グループ魂×米騒動「キューン20」は3時間半の濃厚ライブ

2

402

この記事に関するナタリー公式アカウントの投稿が、SNS上でシェア / いいねされた数の合計です。

  • 82 57
  • 116 シェア

Ki/oon Musicのレーベル設立20周年を記念し、東京・LIQUIDROOM ebisuにて20日間にわたって開催されるライブイベント「キューン20 イヤーズ&デイズ」の3日目公演が、昨日4月9日に実施された。

メドレーや別ユニットでの演奏を含むと全26曲を演奏したグループ魂。(Photo by 緒車寿一)

メドレーや別ユニットでの演奏を含むと全26曲を演奏したグループ魂。(Photo by 緒車寿一)

大きなサイズで見る(全31件)

THE★米騒動は満員のフロアに轟音を響かせた。(Photo by 緒車寿一)

THE★米騒動は満員のフロアに轟音を響かせた。(Photo by 緒車寿一)

大きなサイズで見る(全31件)

“オープニングアクト”のいわき兄弟。(Photo by 緒車寿一)

“オープニングアクト”のいわき兄弟。(Photo by 緒車寿一)

大きなサイズで見る(全31件)

MCヘルス(写真左)とMCソープ、2人あわせてライムサワーだ。(Photo by 緒車寿一)

MCヘルス(写真左)とMCソープ、2人あわせてライムサワーだ。(Photo by 緒車寿一)

大きなサイズで見る(全31件)

この日はTHE★米騒動がオープニングアクトを務め、その後グループ魂のライブが展開される予定だった。ところが開演時刻を迎えステージを覆う幕が開いた瞬間、そこにいたのはトシ坊(Vo / 港カヲル)、 あんちゃん(G / 遅刻)、 ちーにいちゃん(Per / バイト君)から成るいわき兄弟。おもむろに「そして、いわき」を演奏し始める彼らに、観客は早くも歓声を上げて応える。トシ坊が「オープニングアクトの“オープニングアクト”でございます」とボケを挟みつつ、この日ステージに上がったのは彼らもキューンからCDを出しているからだと説明。ちなみに印税は「年間250円ばかし」とのことだ。その後はゆるいMCを挟みつつ「いわきゴールドしいたけ」を披露し、最後は「いわきアンモナイト音頭」で締めくくる。楽曲終盤ではトシ坊が不思議な踊りを舞い、場内から喝采を浴びていた。

転換を挟んで登場したのは、本来オープニングアクトだったTHE★米騒動。「THE★米騒動です。キューン20周年おめでとうございます」と石田愛実(Vo, G)がぽつりと挨拶したのを皮切りに、坂本タイキ(Dr)による重いキックの音が場内の空気を揺らす。そしてかき鳴らされた「Border」で、LIQUIDROOMをあっという間に不穏な雰囲気に染め上げた。バンドの鳴らす音像は、ときにサイケデリックでときにポップな、緩急あるもの。ヘビーなギターリフと静から動への展開が印象的な「Hys」や、沖田笙子(B)の跳ねるベースがファンキーな「家政婦はなにも見ていない」といったナンバーで、確かな存在感を主張した。

そしていよいよメインアクトのグループ魂に。再び閉められていた幕が開くと同時に「スーパースターズ」が鳴り響く。上手からステージに躍り出た港カヲル(46歳)は「女は段ボールハウスのようなものである。なぜなら想像以上に中があったかいから!」と口上を述べ、「こんばんは! 夜のビッグダディ、港カヲルでございます!」と満員のフロアに向け挨拶した。続く恒例のコール&レスポンスでは「おっぱいと金玉どっちが元気?」と新しいパターンを提示。観客に模範解答を「元気元気、夜は冷え込むので金玉キューンミュージック! おっぱいの勝ち!」と教えながらも「今日はキューンミュージックの優秀な社員が見本を見せるぞ」と無茶ぶり。まったくレスポンスがない会場に向け激高する港カヲルを見て一人が「金玉キューン!」と叫ぶも、「偏差値低そうだねえ、『金玉キューン』だって、省略しちゃって」と社員をおちょくる港カヲル。

