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ゆうやけしはす ギリギリガール
令和のサイケデリック・ブギー
文 / ナカニシキュウ
2019年に本格的に活動を開始したという、ソングライターでキーボーディストの林祐輔によるソロプロジェクト・ゆうやけしはす。一時期はバンドとして動いていたこともあったようだが、現在は活動開始時と同様に林の1人バンド形態に回帰している模様だ。なお、この詩的でノスタルジックなバンド名は「はやしゆうすけ」のアナグラムになっている。
そんなゆうやけしはすが2024年7月に発表した「ギリギリガール」は、ローファイなアナログサウンドが耳を引くプリミティブなミディアムロックンロールナンバー。粗雑に歪んだファズギターとホンキートンクテイストあふれるピアノ、たっぷりとレイドバックしたリズムセクションからなるルーズなバンドサウンドは、ざらついた音像やほぼモノラルミックスに近い処理なども含め、1960年代から70年代にかけてのブリティッシュロック / サイケデリックロックへのリスペクトがあふれにあふれて煮崩れしたような様相を呈している。
短3度を基調に進行するシンプルな循環コードや、ペンタトニックスケールをベースにしたストレートな歌メロ、ザクザクとしたラフなアンサンブルはオーセンティックなブルースロックの作法を忠実に引き継ぐもので、いわばThe Rolling StonesやFaces直系のスタイル。そこにキャンディポップ的なキッチュさを加味した、T.Rexの“ブギー”の美学にも共通するような精神性を感じさせるところがユニークなポイントだ。折り目正しく洗練されたスクエアなDTMサウンドに慣れ親しんでいる現代の音楽リスナーにとっては、逆に目新しく新鮮に響く1曲だろう。
ゆうやけしはす「ギリギリガール」
- ゆうやけしはす「ギリギリガール」
- 2024年7月31日(水)配信開始 / FRIENDSHIP.
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ゆうやけしはす
シンガーソングライター林祐輔のソロプロジェクト。2019年に始動し、一時はバンド編成でも活動していたが、2023年3月より現在の1人体制で活動中。2024年よりジャムセッションで集まったバンド・すうらばあずをバックバンドとし、ゆうやけしはす&すうらばあずの名前でライブを行っている。