是枝裕和、伊丹十三賞贈呈式にて「伊丹さんは突破口を開いてくれた人」

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本日4月14日、第8回伊丹十三賞の贈呈式が東京・国際文化会館で行われ、是枝裕和が出席した。

第8回伊丹十三賞の贈呈式でスピーチする是枝裕和。

第8回伊丹十三賞の贈呈式でスピーチする是枝裕和。

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左から是枝裕和、宮本信子。

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伊丹十三賞は、俳優、エッセイスト、テレビマン、雑誌編集長、映画監督などさまざまな分野で活躍した伊丹十三の遺業を記念して創設された。今回の授賞は、是枝の「みずから独立したシステムをつくり、構想、脚本、キャスティング、演出、編集までを一貫して手放さない、映像作家としての姿勢、その成果」を評価したもの。

周防正行

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贈呈式では、宮本信子、中村好文、平松洋子、南伸坊とともに選考委員を務めた周防正行がまず登壇。「実はこの賞が発足した頃から、映画の分野で伊丹十三賞にふさわしい方が出てくるんだろうかとすごいプレッシャーを感じていました。同業者ということもあって、選考委員の中で映画監督に一番厳しい目を向けていたのは僕じゃないかと思います。8回目にして、こうして是枝さんに授賞することができて肩の荷が下りた気持ちです」とにこやかに語る。また、「是枝さんへの授賞の理由として一番強調したいのは、現在の日本映画界において自分の作りたいものを作り続けるという姿勢です。一見、今の日本映画界は活況を呈しているように見えますが、メジャー作品に関していえば多様性が失われ、似たような企画、似たような配役、似たような宣伝ばかり。大人の鑑賞に堪える作品が少なくなっています。その中で是枝さんは映画製作のアプローチに工夫を凝らし、自ら制作会社を立ち上げて意欲的に作品を発表されています。若い監督の作品をプロデュースしたり、多様な表現を模索し続けられていることが素敵です」と賛辞を贈った。

是枝裕和

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第8回伊丹十三賞贈呈式の様子。左から中村好文、周防正行、是枝裕和、宮本信子、平松洋子、南伸坊。

第8回伊丹十三賞贈呈式の様子。左から中村好文、周防正行、是枝裕和、宮本信子、平松洋子、南伸坊。[拡大]

是枝は「めったに緊張しないんですけど、今日は緊張しています(笑)。やはりそれは、伊丹十三という名前が僕にとって特別大きな意味のある名前だからですね」とコメント。「伊丹さんの『お葬式』という映画が公開されたとき僕は大学生で、舞台挨拶にも駆け付けて劇場で観ました。そのとき、伊丹さんの『新しい日本映画を作る。作品そのものだけではなくて、作り方も含めて新しいムーブメントを起こしていくんだ』という気概を感じたんです。当時の日本映画界には、大学生の自分にとって指針になるような作り手がいなかったんですが、伊丹さんは突破口を開いてくれたと思っています」と述べる。さらに「若い作り手たちと一緒に『分福』という会社を立ち上げ、監督が作りたいものを作っていくことができないかと模索を始めました。そういう志を含めて今回評価していただいたことが何よりうれしいです。これからどういうふうに活動の幅を広げていくのか、何を目指していくのかということはまだ手探りなんですが、今回の受賞が大きな励みになることは間違いありません」と話した。

是枝の監督最新作「海よりもまだ深く」は5月21日公開。なお本作は第69回カンヌ国際映画祭ある視点部門に正式出品されることが決定している。

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