲は歌えないよな?」と絶叫。オーディエンスがありったけの声を返すとバックDJのYoung-G(Stillichimiya)が「じゃあ、Stillichimiyaの最終兵器を呼んじゃおうぜ」とMr.麿(Rap / Stillichimiya)を呼び込む。そしてStillichimiyaのメンバーが全員揃ったところで、「やべ~勢いですげー盛り上がる」がスタート。客席はもとより、ステージもダンスやモッシュのカオス状態に。サビではもちろん大合唱が起こり、観客は笑顔で握り拳を振り上げていた。

次の曲「ラーメン」では前曲の狂騒から一転して、Young-Gと田我流によるコント調トークを展開。地元ラーメン店のオススメメニューを連呼する場面では、会場のあちらこちらから笑い声があがった。さらに携帯電話が止められた歌「How we do」でもYoung-Gの小芝居で曲の雰囲気を面白おかしく表現していた。

しかし、田我流は次の曲で会場の空気を一転させる。アルバム「B級映画のように2」収録曲の中でも最も強烈なメッセージを持った「Straight outta 138」だ。曲前のMCで田我流はTBHの言葉を引用して現代を“混迷極まる”と表現。そして「今の世の中に確かなものなんて何もない。がこれだけは言える、大きな力を持ちながら、俺らの幸せなんてちっとも考えず、自分の欲ばっかりで動いてるやつら。そつらはマジでみんなFUCKだぜ!」と叫ぶ。すると、まさに田我流が主演した映画「サウダーヂ」のワンシーンを彷彿とさせる熱狂が会場を包み込んだ。この日、楽曲で客演しているECDが出演することはなかったが、代わりにECDのお面を被った田我流の友達がステージ上に大挙して現れ、シリアスながらもユーモアを忘れない彼らしいパフォーマンスとなった。

そして「ロンリー」「Resurrection」「明けない夜」というシリアスなテーマのナンバーが続き、「Saudade」に突入する。この時点で田我流は既にしゃがれ声になっており、「今日はNASみたいな声になっちゃったね」「こんなブルージーな『Saudade』はもう絶対聴けねえぜ」と笑う。ブラジリアンなテイストのイントロが流れると満員の会場は熱狂のダンスフロアと化し、同曲のパンチライン「PEACEとかLUVより言っとけFUCK」を全員で合唱した。

続いて田我流は「今日のライブは完璧に俺の望んでたところにたどり着けたよ、声は枯れちゃったけど」と満面の笑みで話す。そして1stソロアルバムのタイトルにもなった「JUST」を歌い上げた。田我流本人も会場も異常な興奮状態にある中、ライブはクライマックスへ。そしてファンにはおなじみとなった和田アキ子「あの鐘を鳴らすのはあなた」をアカペラで熱唱する。サビで「あの鐘をぉー鳴らすのは…… 俺に決まってんだろう!」と絶唱するのを合図に、Young-Gが「あの鐘を鳴らすのは、、俺」のイントロをスピン。オーディエンスは全員握り拳を上げて合唱し、「鐘を鳴らすのはここにいるみんなだぜ」と叫んだ。

そしていよいよライブも最後の曲へ。田我流は「今日が俺のベストライブだったと思います。うまく言えないけど、みんな本当にありがとうございます」と口にする。また地元での活動にこだわる彼らしく「俺はこの県で面白いことをしたいんです。この県でこんなふうに人が集まることなんて全然ないから。俺は毎回声を潰してでも、みんなが楽しめる場所を作りたい」と熱く語った。

Young-Gが「おいおい、いつまで話してんだよ!? まだ1曲あんだろ?」と笑ってツッコミを入れると、田我流は「このままだと地元ノリで無限にしゃべっちゃうとこだったよ(笑)。まあ、地震とかいろいろあるけど、揺れるのはビートの上だけにしたいよねー」と、EVISBEATSのニューアルバム「ひとつになるとき」に収録される楽曲「ゆれる」をプレイ。自身と会場のテンションをゆっくりチルアウトへと導き、最後は田我流が客席にダイブを敢行し本編の幕を閉じた。

アンコールを求める観客のコールに応えて田我流を含めたStillichimiyaのメンバーがうれしそうにステージに姿を現す。ここで歌われたのはStillichimiyaの「莫逆の家族」。リハーサルなしで臨んだにもかかわらず、抜群のマイクリレーを披露した。しかし、会場からはさらに「ONE MORE」コール。「Young-G、俺、もうどんな曲でも歌うぜ」とヘトヘトになりながら言う田我流。そんな彼と観客のためにYoung-Gが選んだ曲は「138」という初期の代表曲だった。この曲は元々Stillichimiyaのメンバーのソロ曲ばかりを集めた自主制作のミックスCD「Place 2 Place」に収録されたもので、後にリメイクされ1stソロアルバム「作品集-JUST-」にも収められた楽曲。まさに田我流の原点とも言えるナンバーでライブを終えた。

田我流「B級映画のように2」リリースライブ

01. Intro
02. 宮から頂く
03. パニックゲーム
04. cyclone
05. Ice City
06. Back in the day
07. 坂
08. 墓場のDIGGER
09. ずんぶい Staurday Night
10. やべ~勢いですげー盛り上がる
11. ラーメン
12. How we do
13. Straight outta 138
14. ロンリー
15. Ressurection
16. 明けない夜
17. Saudade
18. JUST
19. あの鐘を鳴らすのは、、俺
20. ゆれる
<アンコール>
21. 莫逆の家族
22. 138

この記事の画像(全33件)

読者の反応

  • 1

音楽ナタリー @natalie_mu

「この県で面白いことがしたい」田我流が山梨リリパで絶唱 http://t.co/x2tODFpJ

コメントを読む(1件)

関連商品

リンク

このページは株式会社ナターシャの音楽ナタリー編集部が作成・配信しています。 田我流 の最新情報はリンク先をご覧ください。

音楽ナタリーでは国内アーティストを中心とした最新音楽ニュースを毎日配信!メジャーからインディーズまでリリース情報、ライブレポート、番組情報、コラムなど幅広い情報をお届けします。