日向坂46が通算13枚目のシングル「卒業写真だけが知ってる」を携え、2025年の活動をスタートさせた。
「卒業写真だけが知ってる」では「キュン」「ドレミソラシド」「僕なんか」など計5作のシングル表題曲でセンターを務めた二期生の小坂菜緒が約3年ぶりにセンターに立ち、前作「絶対的第六感」でダブルセンターに抜擢された四期生の正源司陽子と藤嶌果歩がその脇を固めるフォーメーション。選抜メンバー14名が表題曲に参加し、9名が“ひらがなひなた”ひなた坂46として活動する。本作の発売に伴う活動をもって佐々木久美、佐々木美玲、高瀬愛奈がグループを卒業。これにより日向坂46から一期生が全員巣立ち、グループは新たなフェーズへと突入する。
音楽ナタリー9回目の特集となる今回は、二期生の金村美玖、三期生で副キャプテンの髙橋未来虹にインタビュー。日向坂46にとって激動と言える2024年の活動を経て、ストイックでグループ思いな2人が考える日向坂46の未来図は? ニューシングルの話題を軸にさまざまな話を聞いた。
取材・文 / 臼杵成晃撮影 / 梁瀬玉実
ちょっと真面目で理屈っぽい、似た者同士
──金村さんと髙橋さんはラジオなどにコンビで出演する機会も多いですよね。あとは去年の初めに髙橋さんの成人式に合わせた写真撮影を金村美玖さんがカメラマンとして担当するというトピックもありました。2人の関係性を簡単に説明すると?
金村美玖 なんだろう? 私はちょっと似てるなと勝手に思っていて。
髙橋未来虹 あー、同じくです。
金村 歳も1つしか違わないし、考え方もさっぱり系で、感情をめっちゃ出すというよりは論理的……? ちょっと真面目で理屈っぽい(笑)。
髙橋 うん。金村さんとは真剣な話をすることが多いです。
──お互いにどういう印象を持っていますか? 印象、特徴、いいところ、悪いところ……。
髙橋 悪いところ?(笑) え~。
金村 未来虹ちゃんの印象……三期生の中だったら首領(ドン)だと思っていて(笑)。
髙橋 ドン(笑)。
金村 三期生の関係性を見ていると、どういう性格かすごくわかりやすいと思います。(上村)ひなのちゃんはホワホワしていて……。
髙橋 だいたい森本(茉莉)と山口(陽世)がふざけ担当で。
金村 そうそう。2人がガヤガヤしてて、ひなのちゃん変なこと言って、未来虹ちゃんが「それは違うでしょ!」とか言ってる(笑)。4人の規律を守ってくれる人。グループ全体でも、副キャプテンを任せられたりすることからもわかるように、レッスンには真面目に取り組むし、どうすればグループがよくなるのかを突き詰めて考えるタイプですね。
──ダメ出しで悪い点を挙げるとしたら?
髙橋 あ、欲しいかも。私そういうのズバッと言ってもらいたいんです。
金村 ダメ出しー? そんなにパッとは出てこないけど……あ、ちょっとネガティブかなあ。私もそうだから、それがダメだとは言えないですけど。
──髙橋さんの印象として「本人がいないのによく名前が出てくる人」というのがあって。去年掲載した「ドラゴンクエストIII」の特集に山口陽世さん、平尾帆夏さん、山下葉留花さんに出ていただいた際も(参照:HD-2D版「ドラゴンクエストIII そして伝説へ…」×日向坂46|ビギナーも思わず熱中のドラクエワールド)、3人以外にもう1人キャラを決めるときに髙橋さんが選ばれて、かつ満場一致で「素手で戦う格闘家」にされていました。
髙橋 あはははは。
──格闘家はなんとなく納得だったんですが、キャラの声色を決める際も満場一致で「ギャル声」が選ばれていて。ギャルマインドがあるんですか?
金村 ギャルだったんだ。
髙橋 え? 素手で戦う格闘家はちょっとわかるけど、ギャルとは真逆の属性なので……それたぶんイジってます(笑)。
──(笑)。では、髙橋さんから見た金村さんの印象は?
髙橋 熱い人です、ずっと。加入して8年目? そのくらい時間が経てば、人間いい変化も悪い変化もいろいろあると思うんですけど、グループ思いだなという印象は変わらない。それと、貪欲に自分の“好き”を発信して具現化していくのが上手だなって。それが去年は写真展につながったりもしていて(参照:日向坂46金村美玖が初の写真展開催、セルフポートレイトとランドスケープを)。努力もすさまじいですけど、持っているセンスを生かす能力に長けている方だなと思います。
金村 わーい。
──最初の頃、金村さんは見た目のイメージから勝手に大人しい人だと思っていたのですが、ソロ写真集発売時に話を聞いて(参照:熱い女・金村美玖の1st写真集は汗と涙と思いの結晶、シュールな出会いと“完璧なオチ”も明かす)、「こんなに熱い人だったんだ」と印象が変わりました。
金村 最近は「熱い」とか「重い」とか(笑)、そういうどっしり系のワードで表されることが多いですね。
──では髙橋さんから金村さんにダメ出しをするとしたら?
