BUDDiiSが新曲「Iris」を配信リリースした。
「Iris」は、カンテレ・フジテレビ系でオンエア中のドラマ「秘密~THE TOP SECRET~」の主題歌として書き下ろされたナンバー。「Iris」とは目の「虹彩」を意味する言葉で、楽曲は“瞳から残る記憶”をテーマに制作された。
BUDDiiSが地上波ドラマの主題歌を担当するのはこれが初めて。情感豊かなボーカルリレーによって、温かくも切ない思いが紡がれるこの楽曲を、メンバーはどんな思いを込めて表現しているのか。リリースを記念して、音楽ナタリーではFUMINORI、KEVIN、MORRIE、SEIYA、SHOW、FUMIYAにインタビューした。
また、特集の最後には「Iris」のミュージックビデオ撮影に密着したフォトレポートも掲載する。
取材・文 / 三橋あずみ撮影 / 上野留加、三橋あずみ(P3)
またとないタイミングで共作が実現
──BUDDiiSが地上波のドラマの主題歌を担当するのは、これが初めてですね。
FUMINORI はい。すごく規模の大きい出来事なので、ドラマをきっかけにBUDDiiSを知ってくださる方が一気に増えるんじゃないかな?とわくわくしています。
SEIYA いろんな世代の方が観る作品だと思うので、もちろん僕らのことを知らない方もいらっしゃるだろうし。そこでBUDDiiSの曲が流れて「いい曲だな」と思って調べたら10人組のグループで……って、そんなふうに僕たちのことを知ってもらえたらうれしいですよね。
FUMINORI 「秘密~THE TOP SECRET~」は普通の刑事モノというよりは愛に寄り添った人間ドラマということで、ドラマ自体の放送もすごく楽しみにしているんです。
KEVIN 原作のマンガを読ませてもらったんですが、素晴らしい作品なんです。一度映画化されているけど、ドラマ化は初めてということで、どんなストーリーになるのか楽しみです。キャストの方も豪華なので、楽曲が作品に寄り添えるものになればいいなと思います。
──「Iris」は作曲を音楽プロデューサーのUTAさんが、作詞をUTAさんとKEVINさんが手がけられた楽曲です。KEVINさんとUTAさんが曲を共作するという形は初めてかと思います。
KEVIN UTAさんにはこれまでに「Magic」「Glow Gold」などの楽曲を提供いただいたんですが、レコーディングのときに「一緒に何かやれたらいいな」という話はずっとしていたんです。今回またとないタイミングでそれが実現してうれしかったですね。UTAさんが作ってくれたデモ音源と歌詞に合わせて僕が歌詞を書き加えて、UTAさんに渡して……みたいな感じで制作を進めました。
いい意味でBUDDiiSっぽくない「Iris」
──UTAさんと楽曲を共作した感想は?
KEVIN いやあ、勉強になりました。僕は曲と歌詞を同時に書くことが多いんですが、今回は曲がすでにある、しかも基盤となる歌詞もある中で続きを書いていくという形だったので。自分の語彙力やどれだけ想像力を働かせられるか?みたいなところが問われるような感覚がありました。それに、きっとこの曲は幅広い層に届いていくものになるじゃないですか。たくさんの方の心に響く歌詞にできたらいいな、と考えながら作って……いまだに正解はわからないですけど、いい歌詞になっていたらいいなと思います。
──ドラマのどんなエッセンスをすくって歌詞にしていったんですか?
KEVIN 「目で見ていた記憶をたどっていく」というのが「秘密」という作品の肝になっていて。デモの歌詞も“瞳”や“記憶”がキーワードだったので、そこをさらに深め、ドラマに寄り添う形にできたらと思って、2番の歌詞を書き進めていきました。
──KEVINさんは2番を担当されたんですね。
KEVIN 2番と、あとはブリッジを担当しました。2番の頭から書き進めたんですけど、最初は全然言葉が出てこなくて。
FUMINORI そうだったんだ。
KEVIN だけど「絡み合う糸ほどいて」という1行が浮かんだ瞬間に「あ、いける」となぜか思って、そこから一気にバーッと書き進められました。
SHOW 「Iris」はいい意味でBUDDiiSっぽくないというか、新しいBUDDiiSを見せられる曲になるなと思いました。僕らは明るい曲のほうが多いじゃないですか。そことのギャップを含めて、ドラマきっかけで知ってくださった皆さんにBUDDiiSの魅力を感じてもらえたらいいなと思ってます。
音源をもらった日はお風呂で10回
FUMIYA 最初に「Iris」を聴いたときは、ただただ「めっちゃいい曲だな」と思いました。UTAさんのデモの時点で完成された雰囲気だったので、ここからどんなふうになるんだろう?と楽しみにしていたら、KEVINくんの歌詞でさらに印象が変わって。より世界観が深まったので、そこから10人それぞれの歌割りを決めていく作業もすごく楽しみでした。
MORRIE 僕、こういうテイストの楽曲がすごく好きなんですよ。もし、違うアーティストさんがこの曲をリリースしていたとしても、めっちゃ聴き込むだろうなと思うくらい。客観的に「いい曲だな」と思ったので、音源をもらった日はお風呂で10回くらい聴きました(笑)。あと、すごく覚えやすいです。
FUMINORI 歌詞で特に好きな箇所があって。ブリッジの「あなたの声が星に変わっても」。ここがめちゃくちゃ好きなんです。切なさがありつつも相手を大切に思う気持ちが表れているし、この場にはいなくてもつながっているという思いがあふれているのが本当にいいなと思って。それはKEVIN本人にも伝えました。
KEVIN そうだね、言われた。「秘密」の物語では亡くなった方の記憶をたどっていくんですが、その記憶は映像のみで、音が付いていないんです。記憶の中にある声や音ってすごく大きい要素だと思うんですが、それが消えたとしても君はずっと輝いているよ、ずっと君を思っているよという、そういった思いが曲のフックとなるパートで響いたらいいなと思って書きました。
語りかけるように歌う感覚
──「いい意味でBUDDiiSっぽくない」というSHOWさんの言葉もありましたが、全体を通して統一されている10人のボーカルのニュアンスも今までにないもので、柔らかさや静かな熱を帯びた雰囲気がすごく新鮮でした。レコーディングでこだわったことは?
