2023年4月より約半年間にわたって行われたアイドルプロジェクト「IDOL3.0 PROJECT」オーディション。この合格者11人が2023年12月にWHITE SCORPIONとしてデビューを果たし、アイドルシーンの中で華やかな活動を展開してきた一方で、惜しくも最終審査に落ちた17人は自分たちもデビューをつかみ取るべくFINALISTという名義で下積みを重ねてきた。一度挫折を味わい、悔しさとともに不屈の精神を持って活動してきた彼女たち。2024年秋、新グループ・Rain Treeとして待望のデビューが決まったことが発表されると、メンバーは涙を流して歓喜した(参照:秋元康プロデュースの新グループ・Rain Treeデビュー!WHITE SCORPIONの背中を追う17人)。
Rain Treeのデビュー曲は今年1月29日に配信リリースされた「I L U」。歌、ダンス、自己表現の3項目で運営・各専門スタッフによる審査が行われる「セレクションシステム」を経て、綾瀬ことり、遠藤莉乃、加藤柊、佐藤莉華、鈴野みお、新野楓果、橋本真希がメインメンバーに選ばれた。音楽ナタリーではメインメンバーの7人にインタビューし、FINALIST時代に抱えていた思い、「I L U」の注目ポイント、グループとしての夢などを語ってもらった。
取材・文 / 左藤豊撮影 / 塚原孝顕
団結力には自信があります
──まずは1人ずつ簡単に自己紹介をお願いします。
遠藤莉乃 埼玉県出身、高校3年生、18歳の遠藤莉乃です。アイドルが大好きで、得意なことは11年やってきたダンスです。
鈴野みお Rain Tree最年少の16歳、高校1年生の鈴野みおです。熊本県出身で、熊本、北海道、福岡、東京と引っ越してきました。同じくダンスが得意です。
綾瀬ことり 愛知県出身、高校3年生、18歳の綾瀬ことりです。私はアニメやマンガがすごく好きで、絵が得意なので、グループの画家担当かなと思っています。
橋本真希 埼玉県出身、26歳、橋本真希です。私のチャームポイントは白い肌です。美容が好きで美容師の国家資格を持っているので、Rain Treeの美容担当になれたらと思っています。
加藤柊 北海道出身、19歳の加藤柊です。私は現役大学生で、大学に通いながらこの活動をがんばっています。自分の性格をひと言で表すと「冷静だけど心は熱い」です。
新野楓果 茨城県出身、24歳の新野楓果です。私は社会人を2年半経験していて、転職活動中にこのオーディションに出会いました。特技は9年間習っていたバスケットボールです。
佐藤莉華 茨城県出身、22歳、大学4年生の佐藤莉華です。自分をひと言で表すと「おっとりフィジカル系」です。メンバーからは「癒し系」や「お嬢様系」と言われることが多いんですけど、実は体操、バスケットボール、ゴルフ、水泳、少林寺拳法などスポーツをたくさん習ってきたので体力には自信があります。あと、この春から大学院に進むので、勉強面でもメンバーをサポートしたいです。
──ありがとうございます。続いて、Rain Treeとはどういうグループなのか、結成の経緯や特徴を教えてもらえますか?
新野 私たちは2023年春から秋にかけて開催された秋元康先生総合プロデュース「IDOL 3.0 PROJECT」のオーディションを受け、約1万人の応募者の中から最終選考まで残った17人です。そのオーディションでは最後で落選してしまったんですけど、「事務所に残らないか」というお話をいただきました。そこから17人でデビューすることを目標に1年間がんばってきて、昨年10月にRain Treeとしてデビューできることが決定しました。私たちはみんな同じオーディションで一度落ち、そこからデビューを目指してがんばるという境遇を経験したので、団結力には自信があります。また、アイドルとして活動できることが当たり前じゃないとわかっているからこそ、よりアイドルとして大きくなりたいという思いが強いです。
WHITE SCORPIONとの差がすごく悔しかった
──皆さんの1年間を追ったドキュメンタリー番組「Documentary of another IDOL3.0 ~不合格者17名の再挑戦の物語~」をLeminoで拝見しました。オーディションの合格者がWHITE SCORPIONとしてデビューをつかみ取ったのに対し、皆さんは将来デビューできるかわからないままレッスンを続ける日々を過ごし、涙することも多かったと思います。当時のことを振り返ってみて、いかがですか?
