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フジファブリック感謝あふれた武道館公演、志村が歌う「茜色の夕日」も

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フジファブリック「10th anniversary LIVE at 武道館 2014」の様子。(撮影:河本悠貴)

フジファブリック「10th anniversary LIVE at 武道館 2014」の様子。(撮影:河本悠貴)

フジファブリックが昨日11月28日に東京・日本武道館にてワンマンライブ「10th anniversary LIVE at 武道館 2014」を開催した。

この公演はバンドのデビュー10周年を記念して行われたもので、彼らにとって初の日本武道館での単独公演となった。会場が暗転すると場内に時計の針を刻む音が鳴り響き、ステージ後方に用意されたスクリーンにアニメーションが映し出される。アニメーションに埋め込むように、生前の志村正彦(Vo, G)を含む4人編成でのバンドのライブ映像が投影され、ファンからは歓声と拍手が送られた。サポートに名越由貴夫(G)、BOBO(Dr)を迎えたフジファブリックメンバーは、映像の投影中に静かに登場。ピンク色のライトに照らされたステージで「桜の季節」をプレイし、ライブをスタートさせた。

3曲を終えた山内総一郎(Vo, G)は「ダメだって、この眺めは!」と日本武道館での初めてのワンマンライブの感想をうれしそうに口にする。その後も彼はMCのたびにしきりに「この光景は夢のよう」と喜びを語り、金澤ダイスケ(Key)も「こんな光景は見たことがない」と感激した様子を見せる。バンドは、山内の「今日は10年分楽しんでもらおうと思って、いろんな曲を用意したんで」という言葉通り、9月リリースの最新アルバム「LIFE」の収録曲を中心に、「Sugar!!」「赤黄色の金木犀」といった過去の人気曲も織り交ぜた10周年記念ライブらしいセットリストを展開。レーザーがフロアを飛び交ったり、スクリーンにカラフルな映像が映し出されたりと、趣向を凝らした演出でもファンを魅了した。

中盤、山内が武道館公演の直前まで、アルバム「LIFE」を携えた全国ツアー「LIVE TOUR 2014 "LIFE"」を実施していたことを告げる。そして「LIFE」というアルバムについて「いろんなことを思い出して作ったアルバム」と言うと、志村について話を始めた。この日山内は志村が使用していたギターをプレイしていることを明かし、志村の白いストラトキャスターを掲げる。また志村が使用していたアンプも舞台上に並べており、「こうやって一緒にステージに立てるのがうれしいです」と思いを吐露した。さらに今回のツアーで「なぜ自分たちがフジファブリックを続けているのか」という問いに答えが出たと言い、「なんで続けてるかって言うと、僕らすごくフジファブリックが好きなんです。志村くんのことも大好きだし。このバンドをなくしたくなかったんだよ」と力強く語る。山内の告白に観客からは「ありがとう」という言葉が送られた。そしてバンドはミディアムテンポのナンバー「ブルー」を披露。アウトロではメンバーそれぞれが感情を吐き出すように楽器をかき鳴らした。

続いて山内が「今日は志村くんと一緒に曲をやろうと思います」と言うと、ステージ上に、志村が愛用していたハットが掛けられたマイクスタンドが置かれる。そして始まったのは「茜色の夕日」。場内には志村によるボーカルの音源が流れ、5人はその音源にあわせて演奏をする。メンバーは志村の位置に目をやったり、志村の声にコーラスを重ねたりと、まるで本当に志村がステージに立っているかのようなステージングを見せる。志村の歌声とバンドの丁寧な演奏が響き渡り、会場は感動的なムードに包まれた。演奏後には山内が、志村のマイクスタンドを指差して「志村正彦!」と紹介。観客からは惜しみない拍手が送られた。

またMCでは加藤慎一(B)による“加トーク”が久しぶりに飛び出す。加トークとは、加藤が場つなぎのために繰り出すトークのこと。この日は山内から「武道館」というお題が投げかけられ、加藤は「『武道館』と掛けまして、『夜明けの海』と解く。その心は……どちらもカイジョウが素晴らしいです」と見事ななぞかけを披露した。その後、バンドはグッズで取り扱っている「モグライト」を使ったコール&レスポンスで会場の一体感を高めたところで、「夜明けのBEAT」「バタアシParty Night」といったダンスナンバーを連投。続く「Magic」では盛大なシンガロングが広がり、メンバーはうれしそうに笑顔を見せる。そして金澤の軽快なキーボードから始まる「LIFE」で本編を締めくくった。

アンコールではまず山内が一人でステージに登場。「初めて、時間が止まったらええのになって思いました」と感慨深く語る。そして「なんで歌っているのかっていうのを歌にしたので聴いてください」と続け、アコースティックギターを手に「sing」を静かに弾き語る。山内は歌詞を「君がいるから 僕は歌う」に替えて歌唱し、演奏後には「なんで歌うかって言ったら、みんながいるからだよ」とファンへ語りかけた。さらに「ツアー中、今日のために曲を作りました」と言うと、バンドメンバーとともに新曲「はじまりのうた」を披露。スクリーンには歌詞が表示され、ファンはエイトビートに乗せたキャッチーなサウンドと、ファンへの愛をつづった個性的な歌詞を堪能した。

最後に山内は「また武道館やる!」と笑顔で宣言する。加えて「本当に10年間、どうもありがとう。これからもフジファブリックをよろしくお願いします」と真摯に感謝の気持ちを述べた。そしてバンドは「STAR」をプレイ。山内、金澤、加藤の3人は歌詞に合わせて頭上を見上げ、すがすがしい表情を見せた。演奏がすべて終了すると、山内は志村のハットを手に持ち、5人と志村のハットはステージの端から端へと移動していく。彼らは会場を埋め尽くすファンへ感謝を伝えて回り、初めての日本武道館での単独公演の幕を下ろした。

この日披露された新曲「はじまりのうた」はレコチョク、mora、iTunes Storeにて配信されている。またバンドは2015年3月より全国ツアー「FUJIFABRIC LIVE TOUR2015」、7月には対バンライブ「フジフレンドパーク2015」を実施する。ファンは11年目以降の彼らの活躍も楽しみにしておこう。

フジファブリック「10th anniversary LIVE at 武道館 2014」
2014年11月28日 日本武道館 セットリスト

01. 桜の季節
02. 陽炎
03. シャリー
04. Sugar!!
05. 徒然モノクローム
06. WIRED
07. 地平線を越えて
08. efil
09. 赤黄色の金木犀
10. ブルー
11. 茜色の夕日
12. 若者のすべて
13. 卒業
14. カタチ
15. 夜明けのBEAT
16. バタアシParty Night
17. Magic
18. 星降る夜になったら
19. LIFE
<アンコール>
20. sing
21. Gum
22. はじまりのうた
23. 銀河
24. STAR

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