ライブ本編でも、魂による一風変わったレーベル愛はとどまることを知らない。小園(B)のアタックが強いベースラインを合図に始まった「TMC」では、破壊(Vo)が「キューンミュージック! 討ち取ったりー!」とアドリブでシャウト。その後のMCでは、バイト君(大道具)が自己紹介で「昭和40年9月7日生まれ、キューンの社長と同い年です!」と口にし、場内にどよめきを生んでいた。

そして暴動(G)の「最初に言っときますけど、今日は長いです。時間読み間違えました」という言葉に驚喜するオーディエンス。さらに芸能界の時事ネタからショートコントを3本も披露するというサービスの後に、港カヲル扮する「ストイックマン」が登場するとファンはやんややんやの大騒ぎ。お約束どおり遅刻(G)が横っ面を張られる一幕を挟み、ストイックマンが、この日のライブはキューンに移籍した2005年以降にリリースした楽曲を順を追って演奏していくスペシャルなものになると明かすと、フロアは沸き起こった。

続くブロックでは、2005年から2007年にリリースした楽曲を演奏していった。中でも、シングル「お・ま・えローテンションガール」のカップリング曲「我々グループ魂はキューンレコードを応援します!」は、装いも新たに「我々グループ魂はキューンミュージックを応援します!」として披露。さらにMCで港カヲルが、魂がLIQUIDROOM bisqueでライブを行うのは2007年のツアー以来であり、リハーサルで石鹸(Dr)の頭を不慮の事故により叩き割ったことに触れると、場内が爆笑に包まれる。加えてその際の警察による取り調べを再現した下りでは、会場のあちこちからどっという笑い声が起こっていた。

2008年に開催した「ぱつんぱつんフェス」を振り返ったあとには、同年発売のアルバム「ぱつんぱつん」収録の「High School」「スシ喰うな!」を演奏。「スシ喰うな!」では破壊が最前列の観客にマイクを渡し、ソロで歌わせる場面も。続く2010年を思い出すMCでは、港カヲルが自身の赤裸々な風俗体験談を延々と語ったほか、アルバム「1!2!3!4!」のプロデュースを手がけた阿部義晴(ユニコーン)について「俺は1回しか会ってないんだよね♥」とはにかみ、またしても笑いを呼ぶ。

ひときわ下品な歌詞が目立つ、2010年リリースの「1!2!3!4!」収録曲からは、破壊による「手」と「まん」をモチーフにした暴走気味なコール&レスポンスが恒例となっている「押忍!てまん部」のほか、「職務質問」「パンク仲間はずれ」といった、パンク精神あふれるナンバーが選ばれた。さらにフロントマン3人が衣装チェンジのため袖に下がっている間に、石鹸がメインボーカルを務める「男、腐りかけ」も演奏。盛りだくさんなライブ本編は、珠玉のバラード「べろべろ」と、それに続く「ずるむケーションブレイクダウン」で締められた。

転換のBGMが鳴っている間、ステージ下手に粛々とDJブースが設置される。そこに姿を現したのは、DJウメッシュ(荒川良々)とDJトッシュ(益田トッシュ)。すぐさまMCヘルス(暴動)とMCソープ(石鹸)によるヒップホップユニット・ライムサワーが登場し、CMソングにもなった代表曲「ライムサワーのテーマ」を披露する。もちろん、間奏における“口にくわえたフォークで果物を受け取る芸”も健在だ。この日は1回失敗し、客席に果物を渡すもまたしても失敗。MCヘルスが果物を投げた3回目で見事成功していた。ところがMCソープが勢いよく果物を受け取りすぎたのか、口にくわえたフォークで口唇を切る流血沙汰に。体を張ったパフォーマンスにフロアからはざわめきが起こった。

なお、この日DJウメッシュが会場に入ったのがリハーサル終了後だったため、サンプラーにどのような音源やセリフが入っているかは誰一人として知らない状態。MCヘルスが「この箱の中に毒が入ってるかもしれない(笑)」と話したとおり、サンプラーからはキューン所属アーティストの名前に続き小学生のギャグのような言葉がまき散らされ、オーディエンスの爆笑を誘った。

