音楽ナタリー

帰ってきたtricot、komaki♂脱退前最後の東京ライブ

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tricotが3月20日、東京・赤坂BLITZにてワンマンライブ「帰ってきたトリコさん」を行った。

5都市を回るアジアツアー「What's Ochansensu-Su!? tricot Asia Tour 2014」を終え、タイトル通り日本に“帰ってきた”tricot。バンド脱退を表明していたkomaki♂(Dr)の東京でのラストライブとなったこの日、バンドはアンコールを含む全22曲を熱演した。

エモーショナルに声を張り上げる中嶋イッキュウ(Vo, G)、暴れ回りながらギターをかき鳴らすキダ モティフォ(G, Cho)、陽気に踊りつつゴリゴリのベースを浴びせるヒロミ・ヒロヒロ(B, Cho)、タイトかつ重みのあるドラムプレイでバンドを支えるkomaki♂の4人は、複雑に展開する「アナメイン」、どっしりとしたミドルナンバー「art sick」と起伏あるセットリストで観客を翻弄していく。MCでは気迫のこもったパフォーマンスから一転、ゆるいトークを繰り広げて場内に和やかな空気をもたらした。アジアツアーのエピソードを語る際にはイッキュウが「どこも皆さんと同じように楽しんでましたよ。すごくないですか?」と手応えを口にする。キダの「日本そんなもんかーい!」という煽りからは、本人たちもタイトルの意味を「知らん」と言っていた「おちゃんせんすぅす」が会場を浮遊感で包み込んだ。

ライブ終盤、「スーパーサマー」ではイッキュウとヒロミ・ヒロヒロによる手本に導かれて盛大なシンガロングが起こり、キラーチューン「爆裂パニエさん」ではこの日最も多くのクラウドサーファーが飛び交う。アンコールではキダが頭にカメラをくくりつけ、自分の視点から見た客席をスクリーンに映すという試みを実行。縦横無尽なキダの動きで画面は大きく揺れ、ライブの勢いはより加速した。イッキュウは一息つくと、ここで「東京でこの4人でライブするのは今日が最後になります」とkomaki♂の脱退について言及する。「4月から48人に増えます。女だけになるから辞めてもらうんやけど(笑)」と冗談を交えてからkomaki♂にバトンタッチすると、フロアからは脱退を惜しむように彼の名前を呼ぶ声が上がり、komaki♂は「泣かへんぞー!」と自身を奮い立たせてからファンへ感謝の思いを伝えた。「よくある『音楽性の違い』とか、そういうことなんですよ。向き合い方が違うというかね。まあ一番違ったのは食の方向性なんやけど」と観客の笑いを誘いつつ「tricotの音楽も俺の音楽も止まることなく進化していきますので、これからも応援よろしくお願いします。ありがとう!」と力強く語ると、客席からは自然とkomaki♂コールが発生。今後も音楽活動を継続するkomaki♂へ向け、イッキュウは「『実はtricotのドラム、komaki♂やってんで』って言ったら『ええー!』って驚かれるくらいお互いが有名になったら対バンしたい」とメッセージを送った。

そして最後にバンドは初期のナンバーを披露。分厚いバンドアンサンブルで、この4人で鳴らすサウンドをオーディエンスに深く印象付けた。演奏を終えた4人はステージの前方に集まり丁寧に頭を下げる。komaki♂は肉声で「ありがとう!」と叫び、フロアへ大きく手を振った。

なおkomaki♂は3月27日の大阪・umeda AKASO公演をもってバンドを離れる。その後tricotは5月25日より全国ツアー「どっこいしょ!男気ワンマンツアー(&二瓶どん)」を新体制で実施する。

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