KEVIN 今回、僕は座って歌入れをしました。それはたぶん初めてですね。落ち着いてるけど熱さもある、みたいなニュアンスを表現するのに、座るのはいいなと思いました。みんな座った?
FUMINORI 僕は立ったまま歌った。
FUMIYA 僕も立ったままですね。
MORRIE 俺はね、初めのうちは座って歌って途中から立ったよ。KEVINの言う、座って歌ったときの感覚はすごくわかります。
KEVIN それと今回はブースをちょっと暗くしていて。
MORRIE そう、すごく雰囲気がよかったよね。
KEVIN 自分の中に入り込むような気持ち作りができたと思います。
MORRIE いつもだったら音程とリズムを意識して歌うんですけど、今回は世界観を表現するために吐息を入れたり、息遣いを強く意識しなければいけなかったので、そこはちょっと難しいというか、やることが1つ増えるような感覚でした。でもすごく楽しくレコーディングできましたね。好きな曲だし、UTAさんには褒めていただいて。歌うことが好きな身としては勉強になったし、学ぶことが多い時間でした。
──MORRIEさんパートの「消えないで」のニュアンスがすごく印象的でした。
MORRIE ここは出そうと思えば地声で出せるキーなんですけど、いつものように張らず、あえて裏声で息を多めにする歌い方をしたんです。語りかけるように歌う感覚といいますか。裏声にして、とにかく表現に徹することを意識しましたね。
SEIYA 森くん(MORRIE)が言うように、この曲は息を多めに含ませて歌うので、そこは難しいなと感じました。あと僕はブリッジの「隣にいてよ 息を感じたい」というパートを担当しているんですけど、そこは特に感情を込めて歌うようにしました。
意識が一致していたからこそ、向かう方向が一緒だった
──普段はラップを担当することが多いFUMINORIさんやFUMIYAさんも、今回は歌1本です。
FUMINORI 「Iris」のようなバラード、僕も好きなんですよ。カラオケに行ったらこういう曲をいっぱい歌っちゃうくらい好きで。でも、いざ真剣に歌うと本当に難しいし、今2人が言ったように技術的にも勉強になることがたくさんありました。そう、それで思い出したんですが、今回SHOOTから褒められました。レコーディングのあとにLINEが来て「ニュアンスめっちゃいいです」って。そんな連絡来たの初めてですよ。すごくうれしかったですね。
FUMIYA 僕は、1本目を歌ったあとでUTAさんから「ハスキーでいい声だから、もっと息を多くしてその雰囲気を生かしたほうがいいね」と言っていただいて。その言葉に歌い方を寄せていけるようにがんばりました。語尾の切り方とかも細かくアドバイスいただいたんです。「ビブラートをかけながら切ってみて」とか。みんなも言っているように技術が必要で、今までで一番難しかったです。
SHOW 僕はAメロをSHOOTの次に歌うんですけど、音数が少なすぎるからすごく繊細な歌い方をしなきゃいけなくて。普段はクリックを入れてリズムを合わせて歌うようにしてるんですが、クリック音をマイクが拾っちゃうから、なるべく音を絞って……自分でしっかりリズムを取りながら歌わないといけなかったので、そこがすごく大変でしたね。呼吸のタイミングでもリズムを取ることを意識しました。
KEVIN この曲の特徴でもある息多めの歌い方って自分的にはすごく新鮮で、なかなかたどり着かない方法だったりするんです。だからレコーディング前にUTAさんのデモをめちゃくちゃ聴き込んで、「こういう歌い方をしているのはこんな意図かな」ということを自分なりに考えていました。本番では「この受け取り方で合っていたかな?」という感じでレコーディングを進めて。UTAさんとも話し合いながら、一緒に作り上げていくような時間でしたね。
──KEVINさん的には、「Iris」で打ち出した歌唱法は新鮮なものだったんですね。
KEVIN 新鮮でした。ライブでも、いつもドカーンと歌っているから(笑)。だから、この曲をライブで披露するときは一旦気持ちを落ち着かせて、しっかり入り込まないとなと思っています。
──皆さんがおっしゃるように繊細なニュアンスのある楽曲だと思いますが、全体を通して10人の歌のテンションがなめらかにつながっていくのを心地よく感じました。ムードが途切れないのがすごいなと。
KEVIN それはもう、UTAさんのディレクションのすごさだと思います。
SHOW あとは、デモを聴いた時点でみんなのイメージや意識が一致していたからこそ、向かう方向が一緒だったんじゃないかなと。
FUMINORI そうだね。
──メンバー全員がボーカルを取るスタイルになってひさしいですが、数々の経験を重ねたからこそのチームワークもあるんでしょうね。
KEVIN そうだったらうれしいですね。
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s**t kingz・shojiとの邂逅