金村 いっぱいあるよ。似てるんだから鏡写しにしてみて。
髙橋 うーん、欠点とかではないですけど、8年間でこれだけセンターとかいろんな経験をして、お仕事でも夢を叶えているにもかかわらず、ちょっと謙虚すぎるところ。おごらないのはいいところかもしれませんけど、それがゆえにたまに垣間見えるネガティブが……私はそこが好きなところではあるんですけど、「もっと自信を持っていいんですよ」という気持ちになります。
駆け抜けた2024年、選抜&ひらがなひなたの役割
──2024年は日向坂46にとって激動の1年だったのではないかと思います。お二人にとってはいかがでしたか?
髙橋 駆け抜けましたねー。
金村 後半特にね。
髙橋 うん。下半期がすごかった。
──一期メンバーの加藤史帆さん、東村芽依さん、二期の丹生明里さん、濱岸ひよりさんと4人の卒業が重なりましたからね。5月のシングル「君はハニーデュー」から選抜制度が始まり(参照:日向坂46 上村ひなの×宮地すみれインタビュー|初の選抜制導入、11thシングルが放つフレッシュな変化)、夏には初の「ひなたフェス」が開催されたり(参照:日向坂46が宮崎に虹をかけた初開催「ひなたフェス」)、新たな試みも多かったですよね。さらにこのあと東京ドーム公演も控えています(※取材は12月下旬に実施)。
金村 がんばりました、みんな。特に四期生ですね。もう毎日何かしらのリハーサルで……。
髙橋 映画もありましたし(参照:日向坂46四期生「ゼンブ・オブ・トーキョー」完成報告会レポート)。
金村 本っ当に忙しかったと思います。これより上は今後ないんじゃないかってくらい(笑)。
──選抜制の導入についてお二人はどう感じていますか? 日向坂46の場合、選抜 / 非選抜というよりは、毎回「日向坂46」「ひなた坂46(ひらがなひなた)」と2つのチームが編成されて、それぞれの活動を進めているという印象ですけど、この制度自体にはもう慣れましたか?
髙橋 私は選抜とひらがなを行ったり来たりしているので……うーん、慣れはないですね。それぞれ目的が違っていて、選抜は歌番組に出たりしてグループを新しく知ってくれる方を獲得していくためにがんばる。ひらがなはライブをやって、普段はなかなか歌われない楽曲を披露したりなど、すでに日向坂46が好きな方たちに新しいアプローチを見せるような役割があるんです。どちらも経験してその役割を理解したつもりではあるけど、いい意味で慣れてないのかな。ゆらゆら動く自分を楽しんでいるというか。私は刺激があったほうががんばれる、負けず嫌いなところがあるので。
金村 いずれ選抜制度になる日が来るとは感じていたし、私はどちらかというと賛成だったんですよ。役割が違うのでどっちに優劣があるというわけじゃないですけど、やっぱり「選抜に入りたい」というモチベーションでがんばれる子もいるかなと思うので。私は「目標に向かってがんばる」というのが好きで、目標のために結果を残そうと段階を踏んでがんばることは以前から意識していたことだったし、私は今のところずっと選抜に入らせてもらってますけど、そういう気持ちがなければここにいるべきではないと思う。だから私も慣れることはないですね。
グループとしての新しさも表現された、明るい春の卒業ソング
──激動の2024年を経て、1月にはニューシングル「卒業写真だけが知ってる」がリリースされます。タイトルの通り卒業シーズンにぴったりな淡いラブソングで、秋元康作品の王道という印象でした。お二人はどう感じましたか?
金村 まさに王道な。(小坂)菜緒ちゃんがセンターということで、しなやかな感じというか、少し落ち着いた曲を想像していたのですが、思ったよりもアップテンポで。明るい春を想起させる雰囲気には日向坂46らしさもあって、いい楽曲に成長しそうな予感がしています。
髙橋 卒業ソングではありつつ、寂しさを押し出していくのではなく、四期生の2人が菜緒さんの横に立つことで、グループとしての新しさも表現されていて、寂しいだけでは終わらせない感じといいますか。
──1stシングルから4thシングルまで連続でセンターを務めた小坂さんが、7thシングル「僕なんか」(2022年5月発売)以来およそ3年ぶりにセンターに立ち、前作「絶対的第六感」(2024年9月)でダブルセンターに抜擢された四期生の正源司陽子さんと藤嶌果歩さんがその脇を固めるというのは確かに重ねてきた歴史を感じますよね。ミュージックビデオも学校を舞台にしたドラマチックな内容でした。
金村 ミュージックビデオの撮影ではひさびさに全員で制服を着たので、ちょっとタイムスリップしたような気持ちになりました(笑)。日向坂46といえばやっぱり学校や青空といった青春感のあるイメージを持っている方が多いと思うし、初期の頃に戻ったような感じがあって。
──MVの美しい仕上がりも含めて、王道・直球感がありますね。
金村 はい。めちゃめちゃかわいく撮ってもらえて、うれしいです。
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ひらがなひなた衝撃作、その名も「SUZUKA」