加藤 先にデビューしたWHITE SCORPIONのリリースイベントに私たちもついて行って、トークショーをするという活動もありました。同じオーディションを受けた仲間だったWHITE SCORPIONのみんなはステージでパフォーマンスをして、私たちはトークだけで。衣装もないから自分たちで私服を用意して……その差はすごく悔しかったけれど「ここで成長するしかない」と思い、WHITE SCORPIONのパフォーマンスを観て「ここでこういう表情をするんだ」などたくさん勉強してきました。
遠藤 去年の9月にはWHITE SCORPIONのワンマンライブがあり、私たちも出演させていただきました。でも、WHITE SCORPIONのみんながアイドルとしてステージでキラキラ輝いているのに対して、自分たちはまだ何もできていないんだと思うとすごくつらくて。当時は苦しさが大きかったです。
鈴野 正直に言うと、私はデビューまで1年も待つとは思っていませんでした。なんとなく「もっと早くデビューできるんじゃないか」と期待していたんです。でも時間がどんどん過ぎていくにつれて、「あれっ、もしかしたら何年も先なのかな」と心配になってきて。だからこそ去年10月、デビューがサプライズ発表されたときは本当にうれしかったです。ただ、同時にセレクションシステムというものが導入されることを聞いて、悲しさもありました。
──Rain Treeでは作品リリースごとにメインメンバーを選考するセレクションを行う、という発表があったんですよね。
綾瀬 はい。デビューシングルは17人全員で歌えると勝手に思い込んでいたので、セレクションの話を聞いたときは複雑な思いになりました。
鈴野 「選ばれたメンバーと選ばれなかったメンバーでまた分かれちゃうのか」と思うと心が痛みました。だけど、この制度で私たちが成長できるのならがんばっていきたいとも思いました。
佐藤 セレクションシステムが発表されたあと、メンバーみんなで集まって話し合いをしました。私たちは「17人全員一緒に」という思いでずっと活動してきたので、お互いを思い合う気持ちも強かったんです。だからセレクションに関してもバチバチするんじゃなくて、それぞれ個人が最大限の努力をしたうえで、苦手な部分はお互いに支え合ってがんばろう、という話でまとまりました。実際に、支え合いながら活動に臨めていると思います。
1stシングルはまさかのかわいらしくてポップな楽曲
──17人の中からセレクションによって選出されたのが、今回集まっていただいた7人。1stシングル「I L U」はポップなラブソングですが、皆さんがFINALIST時代に発表した楽曲「命しか捧げるものがない」とは雰囲気が大きく異なるので驚きました。
新野 私たちもまったく同じ印象でした。「命しか捧げるものがない」がカッコいい楽曲だったのでデビュー曲も同じ系統なのかなと思っていたら、まさかのかわいらしくてポップな曲で。みんな最初はびっくりしましたね。
──「I L U」の注目ポイントや、気に入っているところを教えてください。
綾瀬 「命しか捧げるものがない」は魂を削るような気持ちで歌う楽曲でした。一方「I L U」は甘酸っぱい恋愛を描いたラブソングなので、新しい私たちをファンの方に見ていただけるのがとても楽しみです。また、曲調はポップでありながら、ミュージックビデオは廃墟で撮影してミステリアスな雰囲気になっています。いろいろと考察しながら観ていただくと、さらに楽しんでいただけるんじゃないかなと思います。
橋本 「命しか捧げるものがない」は発表当時の自分たちの状況とリンクした歌詞になっているので、等身大の気持ちで歌ってきました。それに対して「I L U」では、恋をしているときの高揚感やもどかしさを想像しながら明るい気持ちで歌っていて。聴いてくださる方にも明るくウキウキした気持ちになってもらえるんじゃないかなと思います。サビには「I L U」というワードが何回も出てきて、振付では「I L U」のローマ字をいろんな手の形で表現しているのでそこにも注目していただけたらうれしいです。
遠藤 私は歌詞を大事にしたくて。幼なじみの2人が成長して大学生くらいの年齢になり、“僕”が”君”に惹かれてすごく好きになっている、という内容の歌詞なんですけど、私はこれを読んでとてもピュアだなと感じました。そして、何にも染まっていないピュアさが私たちのデビューにもふさわしくていいなと思っています。あと、振付にも注目してほしいです。かわいらしい振りだけど、ダンスの先生からは「かわいくなりすぎないように」と言われていて。大人っぽさとピュアさの両方があるこの振付は、歌詞にもマッチしていて素敵だなと思います。
鈴野 じゃあ私は衣装について紹介します。「命しか捧げるものがない」はカッコいい衣装だったんですけど、今回はザ・アイドルといった感じの衣装を作っていただきました。お花のモチーフが付いていたり、レースがすごく細かいところまで作り込まれていたり。こんなにかわいく素敵な衣装をいただけて幸せです! みんなおそろいで統一感があるところも気に入っています。ぜひいっぱい見ていただきたいです。
佐藤 個人的な話になってしまうんですけど、最初のイントロのあとの「Ha」という声は私が担当していて。私はTWICEのサナさんが大好きで、サナさんもよく曲中のかわいいパートを担当されているので、Rain Treeの中で似たポジションをいただけたのがとてもうれしいです。
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過酷だった「I L U」MV撮影