04 Limited Sazabysの新作EP「MOON」が1月29日にリリースされた。
本作には主催フェス「YON FES 2024」のアンコールで初披露された疾⾛感のあるメロディックチューン「magnet」をはじめ、ギターロックナンバー「GATE」、ポップパンク「Kick it」、JUDY AND MARYのカバー「mottö」の計4曲を収録。フォーリミの真骨頂とも言えるサウンドを堪能できる。なお、トリビュートを除く作品としては、フォーリミがバンド名義の作品でカバー曲を発表するのはこれが初となる。
本作の発売を記念して、音楽ナタリーではフォーリミにインタビューし、EPの制作エピソードや2024年の活動について語ってもらった。
取材・文 / 小林千絵撮影 / 柏井彰太
“お呼ばれ”の多かった2024年
──まずは2024年の振り返りを。皆さんにとって昨年はどんな1年でしたか?
GEN(B, Vo) お呼ばれしたイベントにわりとなんでも出ていったなという感じですね。自分たち主催のツアーが「MYSTERY TOUR 2024」だけだったとは思えないほど、ずっとライブをやっていた感覚でした(参照:04 Limited Sazabysミステリーツアー最終ゲストはBRAHMAN、2組が名古屋を揺らした“いい夜”)。
──「MYSTERY TOUR」の“当日までゲストが明かされない“という趣旨は改めて斬新だなと感じました。フォーリミはReal Soundの集計による2024年の夏フェス出演ランキングで2位にランクインしていましたが、実際にイベントやフェスなどの出演がかなり多い1年だったと思います。フェスに限らず、2024年で特に印象的だったライブを教えてください。
HIROKAZ(G) 「MYSTERY TOUR 2024」ですね。前回の「MYSTERY TOUR」はコロナで中止になっちゃったので、今回はやり切れてよかったです。しかも、どこもしっかり当日まで対バン相手がバレずに。
KOUHEI(Dr, Cho) 仲いいバンドがみんな「誰が出るの?」って聞いてくるんだよね(笑)。
HIROKAZ そうそう(笑)。でも、どこも事前にバレなくてよかったです。
KOUHEI 俺は「ニューアコ」(2024年9月に群馬・水上高原リゾート200で行われたライブイベント「New Acoustic Camp 2024 - 15th Anniversary - ~わらう、うたう、たべる、ねっころがる。~」)かなあ。「YON FES」もモリコロパークという見晴らしのいい場所で開催させてもらっているけど、「ニューアコ」の会場もすごく気持ちのいい場所で。しかも普段自分たちのライブを観てくれている層とはちょっと違うお客さんたちの前でやっている感覚もあって、新鮮でした。「Re-Birth」(2024年リリースのアルバム)のアコースティックアレンジの曲を演奏できたのもよかったな。
GEN なんなら「ニューアコ」に出るために「Re-Birth」を作ったところもあるんですよ。数年前から「ニューアコ」には誘ってもらっていたんですが、正直、今の持ち曲だけでは出るのが難しいなと思っていて。アコースティック編成でできる曲をちゃんと作らないとって考えていました。
──「Re-Birth」を作ったことで、出演できるイベントが増えたんですね。
RYU-TA(G, Cho) 「森、道、市場2024」(2024年5月に愛知・蒲郡ラグーナビーチとラグナシアで開催)も「Re-Birth」を作ったことで、ようやく出られたもんね。
GEN そうだね。
バンドを長く続けていくうえで大事なこと
RYU-TA 俺が印象的だったのは、ひたちなかでやった「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2024 in HITACHINAKA」(2024年9月に茨城・国営ひたち海浜公園で行われた音楽フェス)。ひさしぶりに立ったGRASS STAGEで「こんなにデカかったっけ」と思って。すごく広いところでやらせてもらっていたんだなと感慨深かったですね。でも、最近は大舞台に立たせてもらうことも増えたから、GRASS STAGEでもどっしり余裕を持ってライブができたのでよかったです。
GEN 僕もフェスだと「ニューアコ」なんですけど、フェス以外だと……ENTHのツアー(2024年10月に行われた「3rd Full Album "ENTH" Release Tour" Doggy Walky "」。フォーリミは東京・Zepp Shinjuku[TOKYO]公演にゲスト出演した)のファイナルとgo!go!vanillasのイベント「MAKE YOUR DREAM」(参照:go!go!vanillas、10年間で出会った6バンドに幕張で祝われ感無量「人生の行き先がここでよかった」)。ENTHのライブはシンプルに楽しかった。ENTHが東名阪のZeppでイベントを打つことに対しての感慨深さもあったし、後輩の仕上がったライブを観られたのもうれしかった。「MAKE YOUR DREAM」は、幕張メッセという大規模な会場であそこまで全体のグルーヴ感が出るイベントは初めてだなと個人的に感じて。最初は「トップバッターは嫌だな」と思っていたんですけど、おかげで全バンドのライブを観られたし、バニラズのメンバーの緊張している姿や、その緊張を乗り越えて強くなっていく瞬間を目撃できました。去年のバニラズはひときわブーストをかけて活動をしていたので、刺激をもらえましたね。あと「KOSHIROCK GALAXY 2024」(2024年10月に東京・豊洲PITで開催されたdustbox主催イベント)も“メロコア祭り”で楽しかったな。ずっと大好きな先輩たちが変わらずカッコよくて痺れたし、自分たちの出自はメロコアだと思っているので、ちゃんとメロコアバンドとして認められている気がしてうれしかった。
──本当に先輩・後輩・同世代と、世代を問わずに仲間のイベントによく呼ばれた1年だったんですね。
GEN そうですね。仲間のイベントに出ていくことが多かったです。「DEAD POP FESTiVAL」を主催しているSiMのMAH(Vo)くんや「HAZIKETEMAZARE FESTIVAL」を主催しているHEY-SMITHの猪狩(秀平[G, Vo])さんとは、それぞれの主催フェスの日程が被らないようにとか、毎年けっこう早めに話し合いをするんですよ。そうやってみんなで助け合って、活動を充実させていくフェーズに入ってきているのかなと思います。
──仲間のバンドが主催するフェスやイベント以外にも多く出演していますよね。どうしてこんなにたくさんのライブに出演するのか、理由を聞いてもいいですか? 変な話、キャリア的にはもうそれほどがむしゃらにイベントに出なくてもいいと思うのですが。
GEN そうですよね。体調のことを考えると、もうちょっと緩やかに活動していきたいなと思っているし、出たいやつしか出なくていいと思うんですけど、「これは出ないとでしょ」というイベントやフェスだけでもいっぱいあるんですよ(笑)。去年で言えば「LIVE AZUMA 2024」(2024年10月に福島・あづま総合運動公園とあづま球場で行われたライブイベント)や「ONEFES -IMIZU MUSIC FESTIVAL-2024」(2024年5月に富山・海王丸パーク特設ステージ行われたライブイベント)には初めて出たんですが、どちらも何年か前からお誘いをいただいていたイベントで。主催の方が僕たちのライブを何度も観に来てくれて、そのたびに挨拶をしていたら、関係性ができてくるじゃないですか。そうなると出たくなっちゃう。やっぱり初めて出るイベントでは新たな発見がありますし。
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