そしてそのサンプラーから「キューン!」「ドゥーン!」「キューン!」「キュウリ!」と単語が打ち出されるのに乗せ、「ペニスJAPAN」のライムサワーバージョンが披露された。これは、DJトッシュによる4つ打ちアレンジが新鮮なバージョンで、MCヘルス&ソープの自由なライムが飛び交うもの。最終的にはKi/oon Music代表取締役・中山道彦の名前を拝借しつつ、レーベル愛を込めたパフォーマンスを展開した。

ライムサワーの4人が袖に下がると、間髪入れず聞こえてきたのは「キューンレコードの20周年とキューンミュージックの門出を祝って、乾杯の御発声を9代目中村屋華左衛門様に頂戴いたします」という影アナウンス。ファンの嬌声と同時に、9代目中村屋華左衛門(破壊)がステージに姿を見せる。この時点で既に時計は22:00を回っていたが、魂のサービス精神はとどまるところを知らないようだ。続いて、ビールを片手にステージに再登場したメンバーは、中村屋の音頭にあわせ杯を掲げる。みんなが美味しそうにコップを傾ける中、なぜか中村屋のみ冷え冷えのコーンポタージュを飲まされていた。

そしてダブルアンコールとして演奏されたのは「アイブラユー」。さらに、港カヲルが「さー、最後の曲ですよー、新曲です」と宣言すると、だいぶ疲れた表情を浮かべていたオーディエンスもぐっと沸き上がる。タイトルは「俺たち朝立ち友だちカチカチ」というナンバーで、中年男性の悲哀を歌った楽曲だ。また楽曲中盤では港カヲルがフリースタイルラップをぶちかます下りがあり、楽曲制作者である暴動がにやけながら顔を背けるほどうれしそうなそぶりを見せる展開となった。

いわき兄弟、THE★米騒動、グループ魂と3組のステージで合計約3時間半におよんだ「キューン20 イヤーズ&デイズ」3日目公演。思いがけず長丁場のライブだったが、会場をあとにする観客の表情には一様に笑みがこぼれる、充実したものとなった。なお「キューン20 イヤーズ&デイズ」は4月30日まで、休演日をはさみながら全20公演を開催。公演によってはまだチケットが若干枚用意されているので、興味のある人はオフィシャルサイトをチェックしてみよう。

「キューン20 イヤーズ&デイズ」グループ魂(オープニングアクト:THE★米騒動)
2012年4月9日 LIQUIDROOM ebisu セットリスト

いわき兄弟

01. そして、いわき
02. いわきゴールドしいたけ
03. いわきアンモナイト音頭

THE★米騒動

01. Border
02. Hys
03. DOSYAKUZURE
04. 祝女
05. 家政婦はなにも見ていない
06. ブラック・ダンス・ホール

グループ魂

01. 歯医者なんか最後だ
02. 君にジュースを買ってあげる♥
03. TMC
04. 本田博太郎 ~magical mystery UPAAAAAAAAA!!!!!~ - ともかず(バイト君40歳記念ソング)
05. 嫁とロック
06. 我々グループ魂はキューンミュージックを応援します!
07. 有名になりたい - アイス食べたい - 沖縄行きたい
08. High School
09. スシ喰うな!
10. 押忍! てまん部 - 男、腐りかけ1
11. 職務質問
12. パンク仲間はずれ - 男、腐りかけ2
13. べろべろ
14. ずるむケーションブレイクダウン

<ENCORE>
15. ライムサワーのテーマ
16. ペニスJAPAN

<DOUBLE ENCORE>
17. アイブラユー
18. 俺たち朝立ち友だちカチカチ(※新曲)

この記事の画像(全31件)

読者の反応

  • 2

たままゆ△▽△🍈🍞🚛 @abesadawo1970

懐かしい(´;Д;`)
キャラメル食べたい💕

グループ魂×米騒動「キューン20」は3時間半の濃厚ライブ - 音楽ナタリー https://t.co/sWu9bCrlbQ

コメントを読む(2件)

リンク

あなたにおすすめの記事

このページは株式会社ナターシャの音楽ナタリー編集部が作成・配信しています。 グループ魂 / THE★米騒動 の最新情報はリンク先をご覧ください。

音楽ナタリーでは国内アーティストを中心とした最新音楽ニュースを毎日配信!メジャーからインディーズまでリリース情報、ライブレポート、番組情報、コラムなど幅広い情報をお届けします。